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第3章ー2

 何故に共産中国内で餓死者が続出したのか。

 その原因については、様々な説があるが、通説は複合的な要因によるものであり、特に一つが原因ではないとしている。

 

 まず、第一に、辛亥革命後の中国本土各地に割拠した軍閥間の抗争により、中国本土の農地が、既にかなりの段階にまで被害を被っていたことである。

 更に、共産中国の農業指導が、まずかった。

 戦場になって荒れ果てた農地等を、急速に復興させようとして、地域の協同組合である合作社を作り、それを更に人民公社へと発展させ、地域の協同組合と末端の行政組織を一体化し、効率化を図ったのだが、頭の中の考えでは、うまくいくはずが、人間の本性を悪だと考えていなかったために失敗してしまった。


 人間が、共同作業をするということになると、勿論、共同してうまくいこともあるが、どうしても他人の足を引っ張る方に傾く。

 足を引っ張らないまでも、人が頑張ってくれるのなら、自分は頑張らずに楽をしようとか、そういう人がどうしても出る。

 それなのに、人民公社では、共同を重視するあまり、基本的に個人の頑張りを評価せず、人民公社間での競争を煽ったのである。

 その結果、どうなったのか。


 まず、実際に農作業を行う農民の間では、勤労意欲の低下を招いた。

 多くの農民にしてみれば、共同作業ということで、自分一人がいくら頑張っても、頑張らない周囲と同様に評価されるだけ、頑張る方が馬鹿馬鹿しい、という想いをするようになった。


 また、農業指導をするに際しても、専門知識よりも、共産主義者かどうかが重視されたため、農業指導をする者の多くが素人に近い存在となり、これもまた、現場の農民の勤労意欲の低下を招いた。

 それは間違っているのでは、と農業指導者の指導に対して、現場の農民が指摘をしたら、反国家的言動と取られ、現場の農民は身柄を拘束され、最悪、家族にまで被害が及びかねない。

 こんな状況で、現場の農民の勤労意欲が上がるわけがないし、逆に、農業生産の増大に、農業指導者が悪影響を与える事例まで多発しだした。


 更に、国家、上の意向への「忖度」が、悪影響を拡大させた。

 国家、上からは、増産の指示が出る。

 下としては、その指示に従わねばならない(そうしないと、下手をすると反国家行為だ。)。

 そのために、実際には増産ができなくても、帳簿操作等による数字上の(水増し)増産が多発した。


(実際には、共産中国建国後、上記のような事情により、共産中国内の農産物は、実際には増産どころか、減産が多発していた、というのが実態だったらしく、それを糊塗することに、末端の人民公社の幹部は血眼になる有様だった。)


 上からは正直に現場の実際の数字を挙げるように、何度も指示が出されるが、そんなことをして上の覚えが悪くなり、左遷されたり、下手をすると投獄されたりするよりは、と虚偽報告が横行するようになった。

 国家、上では、虚偽報告の積み重ねにより、実態に合わない数字が積み上がってしまった。

 国家では、それに基づいて、報奨を与えたり、物資の提供を命じたりする。

 このため、一度、染み付いた悪習、虚偽報告は、共産中国内で、中々抜けないどころか、より深く、より広まるようになった。

 下手に事実を述べては、かつての虚偽報告がばれてしまい、処罰されるからである。

 虚偽報告をすることにより、報奨を受け取った方がいいのは、自明の事柄だった。


 こうした事が積み重なった結果、共産中国の最高指導部が気が付いた時、最高幹部の誰一人、共産中国国内の正確な経済実態が掴めなくなっていた。

 例えば、四川省で穀物が大量にあるとして、供出が政府から命じられるが、実際には全く無いという事態が発生した。

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