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担当者

担当者


 男が一人、紙袋を手に持ち、部屋に入ってくる。

 正面には、テーブル越しに一人の男が座っている。


後任者:「買い出しですか?後任の私も一緒にお願いしますよ」

担当者:「これでもコツがある。担当してから分かったんだがね」


 部屋に入ってきた男、テーブルに紙袋を置く。そして、身に着けた帽子と眼鏡を取り、これもテーブルの上に置く。

 座っていた男、紙袋の中身を見る。


後:「軍事雑誌などは解ります。このプラモ雑誌は私用ですか?」

担:「これは盲点だ。これにはモデラー用に詳細な写真と説明がある」

後:「資料として重要なんですか?」

担:「これは分析サイドでは好評らしい。衛星や写真の分析にね」

後:「各方面で、プラモ雑誌を?」

担:「個艦識別や細部などの分析には、全体写真より都合がいいらしい」

後:「分かりました」


 担当者は、テーブルを挟んで、後任者と向き合うように座る。


担:「ついでだ。基地周辺の写真もいいが、基地の一般公開の方がいい。米軍もな」

後:「基地内にですか?」

担:「大したチェックはない。簡単だ」

後:「緊張しますね」

担:「馴染ませておけ。服装や日本語をな」

後:「写真の制限は?」

担:「許可された場所は、機器類も大丈夫。質問しても怪しまれない」

後:「本当ですか?」

担:「時には、性能や訓練などの話も聞くことができる」

後:「フェイクですか?」

担:「そうでもない。特に自衛官は」

後:「覚えておきましょう」


 担当者が立ち上がると、


後:「他にありますか?」

担:「そうだな…」


 担当者はそのままで答える。


担:「安全保障を語る輩はいるが、軍事知識はほとんどない」

後:「それは聞いてます。軍での経験がない、ということですね」

担:「それでも日本ではテレビに出たり、雑誌で書いたりできる。そこは見極めて」

後:「そうした輩のリストはありますか?」

担:「後で渡す。適格性の他に、起用されるテレビ局、雑誌社なんかもまとめてある」

後:「助かります」

担:「…しかし、政党や官庁との関係までは中途半端だ…」

後:「それは、私が」

担:「…それと、自衛隊の元高官の話は微妙な時がある」

後:「結局…軍人ではない、ということですか…」


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