「大破のハーツ」
光は、また熱く輝く。
「撃つなーー!!」
その言葉も虚しく、放たれた銃弾はニーナの体を貫くはずだった、
「ヴアアァァァ」
その時声の主がニーナを包み込み、ニーナの命は守られた、だがその声の主の体でも貫く弾丸は止まらない、
「好和!!」
「グゥアアアアァァ!!」
「お兄ちゃん!?」
「ヤメローーーー!!!!」
撃たれ続ける好和をかばうために白夜が火線上に止めに入る、そこでやっと武装兵は撃つのを止めた、
「白夜様!?、いったい何故止めるのです!?」
「この人がただの生物兵器に見えるのか!!」
「ですが!!」
「下がれ!!!!」
「は…はい!!」
武装兵が去りその部屋には好和の苦しむ声が響いている、だがその間でも好和はニーナをかばっているままだ、
「お兄ちゃん?、もう大丈夫だよ?」
ニーナは好和の首に手を回し優しく抱きしめた、好和はニーナの頭を左腕でそっとで撫で下ろした、
「大丈……夫…か?」
「うん、私は大丈夫だよ」
「ありえん!!」
紫電は叫んだ、鬼の遺伝子の影響を受けているにも関わらず、好和がニーナを守った事がおかしいと言わんばかりに、
「おかしいのはアンタだよ!!」
ダン!、
「グハ!、き…強化装甲を……貫くだと!?」
ライアは紫電に向かって銃を構え、撃ち放っていた、ライアは構えを解かずに話し始める、
「いったいどういう了見で発砲を許可したんだい!!」
「鬼は……暴走すれば……危険なのだ!」
「それは憶測に過ぎない!!」
ダン!、
ライアは怒りが収まらず、頭の固い紫電にイラつき紫電の足を撃ち抜く、
「グアアァァ!?」
「やめるんだライア殿!」
「黙ってな白夜!!」
「……ライア………もういい」
「好和!?」
好和の静止を受けて正気に戻り、好和のもとに駆け寄り体の状態を見る、かなりの数の弾丸が食い込んでいる、だが好和の言葉がライアにとって一番悲しかった、
「名も無き我を……庇う必要は無い」
「え?」
「お兄ちゃん?」
「ニーナよ……大事ないか?」
「うん大丈夫だよ…お兄ちゃん……名前は?覚えてるよね?」
「……いや覚えていない……確か私は時空の狭間で……」
「なんでここにいるのかも分からないのかい!?」
「………確か私は……お前達と旅をしていたのだ……、そう……救世主がこの町に居ると噂を聞きここに、そして気付けばこの有り様だ」
「好和……お前…」
好和は自分がこの世界にくる前の事と自分に関する事を忘れていた、
「記憶が破損した可能性があるな」
「記憶喪失じゃないのかい!」
「記憶の破損はまるで亀裂が走って割れたガラスのようにその部分だけが無くなる事だ、一例には全ての記憶を破損した者は人格まで変わってしまったそうだ、それを考えればまだ救われている」
「破損した記憶は戻らないのかい!」
「戻ることは無い」
「お兄ちゃん……」
「そうか………我は記憶を無くしたのか、そしてその記憶は戻らないと……」
「そうだ」
「……どのみちこの街からは出られん、諦めろ……グッ………」
「ならば押し通る!!」
「な!?」
「我は……この世界を守る事のできる者を……探さなければならん、その為に………この街に来たのだ」
「使命だけは忘れていなかったんだね………だけど……少しだけ……」
探してるわけじゃない、記憶の破損で自分がこの世界を守る者………英雄だって記憶を無くしてしまったのだ、ライアは少し悲しい顔をしていた、
「どうしたのだライア?」
「!?……いやなんでもないよ」
「そうか」
「あんたの名前を教えな」
「主らが言っていた好…」
その名前を言おうとしたところでライアは言葉を遮った、
「違うよ、今からのアンタの名前さ…」
「今からの……」
「お兄ちゃん」
「?」
「お兄ちゃんは変わらないよ?、でも今から変わるの、お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど変わるの、そうでしょ?」
「……」
そこで昔の記憶が蘇った、どの街で誰に聞いたかもわからない全てが曖昧な記憶の中で、少女は笑って言っていた、
「まるで絵本の勇敢なサムライの"白狐"みたいだね♪」
その声を私は知っている、その少女を私は知っている、
『…貴方は白狐…』
「!?」
その時好和の周りに淡い炎が上がり始めた、
『…その強き光で全てを照らし、その拳で全ての者を導く者…』
「我は………白狐」
「白狐?」
「なんだ!?回りに炎が!!」
「な!?」
「お兄ちゃん!」
「大丈夫だ……」
その炎は白狐に宿るようにして吸い込まれていく、それに伴い白狐の鎧は少しずつ紅くなっていく、傷ついた部分から焔が吹き出し、少しずつ外装の形状を変えていく、形状が変わりきった姿は人のような姿だった。
「我この刀に誓う!、立ち塞がる者の全てを切り裂き悪を滅する!!、我が名は白狐!!、この人の世に正義を掲げる男だ!!」
背中に背負った長物の刀を構えて白狐は紫電に向かって叫んだ。
紫電はその姿を見て何を思ったのだろう、紫電は腰に着けたナイフに手を伸ばしていた。
その行動をその部屋に居る誰もがまだ気づいていなかった。
随分待たせましたぬwww、まあ仕方ないさ夢を見ないとかけないからねぇwww。