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転生陰陽師は男装少女!?~月影の少女と神々の呪い~(ライト版)  作者: 水無月 星璃
第10章:相剋の果て、世界の黄昏

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第1話:男装の陰陽師は決戦の覚悟を決める1

まるで世界から音が消えたみたいだった。


昼間のはずの金烏京は、すべての生き物が死んでしまったかのように静まり返っている。

耳がツンとするほどの静寂と、肌をピリピリと刺すような緊張感。

いつもならたくさんの人が行き交う大路も、今は息をすることすら憚られるような、重苦しい空気が満ちていた。


(……始まった、か)


僕は屋敷の濡れ縁に座って、じっと内裏の方角を睨みつけた。

白い狩衣(かりぎぬ)の袖を丁寧に整え、ひとつ、静かに息を吐く。

これから僕が向かうのは、姉神アマテラスの元。

神様の時代から、ずーっと続いてきた僕たちの因縁に、今日、ここでケリをつける。

それは僕に課せられた、決して逃れることのできない宿命。


なんて、覚悟を決めてみても、内心はぐちゃぐちゃだ。

怖い。

正直、めちゃくちゃ怖い。

だって、相手は最高神。

太陽を司る、最強の神様なんだから。


僕の横顔は、いつも通り凛として見えているだろうか。

恐れを仲間たちに悟られないように、背筋を伸ばして顎を上げる。

とんでもなく強大な存在に立ち向かうための覚悟を、漆黒の瞳に宿して。


「朔夜っ」


背後から、どこか切羽詰まった声がした。

振り返ると、真白を筆頭に、大切な仲間たちが緊張した面持ちで僕を見つめていた。


僕の親友にして幼馴染、最高の同僚でもある賀茂真白。

頼れるお姉さんで、都で一番の白拍子、雅姐さん。

そして、僕が絶対の信頼を置く、忠実な式神たち──夜刀、竜胆丸、狗、狛。

宮廷に居る紅子さんには知らせを送ったから、もうすぐ来てくれるはずだ。


みんなが居てくれる。

この仲間たちと一緒なら、どんなに無茶で、絶望的な状況だって、きっと乗り越えられる。


「みんな、聞いてくれ……」


最終的な作戦を伝えようと口を開きかけた、まさにその時だった。

ガラガラッ!とけたたましい音を立てて、屋敷の前に一台の牛車が滑り込んできた。

中から文字通り転がり出てきたのは、息を切らした紅子さんだった。


「朔夜様っ!」


よほど慌てて来てくれたんだろう。

いつもは完璧に整えられている綺麗な髪が、少しだけ乱れている。

僕が送った知らせを受けて、すぐに駆けつけてくれたんだ。


「紅子さん、ナイスタイミング。今から、例の作戦を実行に移すところだよ」

「……そうですか。なんとか、間に合ったようですわね」


ぜえぜえと肩で息をしながらも、紅子さんはほっとしたように胸を撫で下ろす。

その表情には、安堵と、そして僕と同じ、固い決意の色が滲んでいた。


「よし、全員揃ったね。作戦の内容を改めて共有する」


僕がそう言うと、みんなの顔にピリッとした緊張が走った。


「もともとは、僕と夜刀がヤバい上級妖魔を、残りの妖魔を真白たちが、って話だった。けど、状況が最悪な方に変わった」


僕は一度言葉を切って、みんなの顔をゆっくりと見渡した。


「アマテラス姉様が、降臨した。僕と夜刀は、姉様と直接戦うことになる。だから、都に現れる妖魔の討伐は、他のみんなに任せるしかない。でも……」


僕はもう一度、内裏に目をやった。

一番神聖な建物であるはずの正陽殿から立ち上る気配は、神聖どころか、おぞましいほど邪悪なオーラに変わっている。

まるで、濃い墨汁を水に落としたみたいに、じわじわと都を侵食していくのが分かった。


「あれだけの神気……いや、もはや妖気だ。都に満ちた邪悪な気に当てられて、現れる妖魔の数も質も、とんでもないことになるはずだ」


僕の言葉に、真白が息を呑んだ。

ただでさえ、僕たち陰陽寮の戦力は、こないだの「黄泉返り」事件やスサノオが顕現した一件で、ボロボロなんだ。

そこに、アマテラス姉様のパワーにブーストされたヤバい妖魔が、雑魚の群れを引き連れて現れたら……。

都の防衛ラインが突破されるのは、時間の問題だった。


「真白、雅姐さん、それに陰陽寮のみんなだけじゃ、絶対に手が足りない。……いざとなったら、牢屋にいる藤原玄道の力を借りてほしい」

ここまで読んでくださってありがとうございます!

本作は同タイトルの通常版をベースに、文体をライトノベル調にリライトした“別バージョン”です。通常版はカクヨム様とnoteに掲載中。noteは一部有料でSS(キャライメージイラスト付)付いてます。※2話まではSSも無料で読めます!


もし楽しんでいただけたら、ブクマや下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎で評価していただけると、ありがたいです。

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