世間話
世間話
居酒屋での世間話は、経済から政治ネタへと変化していた。
「…しかし、政権は憲法9条に手を付けるのかねぇ」
「つまり、自衛隊の存在がどうかってことだろう」
「政権としては、加憲の方向らしいけど」
「ただ、9条と自衛隊ではその生い立ち時の国際情勢が全く違うからな」
「国連中心の国際協調と東西冷戦か…しかし、その矛盾を両立できるのが日本だよ」
「確かに、平和主義と自衛権だけを言えば進歩的な国家に聞こえるが、本当は日本ってのは論理的じゃないってことさ」
「で、目的は何だろうか。自衛隊を軍隊に?」
「今は国際貢献が本音だろう。政治的得点と外交的発言力」
「自衛隊は政治家や外交官の道具かい」
「言葉の問題で、本質的には正しいよ。自衛隊が前に出たら軍事国家だ」
「…そうだな」
ここで、互いに一口。
「あっ、そう言えば、自衛隊は巡航ミサイルを導入するね」
「敵基地攻撃能力か…有効的な攻撃が可能か問題はあるが、防御のみには限界がある」
「さらにさ、護衛艦の空母化もある」
「以前にもあった話だ。ハリアー購入とね」
「新聞に、今後中国が空母4隻保有するってあった。その対抗のためだろうから、自衛隊も護衛艦を続けて空母化していくね」
「その記事、恐らく観測気球だな」
「何だって?」
「護衛艦の空母化の話は急に報道された。これはマスコミの抵抗だと思う。政府としてはDDH4隻の空母化はやりたいはずだ。しかし、マスコミが抵抗すると予算取りは厳しい。そこで中国空母4隻の話さ」
「世論で理解されれば、予算獲得か」
「だろうね」
「巡航ミサイルも空母化も、政治先行の話かい?」
「運用側の自衛隊としては、プラスよりも負担が大きいだろう。政治的に自衛隊の増強は発言力の向上になるし、武器購入は国内外の財界に貸しとなる。これは自衛隊よりも政府にメリットが大きい話だ」
「末は献金や天下り先か」
ここで、交互に一口。
「問題はさ、こうした話が国際社会でどう評価されるかだ。日本にあまり友好的でない周辺諸国は騒ぐだろう」
「道理だな…しかし、それよりも友好国の期待の方が厳しい」
「つまり?」
「護衛艦の空母化は、護衛艦で航空機の運用が大幅に向上するという話だけではない。日本が空母を保有したということだ。小型だけどね。しかし、今よりも海上自衛隊の能力は向上したと評価される」
「米国や東南アジア諸国が、海上自衛隊の南シナ海での行動に期待するか…」
「米海軍中心に体制を構築してきた海上自衛隊だ。単独で米海軍の肩代わりは荷が重い」
「で、最終的に得するのは政治家と外交官ばかりか…」
ここで、互いに溜息。




