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ゲーム人生ぷらすリアル人生  作者: 小倉桜
第三章 顧問を捕まえろ!!
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第十五話

 部室から抜け出した俺とサユは家に向かって歩いていた。


 先輩二人の喧嘩?は終わりそうになかったので放置してきた。

 俺たちが抜けたのはばれてないと思う。


 そんな俺たちはいつも通り、途中にある自販機で飲み物を買っていた。

 俺はレモンティー、サユはカフェラテだ。


「えい」

「あっちぃぃぃぃぃ!!!!」

「ふふっ」

「熱いって!!」


 あったかいカフェラテを首に当たられた。

 ちょー熱い!


 結構笑ってるし!


「悩んでたみたいだから」

「まぁ悩んでたけどさ……」

「考えすぎはだめ」

「でもあれ、どうするの?」


 まさかあの二人が喧嘩するなんて思ってもみなかった。

 すっごい子供っぽい喧嘩だったけど。


 まさか俺かサユかあかりの誰かが部長になるわけにもいかないし。


 どうしようかなぁ……。


「えいっ」

「あっちぃぃぃぃぃ!!!!」

「ふふふ」

「もうやめてくれって!」


 サユのやつ……!


 こんなことをしているが、今は雨が降っているのでところどころが濡れてしまう。


「雨……嫌い……」

「まだ梅雨入りしたばっかりだって。でも、もう七月になっちゃうね」


 あと一週間くらいで七月になっちゃうんだよなぁ……。

 まだサユが転校してきてから二週間くらいしか経ってないんだ。


「序列戦も近い」

「あっ」

「……忘れてたの?」

「部活動のことで頭がいっぱいで……」


 序列戦。

 月に一度行われる"オールラウンドゲーマーズ"の序列戦だ。

 例のごとく、上位の者に挑戦したり、自分に挑戦者が現れたら自分の序列を死守しなければならない。


 絶対に一人は挑戦者が現れるだろう。

 まぁ防衛に関してはただゲームに勝てばいいだけだから大した問題はない。

 問題があるのは上位の者に挑戦するかしないか、だ。

 これに関してはいろいろ考えなければいけないことがある。


 例えば、相手の得意なゲームとジャンル。苦手なゲームとジャンル。


 これは必須だろう。

 これがなければ仕掛ける側のアドバンテージがまったく無駄になる。

 対戦相手を決められる挑戦者側は、自分は得意なゲームだけど相手が苦手という者に挑戦すれば勝率がぐっと上がるからね。


 あとは相手のプレイスタイルだとかいろいろだ。

 そんなわけで挑戦するにはどうしても準備が必要になってくる。

 そりゃ中にはそんなことしないで適当に順位を上げてるやつもいるだろうけど、俺はそんなにゲームが上手いわけでもない。


 そんな俺たちは、相手を研究して序列を上げていくのが一番安全なのだ。


「挑戦する気はある?」

「これから考えるよ。サユは?」

「もう決めた」

「ホント!?誰に挑戦するの?」

「ひみつ」

「えぇ」


 どうせ当日になればわかるからいいけどさ。


「先輩二人もなんとかしなくちゃいけないのに、序列戦もあるなんて大変だなぁ……」

「先輩は月に任せればいい」

「いや、月も序列戦があるからね?」

「知らない」

「これはひどい」


 サユは月のことが嫌いなのかな?そうは見えないしむしろ好きなんじゃないかと思ってるんだけど。


 そうこうしてる間に、家に着いた。


「今日も寄ってく?」

「おじゃまします」

「はいよー」


 サユと二人で家に入ると、妹の乃愛のあが私服にエプロンの姿で出迎えてくれた。


「おかえりー二人ともー」

「ただいま」

「おじゃまします」

「ごはんもうすぐできるけど、サユねぇも食べていくよね?」

「いただきます」


 そう言うと乃愛はウインクしてからキッチンに戻っていった。

 俺も手伝えたらいいんだけど今日も必要なさそうだな。


 今度は俺が作ってあげたいんだけどなぁ……。


 しばらくサユと話しながら待っていると、乃愛ができたと言ってきたので、みんなで準備をする。


「「いただきます」」

「召し上がれ~」


 今日の夕飯はカレーだった。

 香ばしいスパイスの匂いが鼻腔をくすぐる。


 一口食べてみると、ほどよい辛みと野菜の旨味が口の中に広がる。

 そこにふっくらと炊けたごはんが混ざりあい、何とも言えないおいしさを作り出している。


「おいしい……!」

「すごい乃愛……上手……!」

「て、照れるよぅ……」


 こんなおいしいカレー初めて食べた!

 いつの間にこんな技術を身に着けていたのだろう……!


「もぐもぐもぐ……」

「サユねぇっていっぱい食べるよね……」

「もぐもぐむぐっ……。何が言いたいのかね?」

「どうして大きく……あっ……ナンデモナイデス」

「よろしい」


 乃愛が俺と同じ地雷を踏むところだったようだがセーフだなセーフ。


「野菜小さめにしたんだけどどう……?」

「食べやすくていいよ」

「うん。すごくいい」

「よかったぁ」


 乃愛の作るカレーはいつも野菜が小さめだ。

 対して、俺の作るカレーの野菜は大きめ。


 俺も乃愛もサユも野菜の大きさはどっちでもいいと思っているからどちらでもいいと思うが、いつもと味付けが違うからちょっと気になったんだろう。


 前に、野菜を大きくしすぎて乃愛とサユに「一口で食べれないからやだ!」と怒られたことを思い出す。

 あれは正直俺もやだと思った。


「「ごちそうさまでした」」

「お粗末様でした」


 そんなことを思っているうちに、みんな食べ終わった。


 本当においしかった。

 是非ともまた食べたいところだ。


「皿洗い手伝う」

「ありがとうサユねぇ!」

「じゃあ今日は俺がゆっくりさせてもらおうかな」


 なんか誰か二人が皿洗いをして、残った一人がソファでくつろぐみたいなのが夕飯後の日課になってしまっている。


 でも、幸せだなぁ。


 こんな幸せがいつまでも、続きますように……。

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