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東方魂恋録  作者: 狼々
第5章 現実
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第50話 告白 あなたのことが――

どうも、狼々です!


お待たせしましたぁぁぁあああ!

この話をこのタイミングで書くためだけに、日常話を多く書いてました。

どうしても記念の第50話で書きたかったんです。


そして、10000UAいきました! ありがとうございます!

とうとう五桁の台に登れました。よかった。

第50話までにはいきたかったので……ギリギリですが。


彼氏彼女になれるかどうか!

まだ告白だけなので、成功かどうかはわからないですからね?


では、本編どうぞ!

 朝食を食べている途中、やはり俺は意識してしまう。

 何もないふりをして、ちらちらと。


 そして、目に入る度に嬉しくなってしまうんだ。

 未だに彼女の首にかけられ続けている、ネックレスが。

 つい頬が緩んでしまいそうになる。


 かくいう俺も、同じくかけているのだが。

 どうしても。一瞬外すのも少し躊躇ってしまう。


「あ、そうそう。三人は修行が終わったら、すぐに宴に行って頂戴。夕食はそっちで取るから大丈夫よ」

「……わかった」


 宴と聞いて、さらに実感と緊張感が湧いてくる。

 今日は、告白の日なんだと。人生で初めて、告白する日なんだと。





 修行の時間も、気が気じゃなかった。

 少しでも集中力が欠けると、すぐに上手くいかなくなる。

 何度集中が途切れかけたことだろうか。


 修行が終わって、すぐさま栞に言われたのだ。


(天……ちょっとそれは……)

(いや、あのな? 言いたいことはわかる。けどさぁ……どうにもならないんだよ)


 本当にどうにもならないんだ。

 気付いたら、彼女のことばかり気にしている。

 気付いたら、彼女のことだけが頭に浮かんでくる。


 ……本当に、どうにもならない。


 ―*―*―*―*―*―*―


 修行中は、私のドキドキが止まらなかった。


 神憑を持った彼を見ると、どうしても目が離せなくなる。

 目が引きつけられる。その視線の先には、大好きでたまらない彼。

 目を逸らさないといけないのに、できない。


 集中なんて、到底できるものじゃなかった。

 少し早めに、修行を切り上げて人里へ。


 彼が人里に降りた瞬間、皆が彼の元に集まっていった。

 彼は人望もあって、優しくて、強くて、かっこよくて。

 そんな魅力で溢れる彼が、私に振り向いてくれるのか、不安になる。


 でも、上手くいくにもいかないにも、この想いは伝えたい。

 大好きだって、彼に言いたい。


 そして、お互いに好きになることを、夢に見て――


 ―*―*―*―*―*―*―


 宴は、俺達が来て間もなく始まった。

 今は夕方で少し早いが、俺達への幻獣討伐の労い・お祝いと、翔の幻想入りの歓迎の二つを込める宴なので、

 少し早めに始めて、存分に騒いで楽しもうということらしい。


 で、宴が始まる前に一言挨拶を。

 当然、幻獣戦に関わった全員が来ているが、代表で俺が挨拶。

 なんとなく予想はしていたが、まさか本当に挨拶になるとは。


「それでは、『努力の英雄』様から挨拶で~す!」

「おい霊夢。それやめい」


 司会の霊夢でさえも、俺に皮肉たっぷりで二つ名をわざわざ言う。

 それかっこいいけどさ、少し恥ずかしいんだよね、やっぱり。


 前に出て、皆の顔を見る。

 こうしていると、幻想入りした初日を思い出す。


「皆、今日はありがとう。そしてお疲れ様。これからも頑張っていこう!」


 簡単に挨拶をして、後ろで待機していた翔と代わる。

 緊張など縁がないとでも言うように、いつもの笑顔。

 さすがに『冷静』の能力か。


「どうも、相模 翔です。どうぞよろしく~」


 さ、さすがだな……この緩さが安定している。

 その後も緩さバツグンの、適当かとも思う挨拶が続いた。


 で、俺と翔、同時に乾杯の合図を。


「「じゃあ、乾杯!」」

「「「乾杯!!」」」


 合図がかかった直後、あの日の騒がしさが再来した。

 この皆で騒ぐ様は、忘れようにも忘れられない。


 そして、俺のところに、よく知る吸血鬼とメイドがやってきた。


「お疲れ様、努力の英雄さん」

「それはやめてくれ、レミリア……呼ばれる側としては、嬉し恥ずかしなんだよ」


 英雄とか、自分にはふさわしいのかどうか、わからなくなってくる。

 それに、こうやって皮肉の様に言っていじる人もいるしね。


「あら、じゃあもっと呼んであげようかしら、執事さん?」

「相変わらずだな、咲夜。俺は執事でもいじられキャラでもないからな?」

「案外そうでもないかもしれないわよ? 幻獣を倒し終わったら、執事になってたりしてね」


 いや、ないな。

 俺も結構長く紅魔館にはいたけど、もう白玉楼からは出ないんじゃないかな?


「で、冗談を言いに来たのか?」

「そう思う? 違うわ。応援よ、応援」


 応援とアバウトに言われても、何の応援なんだよ。

 幻獣戦か?


「私、今日は貴方が妖夢に告白するの、知ってるわよ? 運命だからね」

「あ~……そうかい。ははっ」


 なんかもう、苦笑いしか出ない。

 もう知れ渡ってんじゃね? 皆が黙っておくのが暗黙の了解みたいな。


「頑張ってね。あ、ちなみに、バレンタインももらってることも知ってるわ」


 監視カメラかよ。

 全部が見透かされている気がしてならない。


「私も一応応援したげる。しっかりしなさいよ?」

「あぁ……二人共、ありがとうな」


 お礼を言うと、彼女達はすぐにどこかへ行こうとする。

 行こうとして、こう言ったのだ。


「上手くいくと……いいわね」


 ホント、上手くいけばいいけどね。

 俺が心の中でそう返すと、すぐに去っていった。


 二人が去っていった後、俺はすぐさま彼女の元を探しに。

 何よりも大切で、大好きな彼女の元へ――。


 ―*―*―*―*―*―*―


 乾杯の挨拶を終えて、皆が騒ぎ始めた。

 すぐに彼の元に行こうとしたけれど、止まれの声がかかった。


「妖夢さ~ん」

「あ、文じゃないですか。私に取材ですか?」


 鴉天狗が飛んできた。

 普段は会わないので、何かしら用事があって来たのだろう。

 そう考えると、取材の線が一番濃厚だ。


「いえいえ。今日は――」


 そこまで言って、周りに聞こえないように私の耳元で続ける。


「天さんに告白するんでしょう?」

「――え!? 何で知ってるんですか!」


 幽々子様と相模君以外は誰も知らないはず。

 ……相模君? もしかして、バラした?

 許せないかもしれない。この刀が閃くかも……


「想像ですよ。今夜が一番いい舞台ですからね」

「な、なるほど。それで、どうしました?」


 取り敢えず、相模君は生きられるようですね。

 でも、多分彼が止めるから、斬るにも斬れないだろうけど。


「上手くいくといいですね。頑張ってくださいよ~」

「あ、ちょっと――」


 それだけ言って、すぐに飛び去って行った。

 いつもの文なら、告白の後に取材するだろうに。


「……行こ」


 一人で、静かに呟いて。

 ざわつく心を胸にしまいこんで。

 多少早歩きになりながら。


 彼の元へ。

 何よりも大切で、大好きな彼の元へ――。


 彼が私を見つけると、すぐに走ってきてくれる。


「よ、妖夢。宴、一緒にいてくれないか?」

「あ……は、はい。喜んで」


 私は、すごく嬉しかった。

 彼が走ってきてくれたこと、彼から一緒にいようと言ってくれたこと。

 期待してしまう。私のことを、好きでいてくれるんじゃないかと。


 それから、夜になるのは早かった。

 夜に少し近い夕方だったことも、原因の一つだろう。


 けれど、私は彼と一緒にいたからだと思う。

 彼ともっと一緒に過ごしたい。一緒にいるだけで楽しいから。

 その楽しさが、時が早く感じさせたんだと、私は思う。


 そして、霊夢の一声。


「皆~! 今から花火、あげるわよ~!」

「「「おお~!!!」」」


 一層の騒がしさを見せた直後、夜空に一筋の光が尾を引いて。

 数秒後、胸の中に破裂音が響いて、大輪の花を咲かせていた。


 隣の彼の横顔も、その美しい光に照らされて。

 私が見たら、いつも輝いて見える彼が、より輝いて、かっこよく。

 その姿は、それこそ幻想的だった。


 周りには、人はいない静かな場所。ここを選んで連れてきた。

 告白するなら、ここだ。


「……綺麗だな」

「……そうですね」


 もう、告白しないといけない。

 頭ではそう考えていても、言葉が出ない。


 一体、どうなってしまうんだろう……?


 ―*―*―*―*―*―*―


 ついに、花火があがった。

 胸の中に響く独特の音が、自分の心臓を早めてくる。


 言葉を繋がないといけない。

 告白の言葉を切り出さなければならない。

 想いの丈を、伝えなければならない。


 早めに踏み切らないと、後悔することになるかもしれない。

 言えないまま、俺が妖夢に忘れられて、消えてしまうかもしれないから。

 そう思って、口を開こうとしたその瞬間。


「天君!」


 隣にいた彼女が、大きな声を出した。

 そちらの方を向いてみると、妖夢が俺の瞳を真っ直ぐに、真剣に見つめていた。


 ―*―*―*―*―*―*―


「天君!」


 私が声をあげたら、彼が私へ体を向けて見てくれる。

 彼と目線がぶつかった瞬間、私の心臓は大きく跳ねた。


 トクン、トクンと間隔の狭い鼓動がうるさい。

 耳元でなっているんじゃないかとも錯覚させるほどに。

 私のドキドキは、静まるどころか、どんどん加速して。


「あ、あの!」



 意を、決して。

 



 自分の気持ちに、正直に。





 今の想いの強さを、彼に。






















「わ、私! 天君のことが、大好きです! 異性として、大好きなんです!」


 ―*―*―*―*―*―*―


 ……あ?


 いま、ようむが、すきって……おれを?


 お、俺は、告白して、え?


 い、いやでも、俺も、妖夢のことが――


「……はぁ~……」


 溜め息をついて、妖夢の体が跳ねた。


 なんで、だよ……













「……なんで、先に言っちゃうんだよ!」


 ―*―*―*―*―*―*―


 彼が大きく声をあげた瞬間。


 私の体が彼に引き寄せられ、抱き締められた。


 少し苦しいくらいに強い。息もしづらい。


 けれど、私は幸せだった。



 ……答えは、どうなんだろうか。



「妖夢! ……聞いてくれ! 












 ――俺も、妖夢のことが、大好きだ!」



 そう、こたえが、かえってきた。


 同時に、抱き締められる力が、一層強くなった。


「あぁ……あぁぁあっ……!」


 幸せで、たまらない。

 全身が喜びの声を上げている。


 私も、彼を目一杯抱き締めた。

 自分の想いの丈を、精一杯表現する。



 そして、彼が腕を離した。少し、寂しくなって、つい声を上げてしまう。


「あ――」



 そして、その声がでる口が。唇が。




























 ――彼の唇で、・・・・・塞がれた・・・・


 その瞬間、横では花火が大量にあがって、暗闇を照らしていく。


 花火でできた私と彼の影が、口元で一つになっている。


「んっ……」


 そして、私のお腹の奥が。

 切なそうにキュッ、となった。


 彼の唇が、離された。


「あっ……も、もう一回……んっ……」


 今度は自分から求めて。

 彼の後頭部に腕を回して。


 彼も、私の後頭部を寄せてくれている。

 それが、私を求めてくれているのだとわかって。


 どうしようもなく、心も体も幸福感で満たされる。

 頭の中が真っ白になる。本能で、彼を求める。

 頭だけではなく、体も火照ってくる。


 これ以上に幸せなことが、あっただろうか?

 こんなに自分の心が満たされることが、あっただろうか?


 一回目は短く、軽く。

 二回目は長く、情熱的にキスをした。


 そして、二人で唇を離した。


「妖夢。俺は、妖夢のことが大好きだ」

「はい……はい……!」


 大好きだ、と言われる度に、お腹の奥がキュッとなる。

 幸せの証、なのだろうか?









「俺と……付き合ってください」


「はい……! こちらこそ、喜んで!」


 私と彼は、溢れんばかりの幸せに、身を震わせて。


 あまりの幸せに涙を流して、再び強く強く抱き締め合った。


 ―*―*―*―*―*―*―


「あやややや……これはまた……」


 隣の文さんが、少し赤面しながらカメラのシャッターボタンを押す。しかも連写。

 抜かりないね。


「幽々子さん、すごく過激ですねぇ、これ」


 俺もそう言いつつ、カメラのシャッターを切る。勿論連写で。

 抜かりはない。


「えぇ。ただのキスなのに、どこかえっちぃわね」


 『えっちぃ』って言い方もまた可愛くてえっちぃ。

 今この場には、幽々子さん、文さんと俺。


 そして、前に天がお世話になったらしい、紅魔館というところの、レミリアちゃんと咲夜さん。

 咲夜さんは、例のタネなし手品の人らしい。実際に見せてもらったが、あれはすごかった。

 時間を操るらしいから、何でもできちゃうよね。


 レミリアちゃんに、ちゃん付けで呼ばないでって怒られた。

 けど、幼女の見た目で可愛いから、これからもちゃん付けで呼ぼうっと。


「じゃあ、撮影も終わったし、見つからないように行こうか」


 皆で頷いて、その場所を離れる。ここは草むらなので、慎重に。

 天達は、仲良く腕を組んで花火を見ている。

 まだまだイチャつくみたいですねぇ。




 そして、事件は起こった。


 パキパキパキッ。


 ……ん?


「……あ」


 それは、レミリアちゃんが足元の木の枝をいくつも踏んだ音だった。


 ―*―*―*―*―*―*―


「そぉ~らくぅ~ん」

「……どうした?」

「呼んだだけで~す……えへへっ」


 可愛い。

 告白が成功に終わって、俺達は……恋人同士。

 花火を腕を組んで見ているのだが、腕に頬をすりすりしてくるのだ。

 ……可愛い。可愛すぎる。


「そぉ~らぁ~」

「どうした?」

「呼んだだけだよ~……えへへぇ~」


 さっきからずっとこの調子なのだ。

 頬ずりしながら、ただ俺の名前を呼ぶだけ。


 もう耐えられないんだけど。何この可愛らしい小動物。

 もう一回抱きたいな~。


 そんな欲望を沸々とさせていると。


 パキパキパキッ。


 隣の草むらから、あたかも人が踏みましたよ、という音が聞こえた。

 彼女にもしっかりと聞こえていたようで、二人同時に草むらを振り向く。


「「……あ」」


 つい、声をあげてしまう。

 草むらには、幽々子、翔、咲夜、レミリア。そして、文。


 瞬時に頭が回転する。

 この中で一番逃してはいけない人物は誰だ? と。


「文、翔! ちょっと待て!」


 霊力強化で間合いを詰めるも、時既に遅し。

 幻想郷一のスピードを誇る文には、とっくに逃げられてしまった。

 翔は捕まえた。逃してない。


 ただ、気付いたらレミリアと咲夜が見えない。

 咲夜か……時を止められたら、何も出来ない。


「さて、どういうことか、きっちり言ってもらおうか?」


 残った幽々子と翔に問い詰めよう。

 翔は手にカメラ持ってるし、捕まえたかった。

 一番はやっぱり文だが。


「い、いや違うんだよ。見逃せるわけないじゃん。それに、踏んだのはレミリアちゃ――い、いないし……」

「そうよ。あんなこと言われて、覗かないわけにもいかないじゃない。覗けと言っているようなものよ?」

「そうかそうか。覗きを平気でするんだな。へぇ~。……何か、言い残すことは?」


 そうやって問うた直後。


「「じゃあね!」」

「あ、ちょっと待て――!」


 二人がすごい速さで逃げていった。

 反応に遅れた俺は、到底追いつけるはずもなく。


 妖夢の場所に戻って、事後報告。


「あぁ~……悪い。逃した――妖夢?」

「あ、あわ、わ……抱き、合って、キスも、して……」


 顔を今までで一番赤面させて、もはや単語しか並んでいない。

 俺は、ちょっと思ってしまった。


 この妖夢の姿が引き換えなら、いいんじゃね? と。


「……大丈夫だよ。それとも、俺といるところを広められたくないくらい、俺が嫌い?」


 そう言って頭を撫でると、俺の胸にぽすんと顔をうめて、腕が回された。

 表情が見えないように、小さく首を横に振っている。顔をうめたまま。


 ……俺、もう耐えらんない。

 彼女と同じように腕を回し、結局は抱き合う形に。


 そして、その日で一番大きな花火が、俺達を明るすぎるくらいに照らした。


 まるで、俺達を祝福してくれているように。


 そして俺達は、同時にこう言ったのだ。





「天――」「妖夢――」




 あなたのことが――
















「「――大好き!!」」

ありがとうございました!


今までで一番甘々に書いたつもりです。

妖夢ちゃんは可愛い。異論は認めない。


どれくらいの人が悶てくださったでしょうか?

私は、書いている途中に恥ずかしくなってきました。

……自分の作品なのに。


これからこの作品では、恋人同士の天君と妖夢ちゃんを、よろしくお願いします!


ではでは!

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