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おかしな転生 短編集  作者: 古流 望


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書籍化記念短編 「お転婆娘とやんちゃ坊主」

短編 「お転婆娘とやんちゃ坊主」



 「ルミにも、そろそろ嫁の貰い手を探してやろうと思っとるのだが」


 バラモンドは一言呟いた。

 かつてはモルテールン家に仕える従士であった老年の男は、腰を痛めてからは家督を息子に譲っている。

 最近はめっきり家から出ることも減ってきてはいるが、まだまだ元気なお爺ちゃんだ。

 孫が五人居るが、そのうち長男の子である内孫が三人。上二人が男で、一番下が女。

 女の子は孫可愛がりに大事にしているが、その子こそルミニート。モルテールン領ザースデンにおいては、誰もが知るお転婆娘である。


 「爺ちゃん、あいつにはまだ早くないか?」

 「やかましい。お前が(はよ)う相手を見つけておれば、儂もやきもきせずにドンと構えていられるんじゃ。女の子は気を抜けばすぐ行き遅れと言われるようになってしまう。あの子がそうなっては不憫じゃろ。お前ら男連中が不甲斐ないから、我が家の将来の為にも、せめてルミぐらいは早めに相手を見繕ってやりたいという、ジジイの気持ちが分からんか? 老い先短い年寄りを安心させてやろうという気はないのか、まったく」

 「老い先短いって、まだまだ元気じゃないか。それに、俺にだって相手を選ぶ権利ぐらいある。そもそも、この村には若い女が少なすぎんだよ」

 「何を言っとる。このあいだもホレ、粉ひき小屋の倅が、隣村の別嬪さんを嫁に貰ったろう。単にお前に甲斐性が無いだけじゃ」


 やいのやいのと煩いのは、男比率の高い家ならではだろうか。

 男兄弟の多い家は、どこでもドタバタと騒がしくなるものだ。


 「俺のことはいいとして、ルミにもそろそろ好きな男が出来ても良い頃ではあるよな。あいつも次の春には十二だろ?」

 「若様のところの嫁さんが、確か今十二だったか。そう考えると、そろそろ相手が居ても良いな。確かに」


 ラミトとヤントの兄弟が揃って頷く。彼らにとっても、お転婆な妹の将来は気になる問題ではあるのだ。


 「相手って言えば、コアンのおっちゃんのところの坊主はどうよ」

 「マルカルロか。まあ、お互い仲も良さそうだし、無難な所だな。身分的にも釣り合うし、年も同い年だろ? 確か」

 「あいつら、お互いにどう思っているんだろうな」

 「んなもの、本人に聞けばいい。ちょうどそこで鶏の小屋入れしてるし。お~い、ルミ、マルク、ちょっといいか!!」


 グラサージュの家。つまりはルミの家では、領主家から鶏を預かって飼育している。

 これは、領主の館がまだ木造のボロだったときに、夜も明けていない早朝から鶏に鳴かれるのが堪らないからという理由と、既に引退しているバラモンドが居た為に年寄りの早起きには丁度良いだろうという理由。そして、世話をするのが小さい子供の仕事として都合も良いから、という理由からだった。

 餌などは放し飼いの為ほぼ不要。休耕地に、鶏の餌になるものがあるので、仕事と言うなら夕方に小屋に戻すことと、小屋の掃除ぐらいなのだ。

 放っておけば走り回っている子供たちにとって、鶏との追いかけっこは遊びのようなものである。


 楽しそうに走り回って鶏を追いかけていたルミとマルクとマルクの弟妹。

 呼ばれたからと、ルミとマルクの二人だけが、バラモンドたちの元にやってくる。


 「なんだよ兄ちゃん」

 「ラミトがサーニャに振られた件を聞きたいのか?」


 呼ばれて早々年長者を茶化すマルクは、さすがにペイスの薫陶確かである。


 「ちょっ!! おま、何処でそれを」

 「マルク、ラミト兄ぃのその話は後で聞きたい。ところで、呼んだのは他でも無い。お前たちの事だ」

 「俺たちの事?」

 「今日はまだ何もやっちゃいないよな?」


 首を傾げるマルクとルミ。

 この二人が呼ばれて質問がある時は、事情聴取である時が多い。主にイタズラに対して。


 「いやな、お前たち二人。どうなんだろうって話を今、していたところでな」

 「どうって、何だよ」

 「何ってほら、お前たち、お互いにどう思ってるんだ?」


 その言葉に、きょとんとしたルミと、真っ赤になったマルクは対照的と言えた。


 「な、な、な!!」

 「別に、よくつるんでるってだけだし、単に普通の友達だよ。な、マルク」

 「お、お、おう、そうだな」


 挙動不審なマルクの様子を見れば、ルミのことを満更でも無く思っているらしいことは分かる。対し、ルミの方は心底マルクのことをただの友達と思っているらしかった。


 「お前ら、好きあってるわけじゃないのか?」

 「だ、誰がこんな乱暴な女好きになるかよ!!」

 「んだとコラぁ、お前こそ人の部屋で泣きべそかいた泣き虫野郎だろうが!!」

 「昔の話をほじくりだしてんじゃねえ!!」


 幼馴染同士の二人。

 お互いに、遠慮することなど無い為、すぐにも口喧嘩が始まる。これは毎度のことだ。


 「なんじゃい、やっぱり仲はよいのか」


 祖父の呟きは、喧嘩している二人には聞こえるはずも無かった。

もっと甘めの糖分高目に…とのご意見があるかもしれませんが。

そういう方は、6章あたりにご期待頂ければと思います。


次話、「アニエスとジョゼの嫁談義」

お楽しみに

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