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講座Ⅰ-はじめに-

講座Ⅰ-はじめに-


「皆さん、長らくお待たせしました。それでは、講座を始めたいと思います。今回、この講座を開く事を考えましたのは、ロシアのウクライナ侵攻や、噂される台湾有事などから、日本の安全保障環境が変化したのでは、と感じたからです。…これは大学の講義ではありませんので、少々ラフに、そして、学術的視点とは異なる切り口も含めて進め、皆さんが今後、安全保障問題を考える上での、何等かのツールを提供できれば、と考える次第です」


 ここで、スクリーンは次のスライドに。

「ここに、意図と能力という用語があります。安全保障問題を考える時に、周辺国の軍事的意図と能力を把握していく事は必要です。相手が何を考え、何ができるのか。それに対して、我々は何をしなければならないのかと、防衛上の準備の為にです。一般的に、意図は、国家や軍事、外交戦略の他、政府首脳や高官の声明や発言、公刊資料、メディアなどの情報を使って求められます。一方、能力は、本格的に求めるならば、艦艇や航空機、ミサイルなどの性能を全てデータ化し、コンピューターで各種シミュレーションでもする必要があるでしょう。勿論、端的にデータからだけでも情報は十分に得られます。ただ、学者や評論家の中には、こうした能力を求めるのはヲタクの世界として、意図だけに注目して論陣を張る人もいます。残念ながら、ロシアのウクライナ侵攻で、意図だけを使う方法では、状況を見誤る可能性がある事が証明されてしまいました。メディアにおいて、ウクライナ侵攻はないとする人が殆どだったと思います。しかし、侵攻前の状況は、意図は不明で、能力としては侵攻可能というものでした。どこまで進攻できるかは分かりませんでしたが。…この結果、意図は、そのトップの考え一つという場合がある事を、多くの人が知ってしまった訳です。ですから皆さんには、意図だけでなく、能力の方も対象にして見て頂きたいのです」


 スライドは次のものに。

「これは、令和4年版の防衛白書にある中国の主な海上・航空戦力の図表です。こちらの水上艦の方ですが、日本の護衛艦との比較が、77隻対47隻。これを見て、中国の海上戦力が優勢と言うのは間違いではありません。こうした数字の対比は、学者が使うポピュラーな方法です。しかし、隻数比だけでは、その能力については分かりません。どのようなミサイルや戦術情報処理装置を搭載しているかも、現状を知るには重要なのです。軍事的な考えとして、意図を超える能力はあり得ますが、能力を超える意図はない訳で、それはもう別次元の話、自爆テロの類いとかです。…それでは話を戻します。次に、ここにある中国の駆逐艦とフリゲートの各級の隻数や性能などを、スライドを使って簡単に説明します」


 スライドを使っての水上艦の説明が終わる。

「艦級の数が多いので少し長くなりましたが、以上です。古い順にスライドを並べましたが、どうでしょうか、写真だけでも、艦が大きく、ステルス性が向上しているのが分かると思います。少なくとも、行動範囲が広がり、電子戦下での行動に有利であると理解できるのではないでしょうか。さらにですね、この中で多く建造されているのは、レンハイ、ルーヤンのⅡとⅢ、ジャンカイのⅡとジャンウェイのⅡです。ジャンウェイⅡは既に退役が始まっているので、外します。こうした状況から、これ等の艦級が、今現在の海上戦力の主力ではと考える事ができると思います。その裏付けとして、空母『遼寧』が太平洋に進出する際の護衛は、最近これ等の艦が実施しています。これは、統合幕僚監部ホームページの報道発表資料で確認できます。また、空母とこれ等の艦の戦術情報処理装置は、最新型で統一されています。つまり、これ等の艦の性能を調べれば、中国の海上戦力の最大能力を知る事が可能ではないか、と考える訳です。簡単な例として、中国の空母機動部隊の対艦ミサイルによる攻撃能力とは。それは、最大半径600kmの範囲と考えられます。これはレンハイとルーヤンⅢ搭載のYJ-18対艦ミサイルの射程距離です。空母のエアカバーと偵察能力を考慮すれば、現実味のある数値であると、理解できると思います。そしてオペレーションでは恐らく、この能力の範囲内において、何等かの意図が考えられるのだと思う訳です」


 スクリーンのスライドには、公開情報という文字。

「安全保障問題で意図と能力の把握が重要としていながら、学術界などでは、能力の方は軽視されている事を知って頂いたと思います。ですが、既に各種画像やSNSなどの公開情報分析の手法で、能力を分析する事が有効であるとウクライナ侵攻で認知されています。皆さんも、意図だけでなく、あらゆるソースを使って、能力の方の分析にトライして頂ければと思います。以後、この講座は、能力分析にも注目しながら、話を進めていく予定です」

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