第2章 第2話
お待たせいたしました。楽しんでいただけると嬉しいです。
「・・・・っていう感じだったよ。」
宮本が報告すると寺沢は落ち込んだ。
「そっか・・・それだけじゃ、わからないね・・・」
「やっぱり、手紙の通りなんじゃ・・」
「そんなわけない!!」
「あいら、そういうことを言わないの!みさもムキにならないの。」
「・・・ごめん、みさ。」
「こっちこそごめん。」
「どうする?普通に聞いても学校をやめた理由は、教えてくれないみたいだし・・」
「そうだよね・・・」
「・・なんかひっかかるんだよな~~・・・」
さっきから、ずっと黙っていた森がそうつぶやいた。
「なにが?」
「ひろかも、ひっかかるの?」
「あいちゃんもひっかかるんだ。」
「うん。」
「ねぇ、だから、なにが!?」
竹田がさっき訊いたにもかかわらず答えくれなかったため、竹田は声を強くして言った。
「確かにさ、なんかひっかかるんだけど・・」
「言葉にはできないんだよ」
「「ねー」」
森と宮本は交互にセリフを言い、互いに顔を見て声を揃えて言った。
「だから、言葉にできるようになるまで・・」
「考えさてくれる?」
「・・わかった。」
「じゃあ、今日はこれくらいにして解散にするか!」
寺沢の提案に全員賛成した。そして次の日の夕食後に、また北川の部屋に集まる約束し、それぞれの部屋へ帰って行った。部屋へと戻った5人は、自分たちの部屋でそれぞれこう思った。
(ゆか、うちは信じてる・・信じてるからね・・)(渡部)
(ゆかちゃん、みんな待ってるから早く帰ってきなよ・・)(寺沢)
(ゆかちゃん疑ってごめんね。許して・・)(竹田)
(なんかひっかかって仕方がないんだよな~・・)(森)
(あのときのゆかの態度が気になる・・)(宮本)
―次の日―
「学活を始めるぞー席着けー。・・学級委員、あいさつ。」
「起立ー気をつけー礼ー」
「出席取るぞー・・・・・・今日も北川は欠席か。」
「先生ーゆかちゃん、なんでお休みなんですか?」
「俺にも、わからん。」
担任のその言葉を聞いた時、森と宮本はひっかかる理由がわかった。
(そっか、だから変だったんだ。)
(やっとわかった。でも、まだ、ひっかかるな・・・)
―そして夕食後―
「あのさ、昨日言ったひっかかることなんだけど、わかったんだ。」
「え!!ホント、ひろか。」
「うん。ゆかは、学校をやめたって言ってたよね。」
森の問いかけに渡部が答えた。
「うん、そうだけど・・それがどうかした?」
「ゆかが学校を本当にやめたんだとしたらさ、先生に連絡されるはずじゃない?」
そこまで森が言ったところで、寺沢が口をはさんだ。
「にも関わらず、先生はゆかちゃんが休んでいる理由を知らない。」
「そう!!そういうことだよ。だから、おかしかったんだよ。」
「ねぇ。あいちゃんも同じだった?」
「・・・・・・・・」
竹田が宮本に聞いたが、宮本は何かを考えていて竹田の声はまるで聞こえていないようだった。
「ねぇ!!あいちゃんってば!!」
「・・・え!!ご、ごめん。何?」
「だから、あいちゃんも同じだった?って聞いたんだけど・・」
「・・・・・」
「あいちゃん?」
「・・確かにそれもあるんだけど、まだ、何かひっかかっててさ・・・」
「そうなの?」
「うん・・・・」(確かにひろかが言った事もひっかかってた・・・でもあの時の態度が気になって気になって仕方がないんだよな・・)
「どうして、やめたのかな?」
宮本が悩む中、他の4人は北川のやめた理由ついて、話し始めた。
「嫌なことがあったとか?」
「でも、そんなこと全然なかったと思うよ。態度にも出てなかったし・・」
「だとしても、気持ちを隠してるかもしれないんじゃない?」
「そっか・・・・」
(気持ち・・・隠す・・・)「あーー!!そっか!!」
「「「「わぁ!」」」」
突然のデカい声で4人は、心臓が飛び出るほど驚いた。
「びっびっくりしたーー。」
「あ、あい。もしかしてわかったの?ひっかかってた理由。」
「うん。何もかもわかった!」
「それでひっかかってた理由って?」
「私、ゆかに直接聞きに言ったじゃない?」
「うん、うちといっしょに行ったよ。」
「その時のゆかの態度が気になって気になって仕方がなかったの。あの時のゆかはこう言ったじゃん。『なに!!私、忙しいんだけど!!』って。そのあと、こういうことも言ったよね。『書いてあったでしょ!!あそこ、つまんないんだもん。それだけ!?私、行くから!』って。そのあと走って行った。」
「うん、そうだったけど?」
「でも、私たちがゆかを見つけたとき、急いでいるようには見えなかった。だとすれば、走って行く必要はないはず。なのにゆかは走って行った。しかも、私たちと話している時、怒っているような態度を崩さなかった。この2つの行動の理由って気持ちを隠すためなんじゃないかな?」
宮本の言っていることは確かに正しい。怒っているような態度取れば、その人の本当の気持ちなどわかるわけがない。そして、その場から走って行ったということは、ボロが出ないようにしたと考えられる。そういうこと言いたかったのだろう。
「で、でも、何のため?」
「だよね~~・・・」
「・・・・もしかして、ゆかは本当はここをやめたくなかった・・とか?」
「えっどういうこと?ひろか。」
「なんらかの理由があって、やめざるをえなかったとか・・・?」
「なんらかの理由ってなに?」
竹田が食いつくように聞いた。
「わかんない・・・」
「だよね・・」
そんな会話をよそに寺沢は、こんなことを考えていた。
(ゆかちゃん、私は理由がなんとなくわかるけど、でも、ゆかちゃんの口から直接言わないとダメだよ・・・)
「ところで、もう消灯時間じゃない?」
すでに時計は21時を指していた。この寮の消灯時間も、21時である。
「やばっ今日は解散!!」
「あのさ、明日授業休みだから、9時にここに集まってくれない?話したいことがあるから・・」
「「了解。」」「OK。」「わかった。」
寺沢の提案に他の4人は口々に返事をし、部屋へと戻った。
ユニークが200人を超え、正直驚きました。読んでくれている皆さんに本当に感謝の気持ちでいっぱいです。これからも読み続けてくれると嬉しいです。