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第四章:影の同盟
ある夜、紅蓮は宮殿の裏庭で一人の男と出会った。
黒衣の男。
顔は覆い隠されているが、その声はどこか懐かしい。
「蘇紅蓮。お前は、一人で戦うつもりか?」
「あなたは誰?」
「私は、かつてこの宮廷で、真実を語ったために消された史官の息子だ。お前の母も、私の父と同じ運命を辿った」
男は、紅蓮に一冊の古文書を渡した。
「これが、お前の出生の記録だ。皇帝の寵妃、蘇婉が密かに皇子を産んだ。しかし、皇太后はそれを隠蔽し、宰相の妻として偽装した。なぜなら……その子が、皇位継承権を持つ『天命の子』だとされていたからだ」
「つまり……私は、本当は皇女?」
「そうだ。そして、暁皇子は、その存在を知っている。だからお前を恐れている」
「なぜ今、私にこれを?」
「お前が、真実を暴く唯一の希望だからだ。だが、一人では無理だ。私たちは、影の同盟を結ぼう」
紅蓮は、静かに頷いた。
「わかりました。ならば、私は悪役の仮面を被ったまま、この宮廷の闇を暴きましょう」