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東方魂恋録  作者: 狼々
第1章 幻想入り
8/90

第8話 鴉天狗の新聞記者との交流/刀の準備

どうも、狼々です!

私はFAQを見てたときに見つけてしまったんですよ、ええ。

『一話当たりの最低文字数について』

利用規約、FAQと取扱説明書は全部見たんですよ。

ですが、一つだけ、見逃していまして……

それを見てみると、こう書いてありました。

「2500字以上推奨」と……

これからは、大体5000字くらいで投稿ができればいいなと思っております。

今回のタイトルに/が入っているのは、~との交流とは他に、本編で関わることを書いているからです。

一応、この話を見ないでも本編がつながるようにはしますので、ご安心を。

では、本編どうぞ!

レミリア・咲夜と別れて、俺は次に挨拶をする人を探していた。

にしても、レミリアが吸血鬼であることに、実感がない。

確かにあの時俺は事実だと考えたし、今でもそれは変わらない。

の、だが。それを受け入れたり、認識するのはまた別問題だ。

まあ、認識する以外に、何をしても変わらないのだが。

流石に咲夜は人間だよな……?

魔理沙も魔法が使える人間、とか言っていたが、魔法が使えたら人間じゃなく魔女になるだろ。

だめだ……もう人間かそれ以外かの種族の基準がわからなくなってきた。

せめて、わかりやすい種族から先に挨拶しよ……

そんなことを考えていると、上空から・・・・少女の声が聞こえた。


「あ! やっと見つけた!」


どうやら俺を探していたらしい。

少女は、空から俺のもとへ向かって降りてくる。のだが……


如何せん見えてしまっているのだ。何がとは言わない。俺にとってはあまり残念でもないのだが……

見ようと思わなくても自然に視線が吸い込まれる。


……ふむ、白か。取り敢えず、平静を装うんだ、俺。幻想入り初日で嫌われるとか、シャレにならない。

残り5年をどうしてくれようか。


「こんばんは、新藤さん! 私は清く正しい射命丸で知られている、射命丸(しゃめいまる) (あや)と申します!」


レミリアと同じく赤の瞳に、半袖の全体が白、袖口が黒のシャツ。

黒色のフリルの付いているスカートと、底の高い下駄の様な赤い靴。

そして何よりも目立っているのが、背中にある黒い羽。その羽根は蝙蝠のような感じではなく、烏の羽だ。


「こんばんは、文さん。知っているようですが、一応。俺は新藤 天といいます。できれば俺のことは名前で呼んでください。名字で呼ばれるのは嫌いなんですよ」

「あやややや、そうでしたか……失礼しました、天さん。私のことはお好きなように呼んでいただいて構いませんよ! 敬語も要りません。」

「わかった、文。すまないな」

「いえいえ。私は新聞記者をやっています。早速なんですが、天さんに取材をしたく、こうして訪ねた所存です。お願いできますか?」

「ああ、喜んで取材を受けよう。」


俺は文からの質問を正直に答えていった。


―*―*―*―*―*―*―


天の能力の説明と武器の決定をした後、私は古い友人の住んでいる場所――白玉楼に向かっていた。

スキマを抜け、白玉楼についた私は、広い屋敷のなかで友人である、彼女の部屋へ向かった。


「こんばんは、幽々子(ゆゆこ)。宴会には行ってなかったのね」

「こんばんは、紫。ええ。なんかゆっくりとしてたかったのよ」

「あなたは相変わらずのマイペースみたいね……」

「まあね~♪」



「ねえ、幽々子……」

「……何?」


私が真剣な雰囲気で話しかけたことを悟ってくれた幽々子は、持ち前の飄々さを微塵も漂わせていなかった。


「幽々子と、あなたの従者に、頼みたいことがあるのよ。どうしてもあなたに――」



「ええ、いいわよ。受けるわ」



……私は心底驚いた。まだ何も頼む内容を言ってないのに、幽々子がその頼みを受けると言っているからだ。


「いいの? 私はまだ何も内容言ってないわよ……?」

「いいのよ。紫が真剣に頼んでくれるんだもの。こうして私に頼んでくれていることが嬉しいのよ。それに――」

「それに?」

「どうせ、幻獣絡みのことなんでしょ?」

「……何で、そう思ったの?」

「紫がこんなに真剣に悩んでいるなんて、幻想郷の危険と関係あることしか考えられないわ。」


……どうやら、幽々子は全部お見通しの様だ。


「ええ、その通りよ。」

「じゃあ、私たちは何をすればいいの?」

「少し前に天、っていう子を連れてくるかも、って言ってたじゃない?」

「ああ、確かに言ってたわね」


「……その子をここに住まわせて、剣を教えてやってほしい」


私は、幽々子に頭を下げた。


「頭を上げて頂戴、紫。私は言ったはずよ? あなたの頼みは受けるって」

「……ありがとう……!」


私は、幽々子に深く感謝した。


「剣の技術についてはあの子に後で教えるよう頼んでおくわ。で、問題は……」

「肝心の刀自体、よね?」

「ええ。でも、刀に関してはあるのよ。うちに」

「あら、あるの?」

「あるにはある。けれど、その子が使いこなせるかどうかは別だけどね?」

「それに関しては多分大丈夫よ」

「その心は?」

「……彼の能力が、本格的に開いたから」


幽々子は驚く様子を見せる。私も彼の能力発現を知ったときにはかなり驚いた。

なんてったって……


「ありえないわ。幻想入りはいつしたの?」

「今日よ。もっと正確に言うと……6、7時間位前かしら?」


ええっと……天が家に帰ったのが大体18時、それとほぼ同時に幻想郷に入れて、

今が宴会をやっていて24時位……ええ、あってるわね。


「……だったら尚更ありえないわ。幻想郷に来てすぐに能力開花なんて、私も聞いたことが無い。」

「私もよ。信じられないかもしれないけど、彼は外の世界で既に、能力が開花寸前だったのよ。少しだけだけど、能力の効果が出ていたときもあったわね」

「な……!」

「多分、幻想郷の妖力や霊力に当てられて、本格的な能力開放に至ったんだと思うわ。」

「……で、その子の能力は?」

「『努力が実りをもたらす程度の能力』よ」

「……また随分と地味なようで、強そうな能力ね」

「ええ、全くその通りよ。詳細を説明すると、努力量に比例した結果が得られるかつ、その効果が約束されているって感じね」

「それは……つまり、努力して報われないことは一切なく、努力の仕方によってはいくらでも強くなれる、と?」

「まあ、極端に言ってしまえばね。ただ、無限に強くなれるかはわからないし、そうなる可能性があっても、極々低いでしょうね」


無限に強くなる、ということは言ってしまえば、かなりの努力を永遠に続けることに等しい。

人間には『超回復』というものがある。それは、自分の限界に挑戦し続けることで、かつての限界を突破して、限界の上限を引き延ばすことだ。

『努力』の能力の強いポイントは、その超回復のしやすさにある。

つまりは、限界を更新し続けることが成長し続ける条件である以上、無限に強くなろうとすれば、

途方もない努力と時間が必要になる。やろうとしても、途中で精神が擦り切れて終わりになることは目に見えている。


「なるほど、それで刀も使えるようになる、と。」

「ええ、その通りよ」

「じゃあ、『あれ』を使わせるとするわ」

「ええ、ありがとう。それと、天は今日博麗神社に泊まらせるわ。明日から天のこと、よろしくね。任せたわよ」

「ええ、任されたわ」

「じゃあ、私は天に報告に行ってくるわ。」

「ええ、いってらっしゃい。」


私はスキマをつくり、その中に入る。目的地は、博麗神社。


―*―*―*―*―*―*―


紫を見送った私は、私の大切な従者――魂魄妖夢を探していた。


「妖夢~! 妖夢~!」

「如何なさいましたか、幽々子様」

「あなたに用があって探していたのよ」

「それで、ご用件は?」

「2つあるのよ。1つは、明日ここにやってくる男の子に、剣を教えてほしいの」

「……剣を、ですか?」

「ええ、剣。」

「……幽々子様のご用命であるのなら私は構いませんが。それで、もう一方は?」

「結構大切に保管してたあの刀、あるでしょ? あれをいつでも使えるように準備しといてくれない?」

「……それは、その例の男に?」

「ええ。そうよ」

「私が剣を教えられる位の剣の腕で、あの刀を使いこなせるとも思えませんが……」

「2つ目の用は、紫からのお願いでもあるのよ。何でも、努力次第ではそれも使える、らしいわよ」

「……わかりました。すぐに準備を始めます」


そう言うや否や、あの刀を取りに行き始める。


「頼んだわよ~!」

「わかりました~!」


妖夢への用も済ませた私は、私室へ戻ることにした。


―*―*―*―*―*―*―


文からの質問を答え終わった俺は、文と雑談をしていた。


「なあ、文。お前のその羽って烏のか?」

「ええ、そうですよ?」

「じゃ、文の種族は烏なのか?」

「厳密には違いますね。元々は鴉でしたが、今は天狗に変じて鴉天狗です」

「へぇ、そうなのか。じゃあ、文の出してる新聞は何なんだ?」

文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)と言います。よかったらご購読くださいね! 今回は号外として天さんを載せたいのですが、いいですか?」

「ああ、構わないよ。ただ、ゴシップ記事だけはやめてくれよ?」

「ええ、勿論です! 裏の取れない情報は新聞記事にはしませんよ。逆に言うと、真実だったら何だって書きますよ?」


それは……ゲスいな。真実だから否定できないのがまたいやらしい。

そんな想像をしていると、文はそれはもう楽しそうな表情でこう言う。


「例えば、天さんが私が空から降りてくるときに、スカートの中を覗いてたこととか!」


……バレていたのか。いや、まだ弁解の余地はある。落ち着いて対処だ。


「いや、初対面の女の子相手にスカートの中覗くとか、どんな神経してんだよ。俺はそんな神経持ち合わせちゃいねぇよ」

「じゃあ、初対面じゃなかったら覗く、と……」

「おい、何メモ取ってんだ。真実以外載せないのは嘘だったのか?」

「いえ、今の発言を逆に捉えるとそうなりますが?」

「嘘の反対が真実とは限らないだろ」


俺がそう言ったこの言葉を待っていたかのように、さっきよりももっと楽しそうな表情の文がそこにいた。


そして、俺は自分自身の失言に一足遅く気づく。


「あれれれれ? 嘘の反対が真実とは限らない? ということは? 最初に言ったことは嘘であると?」


……こいつ、妙に鋭いな……俺の失言を見逃していない。

……まあまて。一旦考えろ、この出来事が、俺にとってどれだけ重要かを。


文がこのことを新聞に載せて配ったらどうなる?

俺は『変態』のレッテルを貼られ、周囲からは蔑む視線のプレゼント。

幻想入り祝いにしては、中々酷いじゃないか。

100歩譲ってそうなるのはいい。だが、問題はその先だ。


俺は周りとの交流が、少しはしにくくなるだろう。そうなると、俺は残り5年をどう過ごせばいい?

俺はまだ、会ったことがある相手よりも、会ったことがない相手の方が格段に多い。

第一印象もまだついていないような状態だ。そんな相手に新聞が配られ、『天の第一印象=変態』の等式が1度成り立ってしまうと、

それを払拭するのは中々難しい。第一印象は、良くも悪くも変わりにくいものだ。さらに、これは俺の信用にも関わってくる。


それは、幻獣をこれから一緒になって倒すことになるであろうメンバーにも言えることだ。

変態で信用できない、と思われた俺は、戦闘時にコミュニケーションや戦略が上手くいくだろうか。いや、いかないだろう。

そうなると、幻獣に幻想郷を滅ぼされる可能性が高まってしまう。

……ヤバい……!


これは俺の信用と・・・・・・・・幻想郷存続に・・・・・・大きく関わる(・・・・・・)ッ……!!


絶対に失敗してはならない。重要度が高すぎる。

こんな下らないことで幻想郷と外の世界へ幻獣を侵攻させる訳には……!

考えろ。この状況で最も最適な答え……模範解答は何だ……?

文が新聞に載せたら困る状況をつくりあげるんだ……!


困る……状況……?


「ハッ、はっはっはっはぁっ!」

「あやややや!? いきなりどうしたんですか?」

「文、お前は一体何が言いたい?」

「……天さんは、スカートの中を覗いている、と言いたいんですが……」

「ああ、そうだな。それは、どういうことを示していると思う?」

「……? ……あっ!」


文はそれに気づき、顔を羞恥で少し赤面させる。


「そう、俺は知っていることになるんだよ。色を、種類を。何がとは言わないがな? もし。文が新聞にこのことを載せて配ると同時に、俺はそれらを暴露して回るとする。そうなると、文にとっては少なくとも、いいことではないよなぁ?」

「う、うう……」

「俺は見てないって言ってんだ。嘘じゃない。新聞に載せられたら、デマを言いふらすだけだ。文にとって、いいことは一つもない」

「……わかりましたよ、このことは新聞に載せませんよ……」


よし……!勝った……!

そんなことを思っていると、文はメモ帳をポケットに入れ、宴会から帰ろうとしていた。


「じゃあ、私はここらで帰りますね。今から編集しないと、朝に間に合わないので」

「ああ、わかった。編集頑張れよ?」

「ええ、ありがとうございます。……あの事は新聞に載せませんから、本当にデマとかやめてくださいね……?」

「ああ、わかったよ」

「それでは、失礼します!」


もう一度念を押した後、文は1秒もかからないうちに、背中が見えなくなる位の速さで飛んで帰っていった。


「……速っ!?」


妙な脱力感がやってくる。そして俺はこう思う。



俺は一体何をしていたんだろう、と。

ありがとうございました。

天君との交流はないものの、とうとう妖夢ちゃん登場!

メインヒロイン登場に8話かかるとは……


今回、少しコメディ的な何かの要素を加えてみました。

もっと〇〇の要素が欲しい、☓☓の要素より、△△の要素を優先して欲しいなど、

要望があったらなるべく汲み取って書いていきたいとは思います。

ではでは!

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