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最終章:紅蓮の花は、今も咲く
数年後。
紫禁城の庭には、赤と黒の牡丹が交差して咲いていた。
人々はそれを「紅蓮牡丹」と呼び、真実と正義の象徴として崇めるようになる。
紅蓮は、宮廷の改革を進め、側室の子も平等に扱う制度を導入。
史官の記録を公開し、隠された歴史を明らかにした。
ある日、彼女は母の墓前に立つ。
「母さん、やっと……言葉を届けることができました。私は、悪役じゃありません。ただ、真実を愛した、一人の娘でした」
風が吹き、黒牡丹の花びらが舞い上がった。
遠くで、子供たちが歌っていた。
紅蓮の姫よ、炎の中を歩め
偽りの宮廷を、光で照らせ
悪女と呼ばれど、心は清く
鳳凰の翼で、空へと昇れ
紅蓮は、微笑んだ。
「私は、悪役令嬢だった。でも、それ以上になれた」
そして、彼女の物語は、これからも、語り継がれていく──。
THE END