表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生陰陽師は男装少女!?~月影の少女と神々の呪い~(ライト版)  作者: 水無月 星璃
第4章:金烏の咆哮、呪いの影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

28/84

第2話:男装の陰陽師は黒炎の怪物と対峙する1

金烏(きんう)出現の知らせを受けて、僕と真白(ましろ)西市(にしのいち)の現場へと急いだ。

活気あふれた市場は、見るも無残な地獄絵図と化していた。

屋台はぐしゃぐしゃ、商品はめちゃくちゃ。

そして何より、恐怖に顔を歪めて、逃げ惑う人々の姿――。

火事の現場特有のイヤな臭いが、濃い煙と一緒に立ち込めていて、思わず鼻を覆った。


「……ひどいな。これが本当に……あの金烏の仕業だってのかよ?」


真白が目の前の悲惨な光景に顔をしかめてる。

僕も同感だ。

これが、あの神聖なはずの鳥の仕業だなんて、信じられない。

僕は言葉も出なくて、ただ全神経を研ぎ澄ませて、周囲の気配を探った。

ピリピリとした、肌を刺すような緊張感。

普通じゃない、めちゃくちゃ強大な"何か"の気配を感じる。

それは、妖魔が発する妖気とは明らかに違う、もっとこう……神聖なはずなのに、どこか深く(けが)れてて、禍々(まがまが)しさを(まと)った不吉な波動だった。

神聖と邪悪がごちゃ混ぜになってるみたいな、混沌とした気配。

胸騒ぎが、ヤバいって警鐘を鳴らしてる。


「手分けして、情報を集めよう」

「ああ、そうだな!」


僕たちは頷き合って、現場にいた人たちから、震える声で語られる状況の聞き込みを始めた。

目撃した人たちの話は、恐怖と混乱でしっちゃかめっちゃかだったけど、ある一点だけは奇妙なくらいみんな同じことを言っていた。


「金色の……それはもう、目も(くら)むような、神々しい金色の鳥だったんじゃ……」

「体からは、まるで地獄の業火のような、どす黒い光がゆらゆらと立ち昇っておって……あんな恐ろしいもの、見たことがない……」


腰を抜かしたままガタガタ震えてるおじいさんたちが、そう語る。


「三本足の大きな烏だ」

「あれは間違いなく、伝承に聞く金烏様よ!」

「俺たちの守り神のはずなのに、あんな恐ろしい目つきをなさるなんて……」

「魂ごと吸い取られてしまいそうだったわ!」


若い夫婦が、子供をぎゅっと抱きしめながら涙声で訴えた。

黒い炎みたいな不気味な光を纏った金色の鳥。

見る者の魂を根こそぎ奪い去るかのような、血走った恐ろしい目。

それらのバラバラな証言のピースが、僕の胸に重くのしかかる。

やっぱり、ただの偶然じゃない。

あの夢と、繋がってる……。


聞き込みを進める中で、真白が時々、心配そうに僕の顔を(うかが)ってくるのに気づいた。

いつもは冷静沈着で、どんなピンチでもポーカーフェイスを崩さない(と自分では思ってる)僕が、今日に限ってはどこか上の空で、顔には深い苦悩の色が浮かんでたんだろう。

まあ、実際、頭の中はぐちゃぐちゃだったし。


「……朔夜、大丈夫か? 顔色、悪いぜ。何か考え事か?」


真白の気遣う声に、僕はハッと我に返った。

彼の大きな手が、僕の肩にそっと触れようとしているのが見えた。

その手の温かさを想像して、少しだけドキッとしてしまう。


「あ、ああ……いや、なんでもない。大丈夫だ」


咄嗟(とっさ)にそう答えたけど、僕の心は千々に乱れていた。

あの神代の夢。

アマテラス様の瞳の奥に潜んでいた、あの仄暗い光。

そして今、目の前で起きてる、この狂った金烏の出現。

もし全部がひとつに繋がってるんだとしたら、一体全体、これから何が起ころうとしてるんだろう?

想像するだけで背筋がゾッとするような感覚に襲われる。


その時、なぜかあの夜の真白の言葉が胸をよぎった。

——「お前がとんでもない秘密抱えてたとしても、オレは気にしない。オレは、これからも、ずっとお前のそばにいる。」。

あのまっすぐなまなざしを思い出して、心が揺れた。


でも、この複雑でまだ確証のない胸の内を、今、真白に話すのは違うって、なんとなく思った

ただでさえ危険な任務だ。

根拠のない僕の憶測で、大切な親友をこれ以上不安にさせたくなかった。

真白には、いつも太陽みたいに笑っていてほしいから。


(今は、目の前のことに集中しないと……)


僕は、そっと真白の視線から逃れるように顔を伏せた。

そんな僕の様子に、真白は何か言いたそうだったけど、結局は黙って前を向いた。

ただ、その眉間の皺は、さっきより深くなってる気がした。

ごめん、真白。



その時だった。


「キャアアアアアアアアッ!」


市場の奥まった方角から、鼓膜を(つんざ)くような甲高い女の人の悲鳴が響き渡った。

続いて、地響きにも似た巨大な羽ばたきの音と、何かが派手に壊れる轟音(ごうおん)が連続して、都の空気をビリビリ震わせる。


「……あっちだ! 行くぞ、真白!」

「おう!」


僕と真白は顔を見合わせると同時に、音がした方角へと全力で駆け出した。

ここまで読んでくださってありがとうございます!

本作は同タイトルの通常版をベースに、文体をライトノベル調にリライトした“別バージョン”です。通常版はカクヨム様とnoteに掲載中。noteは一部有料でSS(キャライメージイラスト付)と用語解説も付いてます。


もし楽しんでいただけたら、ブクマや下の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎で評価していただけると、ありがたいです。

応援が励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ