調整会
調整会
中国人民解放軍総装備部
部内に多数ある会議室の一室で、上校三人による調整会議
総合計画部の陸の上校一人と、長机の対面に軍兵種装備部の海と空の上校の二人
陸「今日集まってもらったのは、先方から連絡があったんで、その調整をね」
空「…ウクライナ特殊技術輸出会社…北京代表事務所から?」
陸「その通り。やっと爆撃機の話が来た」
空「信用できる話か?既にリークされている」
陸「カナダの…まぁ、心理戦の一環だろ。ASBM同様、今はプレッシャーに意義がある」
空「確かに、機体とか詳細には触れてなかったな…」
陸「話は本物だ。三戦の裏は複雑怪奇だし、そちらの方は管轄外なんでね」
海「しかし、これで第二列島線までの飽和攻撃が見えた訳だ」
陸「あぁ、早く整備計画を軌道に乗せたいんだがね」
海「これまで武器輸出は小出しだったのに…尻に火が付いたかな?」
空「ウクライナ情勢ね…」
陸「理由はどうあれ、我々には購入のチャンスだ」
陸の上校は、二人にファイルされた資料を手渡す
二人は直ぐに渡された資料を開き、各々に目を通し始める
程なくして、二人はファイルを閉じる
空「選定条件は?轟-6の代替機?」
海「否、ここに私が居るんだ…絞れてない」
陸「話が早い。これからはインド洋でのオペレーションも視野に入る」
海「攻撃だけでなく、長時間の哨戒に耐える必要性」
空「で、コスト的にも…」
陸「流石…確かに単なる轟-6の代替機なら苦労はない。Tu-160、最悪Tu-22M3だ」
空「Tu-95…」
陸「用兵からすれば、Tu-160は最高の玩具かもしれないが、予算は無尽蔵ではない」
空「ロシアでも現役だし、运-8の様に実験機や試験機にも使えるかも」
海「Tu-95の導入なら、オプションとして対潜哨戒機の技術獲得の可能性がある」
空「陸岸から6,500kmの海域が全て哨区に…入手したい機体ではあるね」
陸「…ただ、真の狙いはそこではない。爆撃機の話は梃子に過ぎない」
陸の上校の言葉に、二人は無言で顔を見合す
陸「総合計画部としては、戦術レベルを含む階層的な統合システムを狙っている」
海「対潜システムは言うに及ばず…」
陸「そう、今の戦闘は単体の総合力ではない。複合システムが肝要な時代だ」
空「一からシステムを構築するとなれば、莫大な予算と時間が費やされる」
陸「今時は戦術データ・リンクでも、全軍とリンクさせないと意味がない」
空「空間情報、信号情報、膨大なデータベース…太いラインが必要だ」
海「しかしながら、Tu-95とTu-160では見た目からして印象度が違う」
空「最近は対潜哨戒機ですらジェット化が進んでいる…民間機は当然にね」
陸「Tu-160導入のインパクトの大きさと、その意味の重要性も理解できるが…」
空「成程…総装備部としてその先の大魚を釣りたいので理解させたいと?」
海「今更、システムの重要性を理解できない者はいないでしょう」
陸「勿論。ただ…単純な政治的判断にならないよう、ロジックをここで組まないと」
空「あぁ、上層部にね…だけど総参謀部の一部がネックかもな…」
海「それだけじゃない。今は見た目で判断しがちな世論の説得も大事な話だ」




