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転生陰陽師は男装少女!?~月影の少女と神々の呪い~(ライト版)  作者: 水無月 星璃
第6章:金烏玉兎、宿命との対峙

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第2話:男装の陰陽師は絆を深める1

ふ、と小さく息をついて、僕は改めてみんなを見据えた。


「みんな、本当にありがとう。……僕がまず向き合わなきゃいけないのは、このツクヨミの力だ」


声が、少しだけ切実に響いた。


「金烏の一件では、もう無我夢中で……。どうやってあの力を引き出したのかも、どうすればコントロールできるのかも、まだ全然わからないんだ」


思わず目を瞑る。


(怖い。自分の身体の中にあるのに、全く言うことを聞かないこの力が)


僕の心の中に、小さな恐怖が渦巻いてる。


「確かに、神の御力となれば、その制御は容易ではございませんでしょう。ですが、大内裏の朝堂院(ちょうどういん)秘蔵の書物や古い文献の中に、何か手がかりがあるやもしれません。わたくしのほうでも調べてみましょう」


紅子さんの言葉に、少しだけ光が差した気がした。


「ありがとう、紅子さん。頼りにしてる」

「お任せください」


と力強く頷いてくれるのが心強い。


次に夜刀が、静だけど強い意志を込めた声で進み出た。


「主のお身体への負担も計り知れません。闇雲に力を引き出そうとなされば、魂そのものを消耗します。まずは、ご自身の魂と深く対話し、その内なる力の源泉を探ることから始められてはいかがでしょう。必要とあらば、私も微力ながらお手伝いいたします」


(魂の深淵に触れる……)


彼の言葉はいつも的確だけど、今日の言葉はなんだか特別に聞こえた。

彼の深い忠誠心が、僕の魂のすぐそばにあるような気がして、ドキリとする。


「夜刀……心強いよ」


僕は彼の深紅の瞳を見つめて、頷いた。


「修行、か……」


真白が腕を組んで、真剣な顔で唸ってる。


「オレには難しいことはさっぱり分からねえけど、朔夜がやるってんなら全力で応援するぜ! 何か手伝えることがあったら、どんなことでも言えよな! 気合入れるとか、見守るとか、そういうのなら任せとけ!」


(それだけじゃない……お前の隣で、一番近くで、見ててやる)


彼の心の声が聞こえた気がした。

迷わないように、一人で抱え込まないようにって。

いつものように元気に宣言して、彼はニカッと笑った。

その太陽みたいな笑顔に、張り詰めていた僕の心が少しだけ和らぐ。

思わず、僕もふっと笑みがこぼれた。


「ありがとう、真白。その気持ちだけで十分だよ」


僕の微笑みに、真白の目がちょっと見開かれる。

顔、赤くない?

そんな反応されたら、こっちまで照れくさくなるよ……


みんなの言葉を胸に、一度目を閉じる。


(内なる力の源泉……魂との対話……)


夜刀の言葉を繰り返しながら、意識を自分の内側へと集中させてみる。

でも、焦れば焦るほど、あの感覚は遠のいていくみたいだ。

額にじわりと汗が滲む。


「……やっぱり、簡単じゃないな」


目を開けて、苦笑いを浮かべた。


「焦ることはありません、主」

「そうですわ、朔夜様。時間をかけて、ゆっくりと」


夜刀と紅子さんが優しく声をかけてくれる。


「ああ、ありがとう。その通りだね」


僕が頷いた、まさにその時だった。


「あらあら、なんだかシリアスな雰囲気じゃない。アタシにも聞かせてくれるかしら?」


艶やかな声と一緒に、ひらりと姿を現したのは、白拍子の雅姐さんだった。


「アタシも混ぜてちょうだいよ」


いつもの蠱惑的な笑みだけど、金色の瞳は真剣そのものだ。


「雅姐さん! 来てくれたんだ」


僕の表情がぱっと明るくなるのが自分でもわかった。


「朔夜ちゃんのためとあらば、どんな饗応だって蹴って駆けつけるわよ」


雅姐さんはそう言うと、慣れた様子で僕の隣にすっと腰を下ろした。


僕はこれまでのことを全部話した。

前世のこと、ツクヨミの記憶、アマテラスとの確執。

聞き終えた雅姐さんは、ふう、と長い息を吐いた。


「なるほどね……。幻術で垣間見た時から薄々感じてはいたけど、本人の口から聞くと、なかなか強烈だわ……」


そして、おもむろに口を開いた。


「朔夜ちゃんの神としての力の覚醒と、最近の妖魔の変異、関係があるのかもしれないわね」

「どういうことだ?」


と真白が身を乗り出す。


「ねえ、朔夜ちゃん。神の記憶が蘇り始めたのはいつ頃から?」

「確か……常世(とこよ)の事件の前後とか、妖魔が屋敷を襲ってきた後。金烏が現れた辺りからは毎晩のように……」

「やっぱり……」


雅姐さんは頷く。


「常世事件から現れ始めた霊気混じりの妖魔、金烏の一件以降に現れ始めた神気混じりの妖魔……。こいつらの出現と呼応するように、朔夜ちゃんの記憶が蘇ってる。それに伴って、神の力が目覚めた……そんなところかしら」


やっぱり。

でもそれって……

顔が青ざめるのがわかった。


「もしかして、僕が……僕のせいで、都の人々が危険に……」

「朔夜、それは違う!」


真白が強い声で否定してくれた。

その声に、ハッとする。


「お前は何も悪くない!」

「そうですわ。たぶん、逆」


と紅子さんが続ける。


「朔夜様の覚醒が妖魔を変異させたのではなく、何者かが妖魔を変異させて、朔夜様の覚醒を無理やり促したのですわ」


雅姐さんが静かに頷く。


「その通りよ、紅子ちゃん」


僕の脳裏に、二人の顔が浮かんだ。


「陰陽頭・藤原玄道(ふじわらのげんどう)様……そして、萩壺更衣(はぎつぼのこうい)様……」

「ビンゴ。その二人、最近頻繁に密会を重ねてるって噂よ。そして、その度に都の妖魔の動きが活発になってる」


雅姐さんの情報に、緊張が走る。


「許せねえ……!」


真白が声を荒らげる。


「それと、もうひとつ気になることがあるの」


と雅姐さんは続けた。


「朔夜ちゃん、金烏の出現、あれは玄道の仕業じゃなかったんでしょ?」

「うん。彼は『いきさつはわからぬ』とか言ってた……」

「となると、別の要因があるってこと。うちの一族の連中が言うには、『太陽神様の怒りだ』って話なのよ」

「金烏襲撃に、姉様が……アマテラス様が関わっていると?」


僕の心臓が、嫌な音を立てて軋む。

姉様、どうして……


「可能性の話よ。そもそも金烏は太陽神の御遣いだしね。太陽神に関するうちの文献、調べておくわ」

「お願いします」


頭の中がごちゃごちゃしてきた真白が「くそっ!」と頭を抱えているのを見て、雅姐さんがからかう。


「あら、真白ちゃんには難しすぎたかしら?」

「姐さん、バカにしてんだろ!? あと、真白“ちゃん”はやめてくれ!」

「ふふ、ごめんなさいね。可愛くてつい」


二人のやり取りに、張り詰めた空気が一気に緩んだ。

僕も思わずクスッと笑ってしまう。


「何にせよ、僕が力の制御を身につけることは、単に自分のためだけじゃない。都の平和を守るためにも急務だね」

「だな。なら、なおさら、みんなで朔夜を支えなきゃならねえってことだ」


真白の言葉に、みんなが頷く。


その時、ずっと黙っていた夜刀が口を開いた。


「主。力の制御について、一つご提案がございます」


みんなが夜刀に注目した。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

本作は同タイトルの通常版をベースに、文体をライトノベル調にリライトした“別バージョン”です。通常版はカクヨム様とnoteに掲載中。noteは一部有料でSS(キャライメージイラスト付)付いてます。※2話まではSSも無料で読めます!


もし楽しんでいただけたら、ブクマや下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎で評価していただけると、ありがたいです。

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