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第1章ー2

 こういったスペイン内戦に伴う思わぬ余禄があったとはいえ、基本的に兵器等の開発は、国内で行うのが大原則である。

 また、それぞれの国の実情、軍部の要望に合わせた兵器の開発が行われるのが当然だった。

 日本海兵隊で言えば、いわゆる特殊船、後の言葉で言えば、強襲上陸用船舶の先駆けともいえる船舶が代表で、最初期に作られたのが神州丸であり、この当時は、唯一の船だった。


 日本海兵隊は、その部隊の性質上、当初から敵前上陸等を真剣に考えて部隊を整備せざるを得なかった。

 実際、日本海兵隊は、日清日露の頃は、大規模敵前上陸を実施しなくて済んだが、第一次世界大戦ではガリポリ上陸作戦に従事している。

 また、1927年の南京事件によって勃発した日(英米)中限定戦争では、実際には行われなかったが、かなり真面目に大規模部隊を急襲上陸させることにより、中国軍の側面を衝いて打ち破る作戦計画が検討されている。

 そして、満州事変では、日本海兵隊により営口上陸作戦が実際に発動された。


 こういった数々の戦訓を踏まえて試験的に建造されたのが、神州丸であり、1935年初頭に完成した。

 神州丸は、上陸用舟艇を泛水する設備を整える等、上陸用舟艇母船としての機能を備えたもので、完全装備の1個海兵大隊が強襲上陸可能なこと等を求められ、それを実現させた船だった。

 そして、2年余りの実動訓練により、更なる改良、整備が求められるようになり、あきつ丸等、4隻が建造されることが決まった。

 あきつ丸等は、非常時には発艦のみ可能という尖った性能ではあったが、直協支援用の航空機24機の搭載も可能となっており、上陸部隊が揚陸し、揚陸地点近くの飛行場を確保した場合には、そこからの航空機運用も考慮されていた点で、一段の進歩がなされていた。

 まだ、建造中ではあったが、あきつ丸等が完成した暁には、日本海兵隊は、完全装備の1個海兵連隊を、いつでも強襲上陸させる能力を持つことになる予定だった。

 勿論、上陸用舟艇の整備についても、日本海兵隊は抜かりがなかった。


 試験的な存在だった小発動艇と大発動艇(第二次世界大戦直前、中発動艇に改称)は、1929年に開発が完了していたが、戦車の大型化が進みつつあることから、特大発動艇(第二次世界大戦直前、大発動艇に改称)が、1937年に開発が完了し、量産可能になっていた。

 この特大発動艇(大発動艇)は、零式重戦車の搭載が可能なサイズであり、約30トンまでの荷物を積むことが可能だった。

 このサイズでも、第二次世界大戦後半には、能力不足が指摘されるようになるが、この当時では十分すぎる性能があるといってよかった。


 神州丸が建造された時点では、特大発動艇(大発動艇)は開発されていなかったので、神州丸は対応していなかったが、あきつ丸等以降は対応しており、いざという際には活躍できると考えられていた。

 このように日本海兵隊は、着々と強襲上陸作戦に対応可能な能力を備えつつあったのである。


 何故、このように日本海兵隊が、強襲上陸作戦能力の整備に奔ったのか、というと中国本土への派兵に備えねばならなかったという事情がある。

 第一次世界大戦終結後、日本の最大の仮想敵国は、ソ連であり、次が(共産)中国だった。

 上海、南京方面で、中国が事を起こした場合、早期の鎮圧を図るために、日本は速やかに海兵隊を派遣する必要があった。

(早期に鎮圧できなかった場合、陸軍が追加で派遣されることにはなるが、日本としては、それは避けたい事態に他ならなかった。)


 そして、それに対応するために満州事変後、日本は財政と相談しつつ、できる限り陸海空海兵四軍の拡張を図らざるを得なかったのである。

 史実では、陸軍が「神州丸」等を保有していますが、この世界では、海軍(海兵隊)が保有します。


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