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艦橋トップ

艦橋トップ


 楡林基地所属の魚雷回収艦は、海南島の南東沖に設定された訓練海域の南端を、東西に折返し低速力で航行していた。すると、艦橋トップにいる全員が航空機の爆音を耳にした。

「午後の部の開始ですね。配置を戻しますか、艦長」

「探知するまではいいだろう、現状維持だ。…当直、航空機系もモニターしておいてくれ」

「了解」と答えた当直士官は、艦長の傍から艦橋内へと降りて行った。

 この艦には、訓練で使用された各種魚雷の揚収作業の他に、訓練海域に民間船舶が南側から進入しないように警戒監視する任務も付与されていた。そして前部の甲板上には、既に午前中に投下された航空魚雷2本が固縛された状態で並んでいる。


 程なくすると、2機の対潜哨戒機が艦橋トップからはっきりと視認できるようになった。海南島にある海南陵水基地から飛来した最新鋭の高新6号である。


「艦長、各部了解です」と、調整を終えた当直士官が近づいて報告した。

「了解」と最新鋭機から視線を外さずに艦長は答えた。

 艦長の了解を得た当直士官は、首から下げている双眼鏡で2機の航空機を見ながら、「機体番号が午前のとは違いますね」と告げる。

「最近数を増やしてるからな。まぁ、やっと対潜機に手が回るようになった訳だ」

「しかし、また東海艦隊は後回しのようですね」

「またって、空母の事を言ってるのか」

「原潜もです」

「あぁ、そうだな。まぁ、台湾が正面にあるから仕方ないんだろうな。地理的には東海艦隊が太平洋に出るには一番近いんだろうけどね」


 艦橋トップで二人が編隊を眺めながら話していると、1機の対潜哨戒機が降下し始めた。これからこの機は東西にソノブイを投下しながら北上する梯子型の飛行コースに入る。


「当直、北上する水上目標はないな」と艦長が問うと、当直士官は艦橋トップにいる見張り員に確認した後、「現在、該当する水上目標なし」と艦長に報告した。

 艦の周囲に見えているのは、訓練に参加している中国艦艇と支援船舶だけであった。

「了解。それで、米潜水艦の情報はなかったな」

「はい。降りた時に確認しました。情報があれば直ぐに報告が入るはずです。訓練海域の東と南には楡林の潜水艦も出てますから」

「そうか、午後も邪魔は入らずに訓練ができる訳だな」


 艦長が見上げると、もう1機の対潜哨戒機が大きく左旋回しながら飛行していた。これは敷設されたソノブイをモニターするためである。


「午後は航空機と水上艦からだったな、当直」

「はい。詳細は航空機が1本、水上艦が対潜ミサイルと短魚雷の各1本で計3本です。揚収作業はその都度実施予定です」

「そうだったな…まぁ、ロストすると後が大変だからなぁ…」と艦長はぼやく。

「しかし艦長、我々の対潜哨戒機は米国製に比べると、ややスマートさに欠けますね」

「偉容の必要性も解るが、南シナ海や太平洋でオペレーションするのであれば、原潜や空母だけでなく、対潜哨戒機の存在も必要不可欠だからな。今は戦力化が急務だ」

「確かに、対潜哨戒機は狩りだけでなく、防御にも役立つ存在でした」

「そう。我が艦が何回も何回もこうやって裏方に勤しんでいる事で、我が海軍は対潜哨戒機の部隊運用のノウハウを得て、その対潜戦術を確立できる訳だ」

「間もなく、我々がグリーンからブルーに仲間入りすると世界は認めるしかないですね」

「全くだ。まぁ、欲を言えば給与や手当にも軍備並みの勢いがほしいものだがね」

 艦橋トップで二人は雑談を含んだ会話をしながら、遠ざかる航空機を眺め続けた。

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