3/8
第三章:悪役の仮面
謹慎明け、紅蓮は再び宮廷に姿を現した。
しかし、彼女の態度は変わっている。
以前は正論を貫き、高潔を装っていたが、今では冷酷で、策略に長けた「悪女」へと変貌した。
「紅蓮姫が、皇太后の庭に毒草を植えたと?」
「まさか! あの牡丹の根元に、夜蘭花が……あれは、皇室の紋を模した花を枯らす毒を持つ」
噂は瞬く間に広がり、皇帝は激怒し、紅蓮を召喚する。
「お前がやったのか?」
「はい」
紅蓮は平然と答えた。
「なぜだ! 皇太后に恨みがあるのか?」
「いいえ。ただ、この宮廷が偽善に満ちているのを、少しでも壊したかっただけです。皆、美しさを装い、忠義を語る。けれど、心の中では、誰もが誰かを憎み、殺し合いを望んでいる。
ならば、私はその象徴になろう。悪役となって、この腐敗した世界を映し出す鏡に」
皇帝は言葉を失。
皇子、暁は冷たい声で言った。
「お前は、本当に狂っている」
「いいえ。狂っているのは、この宮廷です。そして、あなた方全員」
その日から、紅蓮は「紅蓮の魔女」と呼ばれ、宮中から忌み嫌われる存在となる。
だが、彼女の策略は止まらない。