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私は強くなりたい

 強さって一言で言ってもいろいろあると思う。

 たとえば、ステータスだとか肉体的強さとか……でもそういうものじゃなくて。なんていうのかな、内面的強さ。精神的な強さ。それが私に足りないもの。


 今思えば、生まれつきの病気だったと思う。

 日本人の約100人に1人がかかっている?と言われている心の病、統合失調症。

 私もそのうちの一人なわけで。薬を服用しながら、闘病生活を送っている。

 薬を飲み始めた学生の頃は、眠気との戦い。朝、電車に間に合うように頑張って眠たい目をこすりながら電車通学したっけなぁ……それでも、教室に入るのが億劫で、自分に自信が持てなかった。美術部に入って友達は増えたけれど、教室に入れず保健室登校などを繰り返していた私が勉強に追いつけるわけもなく。補習などを受けて一生懸命追いつこうとした時期もあった。難しい問題も頑張って取り組んだ。わからないところは先生に聞いたし、でも単位はとれなかった。留年したけれど、やはり思うように頑張れず、転校。

 

 在籍期間を持ち越して2年で3年分の単位をとることに。友達をつくるのは難しいかもしれないと思っていた。そんな時。偶然体育の授業で出身中学が同じの女の子と出会う。なんとなーく話していただけだったのだけど、思いの外楽しく話しも弾む。私たちはあっという間に仲良くなり、そこから友人の輪も広がった。女の子のグループ(+男子数人?)などでお菓子を持ち寄ってお菓子パーティーを開いたり、部活の見学にお邪魔したり。ありえないほど充実してたと思う。勉強も頑張った。暗記していれば問題ないような簡単な問題も結構あったけれど、それでも、一生懸命覚えた。積極的に挙手して答えを言ったり、卒業式で足を緊張で震わせながらも卒業生の答辞を読み上げたのは今でも覚えている。親友の子に言われたからだ。○○ちゃん、足震えてたけど、大丈夫!?とね。今でも忘れない。震えてたよっ!!


 車の免許も自動車学校に泣きながら通ってなんとかとれた。その頃の私はというと、とあるゲームに友人に勧められてどっぷりはまっていた……。そんなある日、自動車学校でかっこいい姉御肌の教官に言われたのである。

「○○ちゃん、車で冒険に出よう!」

 素敵なセリフだった。今までゲーム内で駆けずりまわっていたけれど、車で……現実で、冒険出来たらどんなに素敵だろうと思えた。はっきりいって、私は運転が下手だった。始めに指導についてくれた教官には、初回の実技講習で、このままだと延長(講習を)しないと、免許はとれないんじゃないかなぁ……というようなことを、困り顔で言われたくらいだ。悔しいけれど、それくらい運転が不得意なのだ。わかってほしい。


 結局、進路、進路という嫌な言葉をよく耳にする季節に、私は決断した。

「お母さん、私、進学しないよ。就職する」

 進学したかった。でも家計的にも難しそうだったし、私は学校に普通に通うのが困難な状況。そう決めた。


「こんにちは~」

 だけど、無理だったんだ。

 心療内科を転院した後、職業訓練なるものに通うことに。

「○○さん、こんにちは!」

 暖かくその人たちは私を受け入れてくれた。私も力になりたい。すぐに疲れちゃうけれど、人より傷つきやすいかもしれないけれど、私にもできることはないかな?

 それなのに、最近は現実逃避して通えなくてごめんなさい。

 私の趣味にも理解があって、でも、限度もあると思うんだ。

 だから決めた。

 一時的に好きなことを封印する。


 ゲームはいつでもできる。

 だけど、現実は時間が過ぎていく。

 それで後悔したくはない。

 それで、大事なものを失いたくはない。




 私は強くなりたいのだから。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 私には先天性脳性麻痺の友人がいます。 その友人に、更なる障害がみつかり、悩んだ末に手術を選びました。 放置すれば手が動かなくなる。成功しても現状維持がやっと。 声が出せず、電動車いすでの生…
[一言] なるほど、心の病は他人からはっきり見えないだけに辛いですよね。 私も昔に鬱になってその診断書を持って行ったのに、うつなんてのは甘えだ。と言われて結局その会社をやめたと言うか首になったというか…
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