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間章2-4

 とはいえ、時代の流れは急だった。

 1930年代において、徐々にだが、対戦車戦闘においては、戦車こそ最良の対戦車兵器ではないか、その考えで、戦車を開発、整備しよう、という考えが(各国の)陸軍において、主流となるのである。

 その考えを、日本軍も同様に持つようになった。


 これについては、疑問を持たれる方が多い、と思う。

 戦車こそ、最良の対戦車兵器であり、最初の開発段階から、戦車は、対戦車戦闘を考慮すべきでないのか、そう指摘されそうである。

 確かに現代(21世紀)の戦車を考えれば、対戦車戦闘を考えない戦車というのは信じ難い存在に見えて仕方ない、と思われる。

 だが、戦車が登場した(第一次)世界大戦当初は、戦車は敵の陣地、塹壕等を突破するために開発された兵器と言っても過言ではない存在であり、対歩兵戦闘を基本的に考えて作られた兵器だったのだ。


 戦車を対戦車兵器として用いる、というのは、1930年代以降に主流になった考えであり、それまでは、戦車を対戦車兵器として用いるというのは、決して各国の軍人の考えでは主流では無かったのである。

(念のために書くが、戦車を対戦車兵器として考える、という考えが全く無かった訳ではない。

 第一次世界大戦当時から、戦車同士の戦闘は、実際に起きており、戦車を対戦車兵器として考える、という考えは、第一次世界大戦当時から無くは無かった。

 だが、あくまでも傍流、少数派の考えで、各国の軍人の考えの多数派の考えにはなっていなかった。)

 実際、日本軍も、最初に開発した89式戦車には、対戦車戦闘には余り向かない57ミリ短砲身砲を主砲としており、97式中戦車も(新型主砲の開発が遅延したという理由もあったが、)、量産開始当初は、57ミリ短砲身砲を主砲として採用している。


 しかし、世界的に戦車を対戦車兵器として考えて、新型戦車を開発する傾向が広まるようになり、それが日本軍にも伝わり、更に日本軍の対戦車戦闘において、戦車を有効に活用しよう、という考えが広まる出来事があった。

 それは、スペイン内戦への「白い国際旅団」への義勇兵派遣だった。


 スペイン内戦勃発に伴い、日本は海兵隊を主力とする(表向きは)義勇兵を派遣した。

 この義勇兵は、土方勇志伯爵を、事実上の総司令官とするもので、「白い国際旅団」の主軸となり、スペイン国民派が、スペイン内戦において勝利を収めるのに、多大な貢献を果たした。

 そして、彼らは、スペイン共和派支援のために提供されたソ連製戦車と戦った。


 スペイン内戦で、スペイン共和派に提供されていたソ連製戦車は数種類あり、中には時期的な問題等で、実際に提供されたのか、疑問視される戦車もある。

 だが、T-26,BT-5といった戦車や、(戦車とは言い難いかもしれないが)BA-6装甲車が、スペイン共和派に対して提供されていたのは、通説では間違いない、とされている。

 こういった戦車(装甲車)は45ミリ砲を主砲として採用しており、スペイン国民派が、かき集めて投入したイタリア製戦車等を容易に撃破可能だった。


 このスペイン内戦におけるソ連製戦車の猛威を、スペイン内戦に参戦している日本人義勇兵から知らされた日本軍上層部は、内心で慌てふためく羽目になった。

 日本軍も、47ミリ長砲身砲を(何れは)97式戦車に搭載しようと考えてはいた。

(零式重戦車に至っては、75ミリ砲を主砲として搭載する。)

 だが、中国内戦が勃発していない現状(1936年時点)では、まだまだ先の話である。

 苦肉の策として、日本軍が注目したのが、米国製の12.7ミリ口径のM2重機関銃である。

 この重機関銃を、取りあえずは対戦車戦闘で活用しようと考えた。 

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