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第1章ー13

 このように日本の陸海空海兵四軍は、装備等のハード面を、近々起こりかねない戦争(実際に第二次世界大戦が起こるのだが。)に備えて、充実させていくのだが、それだけでは戦争準備には充分ではなかった。

 その戦争が実際に起こった場合に備えて、事前計画等のソフト面も充実させないと、戦争の準備としては十分なものとは言えないからである。

 日本の陸海空海兵四軍は、共同して戦争の準備を整えることになった。


 そして、陸海空海兵四軍の間では、近々起こりかねない戦争準備に際して、どことの戦争になるかの認識については、四軍全てがほぼ一致しており、そういった面において、齟齬がないというのは、ある意味で幸運極まりないことだった。

 これが、もし、四軍の間で対立があり、陸空は対ソ戦に備えるべき、と主張し、海と海兵は対米戦に備えるべき、と主張するように対立していては、戦争の準備がまともに整わないのは自明の理だからである.


 この当時の日本(の軍部)が、もし、実際に起こった場合に、最大の脅威になるとして、想定していたのが、対ソ、対共産中国の二正面戦争だった。

 問題は、両方共に奥地、後背地が広大であり、敵国の領土全てを占領して降伏の止む無きに至らせる、という作戦が、日本だけでは、到底、無理な点だった。


 勿論、いざ、対ソ、対共産中国の二正面戦争となったら、いわゆる満州国、韓国は日本と共闘するだろうし、米国(それに英仏等)も日本の味方になるだろう。

 とはいえ、日満韓の兵力で、中国全土に加え、ソ連全土を制圧する等、夢物語もいいところだった。

 従って、ある程度、優勢な戦況を維持し、ソ連や共産中国と白紙和平に持ち込むという前提で、戦争準備を整えざるを得ないという状況に、この当時の日本はあったのである。


(できることなら、共産中国については、蒋介石の後押しをして、蒋介石率いる中国国民党による共産中国の打倒、中国統一政府樹立を、日本としては目指したかったが、ソ連と共産中国が共闘するという二正面戦争状態では、米国の本格軍事協力(陸軍部隊の大量派兵等)が無いと無理、というのが現実というもので、更に1937年のこの時点では、(第一次)世界大戦に伴う大損害や、世界大恐慌発生により、米国内にはびこった孤立主義に、米国民の多くが共感している状況にあっては、米国の本格的軍事協力等、中々望めなかったという事情もある。)


 そして、二正面戦争になった場合、ソ連潜水艦部隊は、ペトロパブロフスク=カムチャッキーから海南島に至る海岸線沿いの各所に、前進基地を展開し、日本等に対して、通商破壊戦を展開すると、日本海軍は予測していた。

 こうなると、北太平洋から南シナ海まで、ソ連潜水艦の脅威が及ぶことになる。

 幾ら質を加味するならば、世界第三位を呼号する日本海軍とはいえ、余りにも広大な海域を守らねばならないという事情が発生していた。


 第一次世界大戦の戦訓を踏まえ、潜水艦対策には、海空からの地道な対策しかない、ということを日本海軍は認識していた。

 また、広大な海域に比して、投入可能な兵力が限られる以上、同盟国の米英仏海軍等の協力は、日本海軍にとっては、必要不可欠と言ってもよかった。


 米英仏海軍と連絡体制を築き上げ、台湾以南の南シナ海や千島列島の東側の北太平洋等は米英仏海軍に任せて、台湾以北、千島列島の南や西については、日本海軍は死守しようという計画で、直近の戦争の準備に日本の海軍を中心とする軍部は、ひた走ることになった。

 実際問題として、開戦後、日本の海空戦力の多くが、この任務につぎ込まれたが、1939年から1940年の春まで、日本は悪戦苦闘を強いられる羽目になった。

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