迷子 お化け
人をおどかしに人間界にお出かけしたお化けは迷子になってしまいました。
人間界はお化けがいる世界とは全然違います。
だから迷子のお化けは、怖くなってしまいました。
お化けの世界にはない大きな建物。
素早く走る乗り物。
真っ赤で明るく光る太陽。
全てが初めて見たものなので、お化けは戦々恐々。
これはどんなものかな。
あれは危険なものじゃないかな。
いちいち考えながらでないと、前に進めません。
そんな迷子のお化けに話しかけてくる、リボンをつけたかわいい先輩お化けがいました。
大きな白い布をかぶった先輩お化けは、涙目のお化けに元気の出る食べ物を分けてくれました。
そして、びくびく怖がる迷子のお化けに、色々な物を説明します。
そうこうしているうちに帰り道が分かったので、お化けはいったん帰る事にしました。
次に人間界に来るときは、もっとしっかりしようと思いながら。
どこかへ帰っていったお化けですが、その後姿を見送った人間の女の子は、白い布をまくって顔を出します。
もう少ししれば人間界はお祭りの日。
かっこいい衣装やかわいい衣装を身に纏ってお化けや怪物のふりをする日です。
そのお祭りの練習をしていた人間の女の子は、どこかに帰っていったお化けを見送った後、残念がります。
「せっかく仲良くなったんだから友達の住んでるとこ、聞いておけばよかったなあ」