聴取者
聴取者
サラリーマン達の話で、自分が苛立っているのが分かる。
しかし、隣の席の声は良く聴こえる。
「…朝鮮が四発同時にミサイル撃つまでになったね」
「総理の話じゃ、ステージが上がったって」
「イージス艦や市ヶ谷ので大丈夫って言ってたのに、これからは撃ち洩らすかもって」
「北も頑張ってレベル上げてるって訳だ」
「迷惑な話だよ」
そうではない。北のレベルは上がっていない。こんなレベルは前からあった。
本当は日本に能力がなかったのに…自己弁護の機会を与えた。
北も余計なことをしてくれた。
「ああ、トランプ大統領が潜水艦もあるって言ってたじゃない?」
「空母以外にもあるぞって奴ね」
「テレビの解説者が空母に付いてる潜水艦ってコメントしてたけど、違うらしいよ」
「あれ?露払いって聞いたけどな」
「韓国に入港したデカい潜水艦、『ミシガン』だったかな?」
「それって、トマホーク150発以上積んでる奴だよね」
「それさ…連中、コメントが間違ってたのに、今じゃ知らん顔だよ」
「仕事が無くなると困るからな」
「本当に解説者ってのは解ってんのかね」
「どうかね…」
「本でも読んで勉強するかな」
「本気かよ」
日本人が安全保障の関心や知識を持つのは面倒だ。
適当な理解で納得し、無関心であることが望ましい。
知合いの学者やジャーナリスト達に、それとなく言っておこう。
「で、テレビでさ、米艦防護やるんだって」
「自衛隊の話?」
「海自の艦がアメリカの補給艦を守るって話らしい」
「訓練?」
「実働でしょ?ニュースなんだから」
「あー…安保法制か」
「国じゃ朝鮮有事の議論もしてるらしいけど、安保法制時の総理の説明みたいだ」
「可決しといて良かったってことね、結果的に」
「しかし、あの反対劇は何だったのかって考えちゃうよね」
「扇動されたって?まさか陰謀論とか?」
「日本人もちゃんと考えるべきかなってことさ」
長年の苦労が水の泡になってしまう。
今回の朝鮮問題は政権にプラスとなっている。
マスコミや野党には、もっと小学校問題を追及してもらわなくては。
「テレビで毎日、『緊迫する朝鮮情勢』とか言えばさ、少しは考えるように…」
サラリーマン達の話で、自分が苛立っているのが分かる。
この影響で日本が面倒な普通の国になるという懸念が、微塵といえどもあることに。




