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56.章前
帝国暦414年紫の月二十四日。
この日を、ロザ帝国の転換期と捉える歴史家は多い。
当代皇帝ケイオス一世の唯一の子、マクシミリアン皇子の謀反。というには、大変小規模な、計画性もないものであったが。ただし、皇城に入り込まれ、仮に、そこにケイオス一世と皇妃マーガレットが居た場合、結果は最悪であっただろう、とifを語ってはならぬ歴史家も口を揃える。
この小さな乱を、解決に導いた立役者に、3人の貴族令嬢の名が並べられている。後に、彼女たちは国外追放となるのだが、彼女たちがいなければ、ロザ帝国の滅亡は早まっていたと『ロザ異聞録』の著者、ブルーノ・ミルドゥナは結んでいる。
一説では、女性に惑わされたマクシミリアンが起こした小さな乱は、結果的に、ロザ帝国を最後の繁栄に導いた皇帝を誕生させた。
『ロザ異聞録』第4巻には、マクシミリアンの乱終結後のことが記されている。




