防御網
防御網
一機の対潜哨戒機が飛行していた。
周囲に雲はなく、島影も見えない海面の上空。
突如、レーダー探知したその機は、高度を上げながら、沿岸防衛を担うレーダーサイトと交信した。
探知したのは潜水艦発射の二発の巡航ミサイル。
共にミサイルは高度を下げ、北西方向へ。
その報告を受けたレーダーサイトは、上空に在る戦闘機隊をコールし、データリンクで巡航ミサイルへと誘導した。
目標のミサイルへと導かれた四機の戦闘機は、その後隊長機の管制で迎撃態勢に入る。
横一線の飛行隊形で進む戦闘機隊は、程なくして、二発の巡航ミサイルをレーダー探知した。
咄嗟に、隊長機は指示する。
そして、隊長機と三番機から、各一発の長射程AAMが発射された。
AAMは長い二条の尾を残して視界から消える。
二発の巡航ミサイルの輝点が消滅すると、誘導したレーダーサイトは戦闘機隊に別空域への移動を命令した。
レーダーサイトとの交信後、対潜哨戒機は対潜部隊の旗艦を指呼した。
四隻の小型対潜艦から成る対潜部隊の旗艦は、対潜哨戒機から情報を得ると、巡航ミサイルが打上げられた海域に向け、対潜戦のフォーメーションを組んで増速すると下令した。
二、三番艦は二海里の間隔で並走しながら先行する。旗艦と四番艦は後方で攻撃態勢に入る。
捜索する海面に近づくと、二、三番艦はアクティブソナーを打ちながら、各個にジグザグ航行となる。そして、旗艦と四番艦の対潜ロケットランチャーが起動する。
これから、この海域で暫しゲームが始まる。
対潜部隊の機動を確認した対潜哨戒機は、機首を北東へ向けた。
間もなくすると、対潜哨戒機のレーダーが反応した。
これを目視しようと、対潜哨戒機は高度を下げながら増速する。
そして、左舷前方に二隻のミサイル艇を視認する。
対潜哨戒機が横隊のミサイル艇隊上空を通過すると、二隻のミサイル艇は巡航ミサイルを各々一発ずつ発射した。
二発の巡航ミサイルは西へと飛ぶ。
直ぐ様、対潜哨戒機はレーダーサイトと交信。
レーダーサイトは待機中の戦闘機隊を呼出し、放たれたミサイルを追わせた。
戦闘機隊は二回目の迎撃態勢に入る。
再び、二発の巡航ミサイルをレーダー探知する。
今度は、二、四番機から各一発の長射程AAMの発射が隊長機から指示された。
そして、二発のAAMは長く尾を引いて視界から消える。
レーダーサイトは二発の巡航ミサイルが撃破されたのを確認すると、戦闘機隊に帰投命令を出した。
対潜哨戒機はその海域で大きく左旋回する。
巡航ミサイルを放った二隻のミサイル艇は縦隊で西に向かう。
その海面下では、ミサイル艇二隻の航走音が響く。
それをパッシブソナーでモニターしていた潜水艦は、ゆっくりと襲撃位置に就く。
十数分後、海面上にフレアと煙が上がる。
それは潜水艦の魚雷発射の合図である。
旋回中の対潜哨戒機はそれを視認すると、レーダーサイトと交信した。
二隻のミサイル艇隊は、そのままの隊形で増速する。
露頂した潜水艦は、潜望鏡とレーダーマスト、そして通信アンテナを上げる。
程なくすると、潜水艦は浮上し、針路を真西に航行を始めた。
一機の対潜哨戒機はカムチャツカの母基地へと西へ飛行していた。




