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第2章ー1 当時の欧州の軍事情勢等

 第2章の始まりです。


 ペタン元帥の主張が史実と違いすぎる、と言われそうですが、これは第一次世界大戦で、日本が海兵隊等を欧州に派遣したことによるバタフライ効果によるものです。

(この世界のペタン元帥は、第一次世界大戦末期、日本海兵隊等と共闘して、戦車と航空機を存分に活用した末に、ベルギーの首都ブリュッセルを解放する、という栄誉を味わっています。)

 1937年春当時、独の再軍備を受けて、欧州各国は、それへの対応、軍備拡張に追われていた。

 特に独に隣接する諸国、中でも仏の悩みは深かった。

 

 仏(政府、軍の上層部)は、第一次世界大戦によって大損害を被っており、再度の世界大戦に自国単独では耐えられない、と考えていた。。

 そのために独の再軍備阻止、封じ込めを訴え、ヴェルサイユ条約等を推進したのである。

 だが、独の再軍備は、その前提を覆しており、それへの対処を行わねばならなくなっていたのである。


 勿論、仏は長年にわたり、大国の一角を占めてきた存在である。

 それなりの軍事力を、(第一次)世界大戦後も持っていた。

 だが、世界大戦による疲弊と、更に世界大恐慌の襲来等々により、兵器の更新は進まず、独のように軍事思想等の革新も進んでいないという事態に陥っていた。

 更に、仏軍、政府内部の対立もあった。


 仏軍や政府は、第一次世界大戦勃発まで、極端な攻撃重視主義を取っていた。

 だが、第一次世界大戦で、大損害を被ったことから、仏軍の非主流派や政府の主流派は、その反動から極端な防御重視主義を取るようになった。

 その一方で、仏軍の主流派は、1918年の最終攻勢の勝利の記憶から攻撃を捨てきれなかった。

 この仏軍の主流派と、非主流派(及び政府の主流派)の対立の象徴ともいえるのが、いわゆるマジノ線建設問題だった。


 仏の国境線沿いに要塞を築き、仏の安全を確保すべき、この考え自体は従前からあるものであり、更に世界大戦後の少子化、人口減少も、仏軍の非主流派や政府の主流派の考えを後押しするものだった。

(国民の多くの声も、世界大戦の大被害から、厭戦気分に満ちたもので、仏軍の非主流派や政府の主流派の考えを後押ししていた。)

 だから、仏の国境線に要塞を全く築かない、という選択肢は、さすがに仏軍主流派も取らなかった。

 問題は、どのようなものにするか、だった。


 仏軍主流派は、重要な拠点に絞って要塞を建築し、大規模な分離要塞を築くことを主張した。

 一方、仏軍非主流派や政府主流派は、連続的な難攻不落の要塞線を築くことを主張した。

(ある人は、20世紀に万里の長城を築くような発想と評した。)

 最終的に予算の制約もあり、仏軍主流派の主張する大規模な分離要塞建設案が採用されたが、それでも予算面から遅々として要塞建設は進まなかった。


 その一方で、世界の軍事情勢は進んでいた。

 第一次世界大戦末期の1918年の最終攻勢で偉功を挙げた兵器が、戦車と航空機の組み合わせだった。

 1918年の大戦終結間際の最後の連合軍の大戦果が、ベルギーの首都ブリュッセルの解放であり、その際の戦車と航空機の威力は、敵味方双方に強い印象を遺していた。

 また、1927年の日(英米)中の南京事件に伴う限定戦争、1931年から1932年に掛けての満州事変、と日本の戦車と航空機の組み合わせは猛威を振るい続けた。


 日本軍、中でも海兵隊は、仏陸軍の愛弟子であり、(第一次)世界大戦の際に強い絆を結んでいたことから、第一次世界大戦からその後に示された日本の戦車と航空機の組み合わせの威力を見て、仏陸軍の主流派の中でも、ペタンやド・ゴールらは、戦車と航空機の組み合わせこそ、将来の戦争で重要である、と主張するようになった。


 だが、日本の海兵隊の戦果は中国だからできたのだ、という冷めた主張(その背景に、白人優位の人種差別があったのは否定できない)をするものもおり、中々、仏陸軍内でもペタンらの意見は広まらなかった。

 そこに、ペタンらの意見を後押しする事件が起きた。

 いうまでもなく、スペイン内戦である。

 ここでも戦車と航空機の組み合わせは、双方で猛威を振るったのだ。

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