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転生陰陽師は男装少女!?~月影の少女と神々の呪い~(ライト版)  作者: 水無月 星璃
第5章:幻惑の白拍子、試される魂

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第1話:男装の陰陽師は不穏な空気にため息をつく2

陰陽寮で玄道様と合流して、一緒に南天殿(なんてんでん)っていう、帝のお住まい兼執務室がある建物へ。

隣を歩く玄道様の涼しげな横顔。

考えてることがサッパリ読み取れない。

それが逆に、めちゃくちゃ不気味なんですけど……


謁見の間で帝がいらっしゃるのを待つ間、僕は滅多に見られない殿内の様子を、こっそりキョロキョロ盗み見た。


(うわー、豪華……!)


部屋には沈香っていう、なんか高貴な感じのお香が焚かれてて、厳かな空気が満ちてる。

緊張感で息が詰まりそう。

天井は高くて、朱塗りの柱がドーン!とそびえ立ってて、マジで威圧感スゴい。

壁には四季の花とか鳥の絵が描かれてて、一段高い奥の間には分厚い畳。

息をのむくらい美しい空間なんだけど、ピリピリ張り詰めた緊張感が、肌を刺すみたいだった。

早く終わってー!


やがて、衣擦れの音――サラサラって着物が擦れる音と一緒に、帝と、后妃らしき女性が、お供の人たちを連れて入ってきた。

帝は正面の玉座に厳かに座って、その隣には、上品な女房装束(十二単(じゅうにひとえ))――なんか高貴な女性の和服って感じの――を着た后妃が静かに控えてる。

年の頃は……二十歳くらいかな? 若くてキレイな人だ。

漆みたいに真っ黒で長い髪、透き通るような白い肌。

どこか憂いを帯びた目元が、まるで絵物語から抜け出してきたみたいに美しい、ハッとするほどの美人。


(この人が、噂に聞く帝のお気に入りの妃、萩壺更衣(はぎつぼのこうい)様……)


僕はそこで思わず息を呑んだ。

だって、間近で見た更衣(こうい)様から漂ってくる、なんとも言えない白檀(びゃくだん)の香り……

そして何より、彼女が纏ってるその雰囲気。

常世(とこよ)の洞窟で出会った、あの甘い言葉で僕を誘惑しようとした謎の声の主の気配と、あまりにもソックリだったんだ!


(まさか……あの時の!?)


前とは違う装束だったから初めは気づかなかったけど、間違いないと思う。

上品な微笑みの裏に、底知れない闇を隠してるような瞳。

背筋にゾクゾクッて冷たいものが走った。

マジか……。


(まずい……動揺しちゃダメだ、僕!)


冷静になろうとするけど、胸の奥では疑惑がグルグル渦巻いてる。

もし、この女性(ひと)があの常世の声の主だとしたら……

彼女はとっくに、僕の正体――僕に秘められたこの力のことを、知ってるはずだ。

ヤバい、ヤバすぎる。

この謁見自体が、彼女が仕組んだ罠って可能性だってある。

どうしよう……


その時、ふと、更衣と玄道様の視線が交わったのが見えた。

ほんの一瞬だったけど。

でも、二人の間に流れたのは、間違いなく親密な空気だった。


(やっぱり、この二人、グル……!?)


僕の陰陽師としての勘がそう告げてる。

共謀してるみたいなその仕草は、一連の事件に二人が関わってるって疑うには十分な証拠だった。

でも、帝の前で「この二人、怪しいです!」なんて言えるはずもない。

証拠もないし。

僕はグッと表情を引き締めて、とにかくこの場をやり過ごすことに集中した。

頑張れ、僕のポーカーフェイス!


「両名の者、大儀である」


帝の静かで、それでいて威厳のある声が、殿内に響いた。

ビリビリくる。


「はっ」


玄道様と一緒に、深く頭を下げて平伏する。

この都の平和を守り続けてきた、希代の賢帝。

冷たい床板に額をつけながら、僕は改めて胸に誓った。

どんな陰謀が渦巻いていようと、この人こそが、僕が守るべき主君なんだって。


安部朔夜(あべのさくや)よ。先の西市での一件、まことに見事であったと聞く。されど、そなたが常ならぬ力を顕したとも。それは一体、何であったのか、詳しく話してみよ」


帝の問いかけは穏やかだけど、有無を言わせない迫力があった。

逃げ場なし。

僕は意を決して、顔を上げた。

帝の眼差しは、全てを見通すみたいに鋭くて、真っ直ぐに僕を射抜いてくる。

ああ、緊張する……!


「恐れながら申し上げます。西市での出来事は、わたくしが未熟なために力が暴走してしまったものと、愚考しております。あの変化につきましては私自身もまだよくわかっておらず、ただ、民を守らねばという一心でございました」


これは、嘘じゃない。

半分くらいは。

ツクヨミの力は、まだ僕自身にもコントロールできない未知の力だ。

それは本当。

でも、力の根源のこととか、玄道様への疑いとか、何の証拠もないのにここでぶちまけたらどうなる?

逆に自分の立場がヤバくなるだけだ。

下手なこと言えない。

僕は慎重に、言葉を選びながら続けた。


「あの力は、確かに私の中から発したものでございます。ですが、それが何に由来するものなのか、正直に申し上げて、私にも分からぬ部分が多くございます。ただ、あの瞬間、民草を守らねばという想いが、私の全てを支配しておりました」


そこまで一気に言うと、ゆっくり一度だけまばたきをして、再び帝に視線を向けた。

大丈夫、ちゃんと喋れてる……はず。


「ですが、陛下への忠誠と、金烏京の民草を守り抜くという私の決意に、些かの揺らぎもございません。この身命を賭して、都の安寧を取り戻す所存にございます」


僕は言葉に力を込めて、きっぱりと言い切った。

そして、強い意志とともに、まっすぐに帝を見据えた。

決まった!……はず。


帝はしばらく黙って僕の言葉を聞いていたけど、やがて静かに頷いた。

その表情には信頼とともに、深い心配の色も混じってるように見えた。


「……そなたの忠誠心、疑っておるわけではない。だが、その力、正しく用いねば災いともなろう。陰陽頭、玄道。そなたも朔夜をよく導き、一日も早く都の安寧を取り戻すよう、力を尽くせ」

「はっ、御意にございます」


玄道様は、優雅に一礼した。

さすが、手慣れてる感じ。

その完璧な所作を見ながら、僕はさっきの更衣様とのアイコンタクトを、また思い出していた。


(やっぱり怪しい……)


「それから玄道、今後の警備について意見が聞きたい。もそっとこちらへ」

「はっ、仰せのままに」


玄道様が帝のそばへ歩み寄る間、僕は更衣様の様子をチラッと窺った。

彼女はずっと、無言で上品な微笑みを浮かべてる。

でも、その瞳が僕を値踏みするようにジッと見てるのを、僕は感じていた。

怖いんですけど! やめて!


「そなたは下がってよい。引き続き、都の異変の調査、そして鎮圧に励むように」

「は。お言葉、肝に銘じましてございます」


僕は再び深く頭を下げて、南天殿を退出した。

振り返らずにズンズン歩く僕の背中に、更衣様のねっとりとした視線が突き刺さるのを感じながら。

絶対なんかあるって、あの人!


御殿の廊下を歩きながら、僕の胸には、更衣様と玄道様の不気味な繋がりへの疑いが、重くのしかかっていた。

どう考えても、ただの臣下と帝の奥さんって関係じゃないでしょ。

それに、帝の瞳の奥にあったのが信頼だったのか、それとも警戒だったのか……

正直、わからない。

廊下の向こうから聞こえる宮廷の人たちの足音も、なんだか遠くに聞こえる。

まるで自分だけが、このキラキラした世界から切り離されちゃったみたいな、深い孤独感が胸を覆った。

一連の事件の裏で渦巻いてる陰謀は、僕が思ってる以上に深くて、そして広く根を張ってるのかもしれない。


金烏京の空は、相変わらず、重苦しい暗雲に覆われたままだった。

僕の心みたいにね……ホント、なんとかしなきゃ。

【あとがき】

カオス会議:第5章第1話「男装の陰陽師は不穏な空気にため息をつく」編


登場人物

朔夜:男装の陰陽師。胃痛と頭痛と疑心暗鬼に襲われる。謁見だけでHPもMPもゼロ。

真白:心配性&情熱系男子。今回は出番ナシ。でも水面下で朔夜を全力追跡していた。

夜刀:忠義と愛の塊。朔夜の背後にいつも控える影武者系式神。真白とは目が合えば即決闘モード。

玄道:陰陽頭。クールな顔で陰謀を企てるストーカー。読者の中でラスボスポイント急上昇。

萩壺更衣:完璧すぎる美貌の謎の后妃。微笑みの奥に深い闇。たぶん今回最大のホラー担当。


朔夜(廊下の隅で体育座り):

……あの微笑み、絶対何かある。あれは、人を殺すレベルの圧だった……誰か助けて……


真白(建物の外から様子を窺いながら):

くっ……中で何が起きてるんだ……!玄道が何か吹き込んでるに違いない……!朔夜の奴、変なこと言わされてないだろうな!?


夜刀(屋根の上から警戒モードで見下ろし):

……主に何かあれば、即座に殿内突入。次に動いた者は、斬る(※真白をガン見)


真白:

あ゛!? 今の明らかに俺に言ったよな!? お前、式神のクセに生意気なんだよ!!


朔夜(二人の声が中まで聞こえてきて):

あの二人が仲良くなる未来が見えない……ほんとお願いだからどっちか自重して……


玄道(気配もなく背後に現れる):

ふふ……謁見、ご苦労だった。ところで、この後うちに来ないかね?神力操作の訓練に付き合ってやろう。


朔夜 (ガタガタ):

ひゃあああ!? 玄道様!? 笑顔が怖い!ってか“ところで”の意味が不明です!しれっと拉致ろうとしないでください!あとさっきから距離感バグってますよ!?


玄道(美しい微笑を浮かべ):

安心したまえ。私は君の全てを受け入れている……いや、受け入れ過ぎている。過去も未来も。そして、香りも……ふふ……


朔夜(ドン引き):

安心材料がひとつもないです。ストーカーです。キモイです。無理です。ご遠慮ください。


萩壺更衣(遠くから優雅に歩いてきて):

あら、あなた……調子が悪いのかしら?お大事になさいな。あなたはわたくしの大切な“駒”……んんっ、失礼。臣下なのだから(ニッコリ)


朔夜(硬直):

(!!……この人、今ハッキリ“駒”って言った!)


真白(物陰で拳を握る):

あいつら、朔夜のこと変な目で見やがって……許さねぇ!


夜刀(すっと隣に現れて):

……私も同意見ですが、軽率に動かれませぬよう。貴方の場合、却って主を危険な目に会わせそうですので。


真白:

うっせえ! お前こそ誰かれ構わず刀向けてんじゃねぇよ!責任取らされんの朔夜なんだからな!?


朔夜(体育座りのまま床に転がって):

もう、やだ……胃薬と癒しとお休みが欲しい……神とか運命とか、もうちょっと手加減して……


◇◇◇


第5章スタートから朔夜は早くもHP&MPゲージ真っ赤です。

都の平和のために頑張れ朔夜!

もし楽しんでいただけたら、ブクマや下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎で評価していただけると、ありがたいです。

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