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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ヒーローを不在にする方法

ヒーローを不在にする方法~一般市民だって、暴徒化する 編~

続きは、ありません。

前作「ヒーローを不在にする方法~科学者たちは暴徒化した 編~」を読まなくても大丈夫ですが、読んでいたら分かりやすいかもしれません。

ここは、映画『グラックマン』の世界。

はじめまして。

もはや説明不要となった転生モブッ子の風見ゆかりです。


映画『グラックマン』とは、私の前世で大人気だった映画。

グラックマンは、悪の組織と戦う正義の味方。

なぜか犯罪が多発するここ、ブルーエンド市を特殊なボディースーツを着て守る謎の人物という設定。

その正体は、エリック・ガーディー。

この街の億万長者の息子。

ガーディー株式会社社長の息子。

両親は健在で、息子がドン引きするくらいのラブラブバカップル。

エリックは数年前に自分探しの旅から戻り、悪の組織と戦うためにプレイボーイを装っている真面目な青年。

大学で仲良くなった友人たちの内の一人。

あの似合わないプレイボーイ姿を見て、本人の前で指差して大笑いしてやりました。

彼は、顔を引き攣らせながら笑顔を保っていましたが。


私がこの世界が前世の映画の世界だと思いだしたきっかけは、サイエンス研究所で起こった事件がきっかけです。

本来なら、悪の組織に無残に破壊され跡形もなくなる研究所だったのですが、なぜか無力であるはずの科学者たちが悪の組織の襲撃者たちを鎮圧したのです。

この時に私は思いました。

『普段、大人しい奴らほどキレると危ない』と。

このことは、私の中にある心の辞書に深く深く刻みつけておくことにします。

そして、この事件のあとにこのサイエンス研究所に勤める同じ日本出身の『矢塚明日香』が、『一般市民のための暴徒化法』を市議会に提出し、成立させました。

『一般市民のための暴徒化法』とは、悪の組織の戦闘員などの悪い奴らを一般市民が、問答無用に襲っても罪に問われないという法律です。

一介の天才科学者がどうしてそんなことができるか謎ですが、天才だからできるんだろうなと思い込むことにしました。

天才の謎が、ますます深まるばかりです。


ちなみに、現在の私の職業はムービー映画会社という有名映画会社の下っ端社員。

仲良しの近所の小父さんのコネで入社できました。

小父さんはもともとムービー映画会社日本支部にいました。

私のアメリカ留学中に、小父さんはアメリカ本部に栄転したのです。

現在のムービー映画会社アメリカ本部社長は、小父さんの友人で私が小さい頃からの知り合いです。

他のコネ入社した人たちと違って、私にはコネ入社特典と言うのはありませんが、持ち込まれる映画の企画書を読んでもいいという許可をもらいました。

その持ち込まれた企画の中に、『ヒーロー映画』がありました。

この地ではリアルヒーローがいるのに、ヒーロー映画の企画を持ち込むなんてと企画書を読んで大ウケしました。

中々その企画が面白かったので、楽しんで読んでいたら興味を持った社長と小父さんは映画化製作を進めていきました。

そして、予想外の大ヒット。

その頃に、『一般市民のための暴徒化法』が正式な法律として成立したのです。

そして、その後の会社の人たちから私と小父さんに「日本人は大人しいかと思ったんだけど、違ったんだな」と毎日のように言われた。

その度に訂正しました。社長はその様子を見て、指差して大笑いしてました。

日本人、あそこまで極端な思想してないから!

日本人、ほとんどの人たちが暴力を嫌うから!

あの天才のせいで、とんだ目に遭いました。

ちなみに、大学からの友人たちにも似たようなことを言われました。


ある日、通勤するために地下鉄に乗るといかにも怪しいという感じの人が頑丈なアタッシュケースを持っていました。

その時に、前世の映画『グラックマン』で見たとあるワンシーンを思い出したのです。

悪の組織の構成員が地下鉄に乗り込み、アタッシュケースを車内に残して去って行くというシーンを。

その後は、アタッシュケースから毒ガスが発生して多くの死人が出ました。

なぜ覚えていたかというと、その構成員が好きな役者さんが演じていたため。

私はさり気にドアまで近づき、傘を握りしめて彼を待ち構えました。

彼は、駅に着くと予定通りアタッシュケースを車内に置き去り、車外に出ようとしました。

私は彼が車外に出ようとしたところ、傘で彼を殴り飛ばし車内に無理矢理戻しました。 

私の行動に驚いた乗客たちに、

「彼が車内に置き去りにしようとたアタッシュケースは、毒ガスが入っています。警察が来るまで、彼が逃げないようにしましょう!」

と呼びかけました。

動揺して、足をもつれさせながら逃げ出そうとした悪の組織の構成員。

その様子に、乗客たちは私の言うことが真実だということに気付いて、構成員は私を含む乗客たちからフルボッコ。

やりすぎというくらいにフルボッコ。

暴徒化した乗客に終始ビビり気味の車掌さん。

次の駅に着いた時には、悪の組織の構成員は警察に御用となりました。

彼を逮捕した警察官によると、彼は泣きながら自白したそうです。

その時に、「一般市民、怖い」と言っていたそうです。

なんにせよ、自業自得ですよ!



そう、この時は思っていなかった。

エリックに、私が彼がグラックマンだと知っていることに気付かれて手伝わされることを。

エリックの無茶な行動に呆れている執事のセバスチャンから泣きつかれて逃げられなくなることを。

モブに戻ることは諦める。

だから、エリック。無茶な行動は控えて!

心配する身にも、なりなさい!

読んでくださり、ありがとうございました。

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