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転生陰陽師は男装少女!?~月影の少女と神々の呪い~(ライト版)  作者: 水無月 星璃
終章:新たなる世界、選ばれし未来

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第3話:男装の陰陽師は未来へと歩き出す1

夜刀と一緒に都の大門に着いた頃には、空は綺麗な夕焼け色に染まっていた。


姉様と別れた後、念話で竜胆丸たちに連絡したら、真白たちと屋敷で待っててくれてるって。

逸る気持ちを抑えながら、僕たちは屋敷へと急いだ。


道すがら、都の様子を改めて見てみる。

僕の力で、人々はみんな元に戻せたみたいだ。

あちこちで元気な声が響いてて、みんなで力を合わせて街を立て直している。

その光景に、僕はほっと胸を撫で下ろした。


(よかった……)


役人さんや陰陽師仲間たちも、復興のために走り回ってる。

顔見知りの陰陽師に聞いたら、帝を中心に復興計画も進んでるらしい。

僕の独断で連れ出しちゃった玄道も、自分から牢屋に戻ったみたい。


(本当なら、すぐに陰陽寮へ報告に行くべきなんだろうけど……)


でも、今は一秒でも早く、心配して待っててくれてるみんなに会いたかった。


「復興は順調そうだし、今日くらい、いいよね」


明日からはまた、報告とか復興の手伝いとかで、忙しくなるだろうし。

今日だけは、みんなと勝利の喜びを分かち合いたい。

命がけで戦ったんだから、そのくらいのワガママは許されるはず……たぶん。


「そうですね。今宵はゆっくりお休みください」


隣を歩く夜刀が、穏やかに同意してくれる。


「夜刀もだよ。君も、色々疲れたでしょ」

「私はいつもどおり、主の傍に控えておりますので、お気遣いなく」

「それじゃ君の気が休まらないじゃないか」

「いいえ。主のお傍を離れる方が、よほど気が気でなりません」


このやり取り、前と同じようで、どこか違う。

主と式神っていう絶対的な関係じゃなくなったからかな。

なんだか、温かくて穏やかな空気が僕たちの間に流れていた。


「もう式神じゃないんだから、もっとタメ口とかでいいのに」

「そうはいきません。式神でなくとも、主は主です」

「……頑固者」

「お互いさまでは?」


くすり、と夜刀が笑う。

その柔らかい笑顔に、僕の心臓が少しだけ、きゅっとなった。



屋敷の門が見えてくると、待ち構えていたみたいにバッと扉が開いた。


「朔夜! 夜刀!」


一番に駆け寄ってきたのは、真白だった。

その顔は安堵と喜びでいっぱいだ。


よかった。真白も、ちゃんと夜刀のこと覚えてる。


「ただいま、真白。心配かけたね」

「ホントだよ、この馬鹿! 心配させすぎだっての!」


口は悪いけど、心底安心したように弾んだ声だった。

それから、ちらっと夜刀の方を見て、ちょっと気まずそうに付け加える。


「……夜刀も、無事でよかった……」


なぜかライバル視してる夜刀には、いつも突っかかるような言い方をするけど、本気で憎んでるわけじゃないんだよね。


「まさか、貴方に心配していただけるとは。嵐でも来そうですね……と言いたいところですが。今回ばかりは素直に受けとらせていただきます」


夜刀がちょっと困ったみたいに、でも柔らかく笑って返す。

それに意外そうな顔をして、真白がつぶやいた。


「……いや、お前が素直な方が、よっぽど嵐が来そうだぜ……」


うん、それな。


そこへ、雅姐さん、紅子さん、竜胆丸、そして狗と狛もわらわらと集まってきた。


「まったく、主役は遅れて登場ってわけ? 心配させないでちょうだい、朔夜ちゃん」


扇子で口元を隠してるけど、雅姐さんの目は優しく細められてる。


「ボクは別に心配なんかしてなかったけどね。 無事に帰ってくるってわかってたし」


竜胆丸はそっぽ向きながら、顔を真っ赤にしてる。

目元がちょっと潤んでるの、バレバレだよ。


「朔夜様、夜刀様、ご無事のご帰還、心よりお慶び申し上げます」


紅子さんは綺麗な涙をはらりとこぼしながら、深々とお辞儀してくれた。


「朔ー! 夜刀! お帰りー!」

「朔夜様、夜刀様、お帰りなさいませ!」


狗と狛は、僕たちの足元にじゃれついて、大喜びだ。


みんなの温かい出迎えに、胸が熱くなった。



それから広間に集まって、円座になる。


僕は、これまでのことを全部話した。

姉様との和解、イザナギ父様の自業自得な末路(これは雅姐さんの一族の使命に関わることだからね)、そして、禍津神たちとの最後の戦いのこと。

みんな、息を呑んだり、眉をひそめたりしながら、静かに聞いてくれた。


一通り話し終えて、僕は居住まいを正した。


「……最後に、みんなに伝えなきゃいけないことがある」


その一言で、広間がすっと静かになる。


(これを話したら、みんな、どう思うかな……。神様の力がない僕に、もう価値はないって、思われたら……どうしよう)


そんな不安を胸に、僕は告げた。


「僕は、ツクヨミの神核を姉様に返して、神の力を完全に手放した。そして、夜刀ももう式神じゃない。僕たちは二人とも、特別な力を持たない、ただの人間になったんだ」


みんな、固唾を呑んで僕を見ている。


「もう、僕は奇跡を起こすことも、みんなを神の力で守ることもできない。……それでも、こんな僕を信じて、これからも一緒にいてくれるかな?」


声が、少し震えた。


だけど、みんなは一瞬きょとんとした後、呆れたみたいに顔を見合わせた。

最初に口を開いたのは、竜胆丸だった。


「……何、馬鹿みたいなこと言ってるんだよ、朔夜様」


彼は深いため息をつくと、まっすぐ僕を見た。


「ボクが仕えてるのは、どこにも居場所がなかったボクを受け入れてくれた、お人好しの陰陽師だ。神だろうと人だろうと、そんなこと、ボクには何の関係もない」

「そうだよ、朔! オイラもどっちでもいい! 朔は朔だ!」


狗が元気よく叫び、狛が「狗兄、たまには良いことを言いますね」と冷静に、でも誇らしげに頷く。


「アタシたちはずっと、朔夜ちゃんの味方よ。神様の力がなくたって、陰陽師としての力は本物でしょ? それに、アンタにはアタシたちがいるじゃない。それで十分でしょ?」


雅姐さんがにっこり笑い、紅子さんも力強く頷いた。


「朔夜様の選ばれた道に、ついていくだけですわ」


最後に真白が、照れくさそうに頭をガシガシ掻きながら、一点の曇りもない笑顔で言った。


「前に言ったろ。お前が神様だろうが人間だろうが、そんなの関係ねえ。オレは、お前の隣にいるって決めたんだ。だから、ずっと隣にいる。それだけだ」


みんなの、どこまでも真っ直ぐな言葉に、僕の心にあった最後の不安も、綺麗に溶けていった。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

本作は同タイトルの通常版をベースに、文体をライトノベル調にリライトした“別バージョン”です。通常版はカクヨム様とnoteに掲載中。noteは一部有料でSS(キャライメージイラスト付)付いてます。※2話まではSSも無料で読めます!


もし楽しんでいただけたら、ブクマや下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎で評価していただけると、ありがたいです。

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