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転生令嬢の生存戦略のすゝめ  作者: 草野宝湖
第一編
38/152

38.根源貴族会議①

 時は、煌の月まで遡る。

 今回の根源貴族会議は建国祭の前日に執り行われた。建国祭で忙殺されるケイオスにとっては、正直、日程的に厳しかったが、さんざん延期してきたのだ。これ以上は言い訳が続かなかった。

 前回は、約30年前。主な議題はとある戦場における作戦実行の可否だった。大まかにいうと、一時的に撤退し、反転に出る作戦で、その撤退において村を三つほど捨てなければならなかった。反転攻勢に出るには少なくとも3ヶ月はかかるという試算も出ていた。問題なのは、村人の人種であった。土着民族が多く、敵はその民族の殲滅を掲げていたのだ。そんな村を放棄すれば、村人の運命は決まっている。作戦を遂行し、勝利すれば犠牲の2倍の領土を勝ち取れるこの作戦を実行するかどうか。会議は十五分で結論を出し、終了したという。その年、ロザ帝国は領土を大きく広げた。

 ケイオス一世は薄暗く、洞窟のような地下を陰鬱な気分で静かに進んでいた。先々代の叔父も、こうして重い気持ちを引きずって歩いたのだろうか。

 根源貴族会議は、当代の皇帝がロザ帝国に有用かどうかを判断する場でもある。兄の在位が短かったのは、この会議の結果だったのかもしれない。でなければ、末弟の自分に玉座が転がり込んでくるわけがない。僅か二年の在位を終えた兄に代わり、再度、叔父が即位し、その後、ケイオスが玉座を引き継いだ。無難で御しやすいと判断された結果が、ケイオスだったのかもしれない。

(だから、わたしは無意識の内に、マクシミリアンに貴族に対する恨みを植え付けたのだろうか)

 会議室は皇城の地下深くにある。十年単位で使用されない会議室を、皇城の兵士は日夜守っている。此処の当番は、兵士たちに密かに人気があった。菓子や酒を持ち込んで番をすることも珍しくなかった。だからこそ、使用すると命令が出たときは、蜘蛛の子を散らすような騒ぎになった。大慌てで点検と称し、会議室へ駆け込む兵士が後を絶たなかった。

 使用者たちは、そのような顛末を知るわけがない。少し湿気臭い部屋に顔を顰める者、物珍しそうに部屋のカギを開ける者、30年ぶりに会議に参加する者と、様々な反応で会議室へ入っていった。

 円卓に、椅子が9脚。暖炉には火がたかれているが、部屋全体の寒々しさを和らげるに至らない。石造りの打ちっぱなしの天井。こんな質素な部屋が皇城の中心部にあると誰が想像できようか。

「皇子とお姫様は?」

 プロミネンス家当主アンナ・プロミネンスは、ケイオス一世に問う。言葉遣いからして不敬そのものであるが、この会議に限り、皇帝はこのメンバーの中で一番格下の扱いを受ける。ケイオスもそれを是として受け入れている。この会議は、皇帝の成績を評価する場でもあるからだ。

「皇子は自室で軟禁。カンゲル男爵令嬢は、見張りをつけてある。貴族牢に入れることも考えたが、これ以上、今は騒ぎにしたくない」

「まあ、妥当でしょうね」

 円卓に座るミルドゥナ大公レオナルド、バルフォン大公エドウィン、ハーシェル公爵令息ライナー、ドリュー侯爵代理グエン、カッツ伯爵ライオットは、無表情のままだ。アンナと違って宮中に頻繁に出入りする彼らにとっては周知の事実だからだろう。最高齢のウルティマ男爵、少年の域をようやく脱した年若い青年、カレーナ男爵は、それぞれ石像のように動かない。一方に至っては、息をしているかさえ怪しいほどだ。もう一方は明らかに緊張で硬直しているようだったが。

「ねえ、ケイオス。わたくし感心しているのよ?どうやったら、あんな子どもができるの?あなたがマクシミリアンをどう教育したか本にすればいいわ。どんな教育者をつけて、どんな教本を使ったか。その時マクシミリアンがどう反応して、教師はどう返したか。その逆をすれば、きっとすばらしい皇太子ができると思うもの。わたくし、そうしてできた問答集を帝室に謹呈してよ?あなたは、その本を家宝として扱うよう勅命を出してちょうだいな」

 ほほほほっ、とアンナは軽やかな声で笑い声を立てる。ライナーも、グエンもその笑いに追随するように密やかに笑う。

「実をいうと、わしは感心しておる。あれだけの騒ぎを起こしても尚、マクシミリアンはカンゲル男爵令嬢を諦めておらん。カンゲル男爵令嬢も然り。プロミネンスもそういう物語をいくつも執筆しておろう」

 肘をつき、曲げた手の甲に顎を軽くのせたレオナルドが嘲笑混じりに言った。

「あくまで虚構ですわ。あんなもの現実でされたらたまったものじゃありませんわ」

 すかさずアンナが反論する。

 夢見る乙女(または乙男)が、作者のこの本音を聞けば、失望間違いなしであろう。

(そうか。アンナさん、そんなふうに思ってたんだ……)

 ベストセラーを次々と出し、歌劇や演劇にもなっている売れっ子作家の本音に、ライナーは静かにショックを受けていた。著作の大ファンだという妻や娘には言うまい。家族の悲しい顔を見るくらいなら黙って墓場まで持っていこうと決意する。

「虚構を現実に。現実を虚構に。この会議では幾度となく繰り広げてきたことだ」

「つまり、二人の仲を認めると言うのか?本気か、レオ」

 エドウィンが目を丸くして言う。

「認めるも何も。静観しとけばよい。おのずと答えは出る。エレノア公爵を含めた令嬢への侮辱、デビュタントや式典、公務の無礼、数え上げればきりがない。今、わしらがマクシミリアンを消す決断をしても、第2、第3のマクシミリアンが出ないとも限らん。それなら、教訓付きで、人々の心に残る、語り継がれるくらいの最後を迎えてもらった方が効果的だろう」

 これは温情ではない。むしろ、簡単に死なせはしないという警告だ。確かに、ケイオスは息子の助命を嘆願する気でいた。しかし、このままいけばもっと悲惨な末路が待っているのではないか。

「じゃあ、あの二人を解放するの?まーた、騒ぎを起こすかもよ?」

 年の頃20代の若々しい青年、ライオットは円卓に両足を乗せ、両腕は頭の後ろで組み、椅子にもたれ掛っている。

「だとしても、いつまでも皇子不在では報道の連中も騒ぎ立てるだろう」とエドウィン。

「せめて、バーネット・カンゲル男爵令嬢だけでも始末したら?」とまた軽々しい調子でライオット。

「いまのところ、毒殺や暗殺をことごとく躱しているらしい」

 ライナーが重々しい口調で言った。

 偶然というのか、奇跡というのか。通常ではあり得ない暗殺者側の不調で、バーネットの身には、傷一つ付いていない。

「やだわ。気味が悪い」とアンナ。

「じゃあ、とりあえずはマクシミリアンを無事に卒業させて、そのあとは病死にでもするっていうことでいいのかな?ついでに、バーネットも始末すれば、当座の問題は解決かなぁ。後は、君の跡継ぎをだれにするかだけど、候補はいるかい?」

 ライオットは、父親と同じくらいの皇帝に、まるで目下の聞き分けのない子どもに話しかけるように言う。

「いえ。根源貴族の皆様方のご随意に」

「そうだよねー。君が指名しようとしたマクシミリアンが、ああだもの。君の審美眼は曇りすぎていたかもね」

「いえいえ。皇太子に据えず、第一皇子にしたままだったのは、良き差配だったのでは?やはり皇太子になりますと、皇太子特別法によって権限が強くなりますから」

 ライナーが、辛辣に言った。

「そうねぇ、それは唯一の救いね」とアンナ。

 言いたい放題の根源貴族を前に、ケイオス一世はチャンスを待った。どこかでほころびを見せてくれたら、すかさずマクシミリアンの助命を請うつもりでいた。この際、バーネットを生贄にしてでも。もちろん、自分の命も円卓に賭ける気でいる。

「何か言いたいことがあるようだな、ケイオス一世皇帝陛下」

 この中でも、バルフォン大公エドウィンだけは、ケイオス一世への敬意を忘れていなかった。そして、ケイオスの心情を察してくれたのだろう。発言する機会を与えてくれた。

「学園を卒業させた後、わたし自らが皇族から除籍し、平民とする旨を伝えます。ですので、命だけは、息子の命だけはご容赦いただきたい」

 言って、ケイオスは深々と頭を下げた。

「平民ねぇ?かつて、ロザの皇族が平民にまで落されることってあったっけ?」

「ない」

 ライオットの言に、ライナーが一言で答える。

「あら、じゃあ、カンゲル男爵に婿入り?」

「できるわけなかろう。腐っても蒼の一族だ。その血が赤に変わっても、悪用しようとする輩はどこにでもいる」

「あなた、本当に蒼の一族に拘りがあるわね。まだ、血は蒼いの?」

「調子に乗る出ないぞ、プロミネンス」

 レオナルドは目に見えて気を害している。

「あら、ごめんなさい」

 と言いつつ、謝意は一切含まれていない。

 頭を上げようとしないケイオスは、目をぎゅっと瞑って耐える。しかし、彼らから助命の一言は出てこない。やはりダメかと諦めたときであった。

「まずは、マクシミリアンが学園を無事卒業する。その後、幽閉。再度、根源貴族会議を開催し、その後を決めるというのはどうですかな?」

 そう言ったのは、エドウィンであった。一同が、一斉にエドウィンを見る。

「何で?卒業後に決めるのと、今決めるので何が違うの?」

「結論は変らないでしょうが、あっさり結論を出すものでもありますまい」

 グエンがさりげなくエドウィンの援護射撃をする。

「あら。即断即決がこの会議の信条だったのでは?」

「総合的に判断した方がよろしかろう。マクシミリアンの結末が、ダルウィン公爵令嬢や、他の者たちにも必ずや影響を及ぼします。その影響についても、話し合いをした方がよろしかろう」

 再び、グエンが言った。

「確かに、ね……」

 ライオットが、憮然としつつも同意を示した。

「では、そうしましょう」

 アンネの一声で、会議は終了した。

 そして、この会議で、ウルティマ男爵、カレーナ男爵は、一言も発することなく、会議室を後にしたのだった。幸い、次回開催は30年後ではなく数カ月後なので、次はマシな一言を言えるかもしれない。

 

 マイロ・カレーナ男爵はようやく夢から覚めた気持ちで表の会議室へ続く地下の廊下を歩く。秘密の会議室は皇城の大会議室の隠し扉から入る。その扉の鍵穴に鍵を差し込んだときも、緊張で手が震え、中々、鍵穴に鍵を差し込めなかった。次はもう少し、緊張せずに会議に臨めればいいのだが、とマイロは内省しつつ、歩みを進めた。

 前を歩くのは、ライオットとライナー、そしてウルティマ男爵だ。少し離れたところに、ヒール音を奏でながら、アンナが歩いている。

(それにしても、彼らの情緒はどうなっている)

 皇帝を散々貶したかと思えば、今はライオットがウルティマ男爵を背負い、ライナーが男爵の杖を持ってやっている。そして、男爵当人は大人しくおんぶされ、会議のときと同様、ピクリとも動かない。

「じーちゃん先生。もういい加減、引退しなよー」

「そうですよ、先生」

 ウルティマ男爵を労う様子は、祖父を慕う孫そのものだ。3人の間に血縁関係はなかったはずだが。不遜な態度はなりを潜め、年相応の青年たちに見えた。

「意外かしら?」

 スッと、絹の手袋がマイロの肩に伸びる。思わず「ひっ」と声を上げ、マイロは飛びすさった。

「失礼ね-」

 アンナ・プロミネンスが紅い唇を尖らせる。

「あっ、いえ。すいません」

 それほど怒っていないアンナは、マイロの横に並び立つ。

「ライオットとライナーは、ウルティマ男爵の愛弟子だったのよ。あの方は、元ロザ学園の理事長よ」

「そうだったんですね」

 マイロは、ロザ学園に通っていない。外交官をしていた父親についていく生活をしていたため、その時々で学校や家庭教師に学んでいた。父親が自ら勉強を見てくれることもあった。

「ウルティマ男爵がいなければ、今頃、ケイオス一世も、マクシミリアンも、ついでにマーガレット皇妃も、その首と胴が離れていたかもしれないわね。あの二人だけでやってのけるわ」

 言って、アンナは手を水平にし、首元にあてた。

「ウルティマ男爵は歯止め役ですか?」

「ええ。そこにいるだけで、ね。だからウルティマ男爵は無理をおして出席したのね。あの方も、ケイオス一世に少し同情的だもの。あの方の即位の経緯を知っているご老体はほとんどそうね」

「・・・・・・。少々、ぶしつけな質問をお許し頂けるでしょうか?」

「あら。わたくしは平民よ。貴族のあなたに許しを請われる立場ではなくてよ?」

「ご冗談を」

 プロミネンス家が、貴族籍を抜けた理由は、芸術を追い求めるためと言われている。自由な表現と創作活動のためには、貴族の制約など邪魔でしかない。時に、禁忌に触れる表現を世に知らしめるために、プロミネンスは平民になったという。プロミネンス家の人間は、作家のアンナを始め、宮廷画家や詩人、彫刻家や建築家など、多岐にわたる活躍をしている。

 プロミネンス家の当主は、女性が圧倒的に多い。女性当主を据えるにあたって、貴族よりも平民の方がハードルが低いという理由もあったのかもしれない。

「皆様は、アークロッド王朝を終わらせるおつもりですか?」

「あら、どうして?」

 意外そうに返答するので、マイロの方が驚いてしまった。先ほどの会議の内容を覚えていないのだろうか。

「当代皇帝も、次代に対しての発言から、そう思いました」

「そんなことないわ。確かに、民のためにならない皇帝を選ぶつもりも、据えておくつもりもないけど。皇帝なんていう面倒なお仕事、アークロッドの人間にしかできないわ」

「そう、ですか・・・・・・」

 マイロは、この規格外の人間たちを前にしては、次回の会議でも発言する機会はないだろう、と思案した。


 会議後、すぐにケイオスが、エドウィンの元へ駆け寄る。

「大公。なんとお礼を申したら……」

 エドウィンは、デビュタントの時も、一番に大広間を出て行った。それほどの怒りを行動に移したことから、マクシミリアンに対しては厳しい意見を言うのではと思っていたのだが、彼のおかげで、マクシミリアンの命は繋がった。

 何度も頭を下げるケイオスに、いやいや、とエドウィンは手で制す。

「しかし、陛下。このままでは結論は変らないですし、打てる手もあまりありません。わたしがお止めしたかったのは、あなた様が禅譲と引き換えに殿下の命を助けてもらうこと。それこそ悪手でございますよ。ロザ帝国に戦乱を招きます」

「しかし……」

「平民に落とすというのは悪い手ではないやもしれません。彼らは、それも一興だと興味を引くやもしれません。悪趣味ではございますがね。平民に落された殿下にとってはお辛いでしょうが、命あっての物種。まずは、そこからです。生きていれば、返り咲くことも可能です」

「ああ、そうだな…‥」

 それは、限りなく低い可能性であるということは、ケイオスにも分かっている。

「わたしも良い手がないか考えてみます。それまでは軽率な行動を起こさぬよう、殿下を監視してください」

 そう言って、エドウィンはおざなりの臣下の礼をして、会議室を後にした。会議室には、いまだに席に着いたままのレオナルドがいた。

「ケイオス、少しいいかな?」

「なんでしょう?」

 ひょっとするとレオナルドも味方になってくれるかもしれない。わずかな希望を胸に、ケイオス一世は歩み寄る。

「ケイオス。勅命で、こいつを認めてもらいたい。このごたごたを機に、わしの一族も整理する」

「オットー・ミルドゥナ侯爵の奪爵(爵位をはく奪すること)証明書……?オットーから侯爵位を奪うのか?」

 ケイオスとオットーは昔馴染みで、ロザ学園の先輩後輩の仲であった。今も、数少ないケイオスの味方であり、マクシミリアンにも同情的であった。たとえそれが、父に対する憎しみからくるものだったとしても。

「そうだ。代わりにブルーノを侯爵にする。今、わし自ら一から叩き直している最中だ。マクシミリアンとブルーノは学園でも一緒だろう?生徒会とやらでも一緒に活動しているという。マクシミリアンの仲間のうちの一人くらい侯爵位がいてもよかろう。侯爵子息と侯爵では意味が違う」

「つまり、ブルーノ侯爵令息が、マクシミリアンの盾になってくれると?」

「それはマクシミリアン次第だ。その才で、ブルーノを顎で使えるならそうすればいい」

 悪い話ではない。悪い話ではないはずだ。レオナルドも、マクシミリアンの死は望んでいない。そう思いたい。

「オットーはこのことを?」

「粛正はわしの手で行う。あいつは知らないでいてもらった方が都合がいい」

「しかし、それは・・・・・・」

 ケイオスは言いかけて、レオナルドの皺だらけの手元に気を取られ口を閉じた。スッと、ケイオスの前に深紅のベルベット生地の箱が置かれた。見るからそれはジュエリーボックスのようであった。

 開けてみろ、とレオナルドが顎で箱を示す。

 恐る恐るケイオスは、その箱を開けて、目を見張った。

「なぜ、これがあなたの手元に・・・・・・」

 それは、デビュタントの時に、バーネットが身につけたルビーの宝飾一式であった。

(なぜだ。なぜ、これが此処にある。まさか、マクシミリアンが返却せずにずっとバーネットに持たせていたのか)

 すでに返却されていたと思っていたケイオスは、愕然とするしかない。

「質に流されておったぞ。顔なじみの骨董屋が知らせてくれてな。大慌てで引き取った」

「まさか、あの娘が?」

 金ほしさに、帝室のコレクションを売りに出したというのか。

「さて。売りに来たのは、貴婦人だったと聞いている。娘ではなく、母親の方だろう。このルビーはわしの母も身につけた逸品であるというに。一瞬でも下々の手に渡ったのだ。嘆かわしいやら、口惜しいやら」

「そんな。そんな、まさか・・・・・・」

 どこまで恥知らずな者たちなのだ。頭に血が上り、ケイオスは言葉にならない。

「オットーには時期を見てわしが話す。それまでは黙っていて欲しい」

 その報酬が、目の前の宝飾類というわけだ。

「・・・・・・分かった。さしあたっては、署名を。御璽は後程」

「結構だ。感謝申し上げる、皇帝陛下」

 この場ではじめて、レオナルドはケイオスを皇帝として扱った。

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