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有識者

有識者


有識者:

「…と、ここまで長々と説明してきました。まとめますと、安全保障分析に重要なのは、対象国の意図と能力を明らかにすることです。意図は、対象国の政府関係が公表する報告書や刊行物などから、そして、日本の官公庁のそれ等から分析することができます。日本の外交青書や防衛白書などは一級資料でしょう。因に、私も防衛省の有識者会議に昨年呼ばれまして、対象国に関する動向分析や意見などを求められました。その内容が今年の防衛白書に反映されています。少々、宣伝のようですが…で、能力については、『ミリバラ』といった権威ある軍事分析資料などが引用できると思います。これで各国の軍事比較ができますし、私も使用しております。最後に、ここにお集まりの皆さんは安全保障に関心のある方々だと思いますが、安全保障とは多くの可能性を考慮して、予断や思い込みなどを排除していく問題であると考えます。そのため、皆さんは一面的にならないように心掛けて頂きたいと思います。以上であります、ご清聴ありがとうございました。…さて、少々時間がありますので、何か今回の話に関連する事項で質問がありましたら、幾つか受けようと思いますが、何方か…あっ、ではそちらの方どうぞ」

聴衆A:

「今日はありがとうございました。質問は対象国の意図についてなんですが、対象国の報告書や刊行物の内容は確実に正確なんでしょうか。情報戦なんて言葉を最近聞きます。それに日本の役所の資料は、結論ありきや予算獲得目的という噂があります。防衛省のは最近特に怪しいのですが」

有識者:

「それ等は最近耳にしますね。しかし、公の資料などを使用することが学術的には望ましいです。加えて、著名な研究者の書籍やマスコミの客観的な報道資料などを用いることですかね。そして重要なのは、それ等を用いて議論を深めていくということでしょうか」

聴衆A:

「研究者やマスコミは、分析結果を求める以前に、自身の主張がありますよね。論文や取材の切掛もそれですよね。本当にそれで客観性があるのですか」

有識者:

「それは議論を誘導するという、少々陰謀論みたいな話ですね。まぁ、それは学術的な見方ではないですね。…次は…では、あちらの方」

聴衆B:

「あっ、ありがとうございます。あの…その能力という部分なんですが、私も学者さん達の論文などを読ませてもらってますが、『ミリバラ』の引用部分は、戦力の総数や総量などの合算数の比較がほとんどで、戦力の中身について分析していないようなのですが、これで実際の能力を分析できているのでしょうか」

有識者:

「つまり、どんなミサイルなのかとか、艦艇や航空機の性能はどうのということですね。しかし、それはオタクの世界の話であって、学術的な話ではありません」

聴衆B:

「しかしですね、潜水艦の総数比ですと、米国と北朝鮮の戦力はかなり互角となります。それに駆逐艦と言っても、イージス艦から最新フリゲート以下の艦まであります」

有識者:

「そういった内容の話は、学術研究には馴染まないもので、本屋でもそれはホビーなんかの扱いではないでしょうか」

聴衆C:

「指されてませんが、すみません。先生の言う学術的な研究方法は、本当に本質的なんでしょうか。数字は客観的なようで、意図的に誘導してまとめることができますよね。それは意図の分析についても言えることで、研究者の都合の良い論文やマスコミの資料だけを集めれば、肯定的な材料のみが揃うことになりませんか。先生は安全保障について先程言ってましたが、直ぐに学術的ではないと言って一方的で矛盾してませんか。私が聞きたいのは、そんな先生のような有識者とは、果たして如何なる者なのかということです」


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