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釜山カフェ

釜山カフェ


 釜山のビジネス街にあるカフェ。ここでは外国人の姿は自然な風景である。

「…と、上も感謝しています。しかし、独島の領空で我々が警告射撃できたことは素晴らしい結果です。完全なる実績ができました」

 誇らしげに話す韓国人に対し、聞いていたロシア人は黙って肯いた。

「特に、日本軍機が傍にいるというのは好ましい状況でした。これで世界は独島を我々の領土と考えるしかありません。警告射撃は主権者の権利です」

「しかし、日本側が先に警告射撃をする可能性もあったのでは?」と、ロシア人は口を挟んだ。

「日本が?…有り得ません。そもそも、独島には我々がいるのです。日本は戦闘機を飛ばす資格などないのです。まぁ、確かに最近の現政権の態度は遺憾で…あぁ、あの首相は長州の出でしたか…」と言いながら、韓国人は諦めの表情を浮かべた。

 ロシア人には韓国人の最後の言葉の意味は分からなかったが、何か因縁のある話だと感じた。そのため、

「今回の件で、巻き込まれた連中の一部には納得していない者もいるようです」と、話題を戻した。

 ロシア人の言葉に反応した韓国人は、

「そう、確かにこれは両国の一部の人間しか知らない話ですからね。しかし、噂は別として公にはできない話です。まぁ、両国の友好は歴史的にも長く、関係は近年も良好です。そうした問題はそちらで内々に処理を…この借りは何れ」と答えた。

 何となくロシア人は釈然としなかったが、日韓間のGSOMIA破棄の件では、「米国は理解していた」と政府の公式見解を示した国である。今回の件でロシアが加担していたと公言されるのは、外交的に問題であった。そこで敢えて、事務的な確認事項を口にした。

「では、釜山への鉄道計画は日本海側を優先ということで…」

「東海側をですか。しかし、北の同胞や中国は西海側からと言っています」と、突如として韓国人は語気を強めて返した。

 急変した相手の反応に、ロシア人は言葉の選択ミスを痛感した。

(あの海はロシアでも日本海なのに、朝鮮人はしつこく東の海と拘る。国際的には東の海と言われても、何処か分からないのだが…)と思いながらも、

「これは失礼した、東海でしたね」と詫びた。  

「まぁ…長年の悪しき慣習ですかね…しかし、あなたの態度は素晴らしい。礼を失している近頃の日本人と比べてね」 

 ロシア人は安堵と同時に、南北に関係なく朝鮮人を実感した。

「まぁ、借りがありましたね。青瓦台にはロシア側からのリクエストをプッシュしておきます。石油やガスの件もありますからね。兎に角、この釜山が欧州からの大陸とアジア諸国を結ぶ玄関口になるのです」

「頼もしい限りで…で、武器関連はどうでしょう?」

 ここで韓国人は暫し沈黙し、言葉を選びながら話し始めた。

「南北の友好には経済の向上が必要です。そのため、我々が経済的な主導権を握る必要性があります。北の同胞では国際的な経済をリードできないでしょう。主導権を得るためには、軍事的にも屈することはできません。これからもロシアの最新鋭の武器や軍事技術を導入する必要があります」

「では、これから大きな商談の機会にもなると…それで米国の方は大丈夫ですか?」と、ロシア人は韓国人に念を押すように確認した。

「まぁ、トルコに文句は言っていますが、インドの例もあります。我々は軍事予算を増額して、米国からも武器を購入しています。大丈夫。…最終的に、我々はハイブリッドな軍事システムを構築するだけなのです」と、韓国人は自信に満ちた顔で答えた。

 ロシアとしては旧式化する武器や軍事技術を売却できることは望ましいことであった。

 ロシア人は何となく腑に落ちなかったが、好意的な笑みを浮かべ、「しかし、貴国の立場はいろいろと考えることがありますね」と同情的に言うと、

「これが外交であり、安全保障では?」と、韓国人は不敵な笑みをロシア人に返した。


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