第2章 第4話
お待たせしました。続きです。この先は学校の方で忙しくなるので、アップは今までより遅くなると思います。
「寺沢!!本当の理由ってどういうこと!?」
「黙って聞いててひろか。校長、いったい何を隠しているんですか。」
「その前に聞きたいことがある。寺沢、お前はどうして北川の残した手紙を鵜呑みにしなかったんだ?」
「あんなこと、ゆかちゃんが言うわけないからです。それに私、わかってるんです。ゆかちゃんが学校をやめた本当の理由を。正しいかどうかはわかりませんが・・・」
「話してみろ。合っていたら、合っていると言ってやるよ。」
寺沢は少しためらいながら、話し始めた。
「・・・・私、見たんです。ある人たちがゆかちゃんをいじめているところを。」
寺沢の言った言葉に驚いた森はこう言った。
「いじめ!?それってゆかを直接!?」
「ううん。ゆかちゃんの部屋を荒らしているところを見かけたんだ。ゆかちゃんの部屋の前で、怪しい行動をしている人たちを見つけて・・・それでその人たちがいなくなった後、部屋に入ったら荒らされていたんだ。それで初めてゆかちゃんがいじめられていることを知ったんだ・・」
そこまで言った後、寺沢は黙ってしまった。
「じゃあ、まさか、ゆかが学校をやめた本当の理由っていじめ!?」
「それで、寺沢はいじめが原因だと思うのか。」
「・・・・違います。」
寺沢は静かに言った。その言葉に森が驚いた。
「違うの!?」
「確かにいじめもやめた理由の一つかもしれないけど、それが直接的な理由じゃないと思ってます。」
「じゃあ、お前の思う北川のやめた理由は何なんだ。」
「それは・・・迷惑がかかるかもしれない、ということです。」
「迷惑って?誰に?」
竹田がそう言うと、
「私たちに。」
そう寺沢は答えた。
「私たちに?それってどういうこと?」
「私がゆかちゃんのいじめを見たのは、1週間ぐらい前のことなんだ。でも見たその日から毎日、ある人たちがゆかちゃんの部屋に入って行くのを見た。それでもゆかちゃんはいつも通りの態度だった。」
「確かにそうだね。いじめられていたにしてはゆか、態度が普通だったよね」
渡部がその時のことを思い出しながら言った。
「周りの人がみれば、いじめが効いてないって思うよね。」
寺沢は他の子に問うように言った。すると、森は寺沢の言いたいことがわかり、口を開いた。
「そういうことかーー。」
「え、ひろか、そういうことってどういうこと?」
まだ、よくわかっていない竹田が森に訊いた。
「うーん。じゃあ仮にあいらがいじめたとして、いじめてる相手にいじめが効いてないとしたら、どう思う?」
「ムカつくかな?」
「じゃあ、そのムカつく気持ちをどうする?」
「・・・・・・・?」
「あ!そういうことか!」
「えっ、うち全然わかんない。」
宮本は理解したが、他の2人がいまだ納得できていないため、森は説明を続けた。
「いじめてる本人が効いてないとすると、どうやればいじめが効くと思う?」
「「・・わかんない。」」
「本人が効かないなら?」
「「あ!!そっか!!」」
「わかった?ゆかをいじめても効果がないなら、ゆかと仲がいい人をいじめればいいと思うってことでしょ?寺沢。」
森は寺沢に確認した。
「うん。あってるよ。いじめを見てただけの私でも容易に想像できたんだから、ゆかちゃんがこの考えにとっくに気づいてはずだから。」
「ねぇ、寺沢。じゃあ、あの『誰も、誰も迷惑だななんて思わないよ!!』って言葉はそのことを言ってたの?」
「うん。それが確認したいことだったんだ。」
「ねぇ、みさ。『誰も、誰も迷惑だななんて思わないよ!!』ってなんのこと?」
状況を知らない3人は、頭の中がはてなでいっぱいになっていた。
「えーーーっと。それはね・・・」
「校長、それが私が思った、ゆかちゃんが学校をやめた本当の理由です。」
渡部が他の子に説明している間に、寺沢は話を進めた。
「あってますか。」
「・・・当たりだ。」
「校長。校長が私たち・・いえ、先生たちにすら、いったい何を隠しているんですか。」
「何も隠していないよ。」
「うそをつかないでください。」
「どうしてうそだと思うんだ?」
「そうだよ。何を根拠にそんなこと言ってるの?」
他の子に説明を終えた渡部が聞いた。すると、寺沢は校長の机を力いっぱい叩いて声を張り上げて言った。
「じゃあ、どうして、私たちが学校をぬけ出していることを知っているにも関わらず、何も言わなかったんですか!!」
あまりにもすごい剣幕だったため、全員が立ちすくんだ。一番最初に口を開いたのは、宮本だった。
「学校、ぬけ出していることバレてたの!?」
「うん。」
「マジか!!」
「お、おい。寺沢。どうして俺が知ってることを知ってるんだ、お前は。」
ここまで生徒に怒鳴られたことがない校長は、なんとか校長の威厳を保とうとしていた。
「見ただけですよ。校長が去っていく時の背中が。」
「(しまった・・すっかり油断していた・・・)だから、俺が知ってると思ったんだな。」
「はい。そうです。」
「はぁーー。そこまでわかっているなら、しかたがない。俺が隠していることを教えるよ。」
校長はとうとう腹をくくって話し始めた。
「北川が学校をやめるという話を言い出したのは・・・・・・あっ、ちょうど北川が外出届をもらいに来た時だな。あの時のあいつは・・・」
―ここから回想―
「はい、許可証。」
「それと校長先生。お話とお願いがあります・・・・・。」
「ん?なんだ?」
「あの、私・・・・学校をやめたいです。」
「は?理由は何だ?」
「今、私はとある人たちにいじめられています。私がいじめられることは一向かまわないのですが、もし私以外に被害が行くようなことがあれば、それは困ります。だから、他の子に被害が行く前にここをやめたいからです。」
「わかった。いいだろう。」
―回想終わり―
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