6/8
第六章:鳳凰の覚醒
火の試練とは、古代の儀式。
炎の中に立ち、心が真実を求める者であれば、炎はその身を傷つけないという。
広場に巨大な炎の輪が作られた。
紅蓮は、赤い衣をまとい、炎の中に歩み入る。
「紅蓮姫! やめなさい!」
「焼け死ぬぞ!」
叫び声が飛び交う中、紅蓮は炎の中に立ったまま、静かに目を閉じた。
「母よ……父よ……私が、真実を語るためにここにいることを、天よ、見届けてください」
すると、炎が突然、赤紫に変化する。
そして、紅蓮の背中から、赤い光の翼が広がった。
「鳳凰……! 本物の鳳凰の印が、覚醒した!」
人々が跪く中、皇帝は涙を流す。
「婉……お前の子が、ここに帰ってきた……」
皇太后は、崩れ落ちた。
「……赦してくれ……私は、皇位の安定を願っただけ……」