講義了
講義了
国際関係論の講義が終了すると、学生達は次々と姿を消す。
程なくして、そこには二人の学生だけが存在していた。
「腑に落ちないって顔だな」
「ミサイルを四発同時に発射って、新たなステージなのか?」
「どうかな。でも、総理はそう言ったって、さっき教授が言ってただろう」
「花火だって何十発も同時に打ち上げてる」
「花火じゃなくてミサイルだ」
「そう、ミサイル。だから、あっちこっちから何十発も同時に発射できそうなもんだ」
「…確かにそう言われればな…映像的には迫力があったけどね」
「一発だけ点火が若干遅かったけど?」
「計算だろう…多分」
この後、ここで講義がないことを知っている二人は、同時に深く座り込んだ。
「日本を飛び越えるミサイルは、警報が出るようになった」
「Jアラートね」
「まぁ、問題もあるようだけど」
「地方の役人には荷が重いかね?」
「短距離ミサイルや核実験のテレビ速報は韓国発信が多い」
「確かに、それは気になっていたけど」
「日本の安全保障って、本当は穴だらけじゃないのかな?」
「アメリカだって百パーは無理だろう」
「けど、日本より悪くないはずだ」
「国家予算の二十分の一も使っているのになぁ」
「だから、国防費を増やしたり、これまでの無策をチャラにする口実じゃないかなってね」
「新たなステージがか…じゃ、若き指導者は総理の味方かい?」
「そこまで言ったら、陰謀論って片付けられる」
「総理は運がいいって、嫌味を言う輩もいるけどね…」
一人が水筒を手に取ると、もう一人もペットボトルを手にした。
二人は一服すると、また、戻って行った。
「現状から言えば、日米安保は破棄できない」
「正直、思いやり予算は安価だ。日本単独で防衛したら破綻する」
「感情や理想も分かるが、今の国際環境で核の傘は必要だろう」
「今、日本の核武装は国民の理解が得られない。だから、集団的自衛権にまで踏み込んだってことかもね」
「それに自衛隊の人数だけじゃ足りない」
「で、日米安保が破棄されたら、膨大な国防費と核武装、徴兵制が待ってるってことね」
ここで、暫しの沈黙―
「徴兵制か…」
「リアルに北や中国を相手にするんだ、給料上げても人は集まらないよ」
「マスコミなんかは簡単に言うけど、徴兵制が正解なのかな?」
「どういうこと?大卒と高卒だけじゃ足りない?今は男女平等だろう」
「パイロットや船乗り、トラックの運転手とか、社会人の方が経験もあって即戦力になると思うんだ。最近多発してる災害時にもその方が有効だと思う」
「ん?つまり、スイスみたいのはどうかってことか…」




