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第1章ー11

 日本海軍航空隊も、12試シリーズで、艦上機、水上機等の面で進歩を遂げることになった。

 日本海軍の艦上戦闘機については、既述のように、空軍の横やりが入ってしまったとはいえ、零式艦上戦闘機の配備として、それは実現することになった。

 世界史上でも、数少ない同時代の陸上戦闘機よりも、優秀な艦上戦闘機(艦上戦闘機は、空母からの運用という制限が掛かる以上、陸上戦闘機よりも相対的に劣る性能なのが、21世紀になっても、ある意味では当然視されている。)として、零式艦上戦闘機は、その名を遺している。


 実際、21世紀の現在、世界的なネット上の論戦において、1940年当時、空戦法の差もあったが、世界最優秀の戦闘機として、まず名が挙がるのが、零式艦上戦闘機(99式戦闘機)なのである。

 勿論、英国人ならスピットファイア、独国人ならBf109を、1940年当時の世界最優秀戦闘機として取り上げたがる。

 それなら、自国以外の戦闘機なら、と言い出すと、英独共に、零式艦上戦闘機(99式戦闘機)というのが、多数意見になってしまう。

 これこそが、零式艦上戦闘機(99式戦闘機)の世界的評価の高さを示すものに他ならない。


 何しろ、ロンドン、ベルリン間の重爆撃機の部隊の護衛を、完全に勤め上げられるのは、零式艦上戦闘機(99式戦闘機)しか、この当時、事実上は存在しないと言っても過言ではなかった。

 更に、独のBf109より優勢に戦うことに成功しているのだ。

 世界的に評価が高いのも当然だった。


 艦上機に関しては、艦上爆撃機は「彗星」に、艦上攻撃機は「天山」に、とそれぞれ12試シリーズによって、日本の艦上機は更新を果たしている。

 敢えて非難すべき点を挙げるのなら、艦上偵察機の開発が12試シリーズで、結果的に行われなかったことだろう。


 だが、これは、艦上爆撃機に、マーリンエンジンの搭載が決まったことから、半ばやむを得ず開発が断念されたものだった。

 艦上機を4種、しかも1種に不慣れな水冷エンジンを搭載して整備する等、空母の作業員がそれによって背負う整備の手間暇を考えるならば、とても無理なのが丸わかりの話になるからである。


 愛知航空機、川崎重工によって、マーリンエンジンは、日本でライセンス生産が行われた。

 そして、艦上爆撃機「彗星」に、マーリンエンジンは搭載されたのだが、このエンジンの高性能は、爆弾を搭載せずに、艦上偵察機として使用される限りにおいて、

「我に追いつくメッサー無し」

 と「彗星」の搭乗員達に豪語させるだけの高速性能を発揮した。

 このため、艦上偵察機の任務は、「彗星」が事実上兼務している。


(もっとも、Bf109等、独軍機側の弁護をするならば、「彗星」のような航続距離がない以上、そんな全速力で長時間の追撃等できるものか、こっちが追いついて、本格戦闘を行った際に、すぐに燃料切れになりかねない、という事情があった。)


 そして、「天山」艦上攻撃機は、96式艦上攻撃機の完全な代替役を果たし、96式艦上攻撃機から「天山」、更に「流星」へとつながる世界最高峰の日本製艦上攻撃機の系譜をつないだ。

 その高性能は、米海軍のスプルーアンス提督をして、

「TBFで「天山」にやっと追いついたが、日本はすぐに「流星」を開発してしまった」

 と嘆かせた存在であり、

 英海軍に至っては、

「こっちは、ソードフィッシュで最後まで戦い抜いたのに、何で、弟子の日本海軍は、あんな高性能の艦上攻撃機を開発していくんだ」

 とある攻撃機乗りに嘆かせる結果を招いた。

(もっとも、これは、日本海軍が異常に艦上機の高性能化に拘った結果でもあった。米英海軍共に、艦上機にそんなに力を注がなかった。)

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