内々話
内々話
とある教室に同じサークルの学生がいるのを見て、「この講義取ってたのか」と言いながら、一人の学生が教室に入ってきた。
「あ、お疲れ…今からここ?」
「見かけたから声をかけた訳よ」
「そう」と答えた学生は、「あ、図書館に新しい防衛白書が入ってた。サークルの連中に言わなくちゃと思ってたんだ」と話した。
「防衛白書って、夏ぐらいに出てるでしょ?」
「下半期の予算で購入したんでしょ」
「まぁ、研究者の言うところの一級資料って奴だから、ここでは必要か」
「そう、学術的にね」
「実質は単なる仲間内の資料だよ。あれは」
「それが政策提言とかのラインなんでしょ」
「何か真新しい内容あった?」
「宇宙だのサイバーだの電子戦だのって書いてあった」
「サイバー戦と言っても、自衛隊や防衛省の範囲ぐらいでしょ」
「多分ね」
「安全保障全体の範囲じゃないよね」
「日本で安全保障の範囲は曖昧だからね」
「でもさ、今更だよな…で、自衛隊は何週遅れだって?」
「本当のことは書けないでしょう。それは学術的ではないからね」
「しかし、自衛隊の範囲としても間に合うのかね」
「どうだか…他にも計画や構想なんかが白書には沢山あったよ」
「ほ、ほ、ほ。自衛官も大変だ。空母化だって、現場にはネガティブな声もあるらしい」
「あれは海自の一部と政治サイドの話でしょ」
「空母化の必要性について、民間出身の元防衛大臣の話を聞いたことがあるけど、中国海軍の空母の太平洋進出に対して、現状では太平洋側の防衛がガラ空きなんで必要とか。潜水艦でも良くない?」
「空母に対する防衛だけなら可能かもしれない。でもダメよ。潜水艦は国産で、米国製ではないから。政治サイドが渋る」
「理屈じゃないよね」
「リアルじゃない。日本で安保は政治だよ」
「それじゃ、現場のモチベーションも上がらないよね」
「さて、どうかね……まぁ、潜水艦の流れで言えば、図書館に元海自で潜水艦の艦長の本があってね、それに海自の公務員化を憂いてあったよ」
「それって現場のモチベーションが低いってこと?」
「本は海自についてだけどね。その原因は態勢がなってないかららしい」
「日本が戦争になることはないと思ってる?」
「米軍がいれば、日本は戦争にならない。だから、体制を維持してるだけだとね」
「少なくとも、海自だけでは日本の海の防衛はできない?」
「米海軍待ちらしい」
「確かに、SSMを定数搭載してない護衛艦もあるか…」
「海自は弾がないらしい。まぁ、全部その元艦長からの受売りだけどね」
「学者やマスコミなんかは自衛官だけでなく、公務員の大半は真面目だと言うけどね」
「真面目に決められたことだけやってるってことでしょ。仕事ができるとは言ってない。官僚を優秀と言うのは、採用試験を基準にしてるだけじゃない?仕事ができるなら、安保に限ったとして、もう少し状況が良くていいと思うけど」
「結局のところ、海自に日米同盟は必要なのね」
「依存体質らしい。もちろん、日米同盟は多くの面でプラスだけど、程度の問題かね」
「しかし、自衛官は公務員か…憲法もあるしね…」
「それは国内問題。根本は安全保障上、本当に有事に対処できるのかってことらしい」




