第39話 勝利、祝勝会……そして
優勝チームの発表を聞き逃すまいと会場が静まり返る。数秒の静寂が熱気の流れを止める。
「えー、優勝チームは二年Aクラス……アニエスカ・グレゴリアス君のチームであーる」
鼓膜の震えを感じるほどの歓声が巻き起こり、私達四人は抱き合う。涙を流すシルビアとヴェロニカ。テレサに関してはドサクサに紛れて、ただ私に抱きつきたいだけだろうが。
結果は圧倒的だった。売上、利益、恒久的効果のあるプロモーション、どれをとっても他のチームとは桁違いの結果を叩き出した。悔しがる他のチームの学院生たちは運が悪かったのだ。相手が私達だったから。
、
ふとロメオが目に入る。どんな悔しい顔をしているのか気になって見つめてみると……なんだあの満足げな顔は、私達と同じ商品で惨敗してるのに。まったく意味がわからない。
ロメオと目が合ってしまった。彼は私と目が合うなり、ニヤッと口角を上げて笑いながら、サムズアップ。
「キモーっ! なんなのーーっ」
この日の夜は寿司ジョゼで祝勝会を開いた。奮発して高級食材をふんだんに仕入れてもらった。身内だけのこじんまりとした祝勝会。のはずだったのに。
「お父様! お母様! なぜここにいらっしゃるのですか?」
「優勝確実だとロベルトからの手紙で知ってな。お祝いに馳せ参じたのだよ」
「アニエスカ、おめでとう。貴女は本当に天才だわ」
チリン――
店のドアベルが鳴る。振り向くと思わぬ人たちの姿が視界に飛び込んでくる。
「アニーお嬢様だ! 優勝おめでとうです」
「おめでとうですー」
「ロザリアにナタリアまで! なんで……」
さらにもう二人。
「アニエスカお嬢様。やっぱりあなたは凄いわね」
「お嬢様! おめでとうございます」
「リタさんにアルベルトさんまで!」
シルビアたちに両親とリタたちを紹介する。
アニー・アンブレラの素材を作る生産者と企画販売をするメーカーの顔合わせは、なんかほっこりするものがある。
外貨を稼ぐために絹という特産品を作りたかった。そのためにヴァンドール領に来て学院に入学。経営術オリンピアのために集まった友人たち。その点と点が繋がって一つのか細い線となった。
やがてその線は太い綱となり、大きな利益になるのだろう。
私のやってきたことは間違いではなかったと、自分を誇らしく思えた瞬間だった。
チリン――
え? もう来る人なんて居ない居ないだろう。誰?
「アニエスカ! 優勝おめでとう!」
「き、君はロメオ殿! な、なぜここにいるんだい?」
父が狼狽える。そういえば、父とロメオが会うのは婚約破棄の時以来か。
「アニエスカ……まさか、またロメオ殿と婚約を……父……驚愕」
「ちがうわよ、コイツが勝手に付きまとってくるの」
ロメオは姿勢を正し、父の目の前で礼をする。
「お父様、先日は醜態をさらしてしまい、大変失礼しました。私ロメオは心を入れ替え、改めてアニエスカ嬢に求婚をしたいと思います!」
「「「えぇぇぇぇ」」」
「違う! 違う! 違う! 絶対ないから! ロメオ、アンタふざけないでよ!」
その後、皆が私を茶化す会になってしまった。
せっかくの祝勝会がロメオのせいで台無しになってしまったわ。まず、こんなクズ男。絶対に有り得ない。経営能力だって私の足元にも及ばないのに。
全く変な感じになってしまったが、私の心がロメオなんかに傾くことは無いだろう。
だって、私、お金以外に興味ないですからっ――
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