忘年会
忘年会
年末のこの居酒屋は、忘年会の客で賑わっていた。隅にあるボックス席の三人組も、そんな客であった。そして、彼等の話は、次第にいつもの路線へと変化した。
伊:「ロシアが『アバンガルト』って言うミサイルを開発したらしいね」
呂:「あぁ…ニュースでやってたな、それ」
伊:「弾頭部がグライダーのように飛ぶんだってさ」
呂:「アメリカの防空網を避けて飛ぶ、極超音速のミサイルだろう」
波:「極超音速?」
呂:「マッハ5以上のことだけど、このミサイルはマッハ20だってさ」
波:「マッハ20か…確かに、撃破は難しいだろうね」
伊:「ソ連時代から、ミサイル開発には力を入れていたからね…ミサイルの飽和攻撃ね」
呂:「多方向からの同時着弾って奴」
伊:「そう、それ」
波:「で、その配備は?」
伊:「来年から実戦配備らしい」
呂:「それは面倒な話だね」
波:「MiG-31にもASBMだったかな?そんなの搭載するんでしょ」
伊:「アメリカとは非対称の、ミサイル重視の軍隊だよ。ロシアは」
呂:「ソ連の巡洋艦なんて、あれは超大型のミサイル艇だよね」
波:「キーロフやスラバね…」
ここで、三人組は店員を呼び、それぞれの飲み物を注文をした。
伊:「でさ、中国もこんなミサイルを開発してるんだって」
波:「ロシアと同じ性能?」
伊:「地域限定じゃないかって、テレビでは解説してたね」
呂:「中国軍らしいね」
伊:「そうね。中国軍はまだ世界規模って感じじゃないからね」
波:「でもさ、中国海軍がアメリカ海軍と覇権を争ってるって言うじゃない?」
呂:「それは中国海軍の戦力を分かってない」
伊:「マスコミは煽るからね」
波:「なるほど」
伊:「しかし、アメリカの大統領の宇宙軍って話もリアルだよね。ロシアに対してさ」
波:「確かに、マッハ20のミサイルは宇宙空間でなきゃ撃破できない」
呂:「冷戦時代の『スターウォーズ計画』だね、まるで」
伊:「実際、そうなんだろうね」
呂:「アメリカで宇宙軍なんて否定的だった感じだけどね」
伊:「つまり、ロシアのミサイルのレベルは想像以上ということかもよ」
波:「とにかくさ、迷惑な話だよね」
ここで、三人組は店員から、それぞれの飲み物を受け取った。
波:「そう言えばさ、自衛隊の空母保有って、どう思う?」
伊:「搭載したところで、8機程度でしょ」
波:「実際の内容ではなく、空母保有が問題らしい」
呂:「政府の説明って、訓練なんか以外は搭載しないって話でしょ」
伊:「それって、今のヘリの運用と同じだよね。何もない時は搭載解除してるのと」
呂:「かもね」
そして、彼等の話は、いつものようにディープな方向へと変化した。




