41話 戦争編 探索者の味方になってみた
そろそろ戦争が始まるようで、関東地域の近くに住む住人は東北側、中部地方側、近畿地方側と離れていく。
リサ達の家は関東地域からかなり離れているので避難はしなくてもいいだろうという認識だ。
現在の関東地域は魔物が多数ウロウロしている状況だ。そんな中の戦争だ。ある意味三つ巴とも言えよう。
ルキナは【暴食】【強欲】による更なる成長を終えて、レベルが1251に上がった。
名前:ルキナ(セレスティア・レブナント)
種族:罪禍の鬼神
ランク:SSS
レベル:1251
技能:【神気】【加速】【変速】【睡眠学習】【熱無効】【透過】【滅撃】【霊之力】
固有技能:【鬼之力】【深淵操作】【混沌操作】【罪禍之息】【魔眼之力】【鬼神生命】【終焉魔法】
特殊技能:【反射】【無尽蔵】【確率操作】【粒子操作】【不死】【不老】【生命創造】【生命操作】
禁忌技能:【暴食】【憤怒】【強欲】【傲慢】【嫉妬】【色欲】
称号:終末者、六罪神覚者、武と魔の達人、深淵奏者、影の帝王、踏破者、生命殺し、不死体、罪禍之�力、神話創始者、生命創造者、遊人、従鬼者
【怠惰】の獲得条件である遠隔攻撃の手段の確立だが、【生命操作】で試してみることにした。なお、リサ達にバレないために【生命創造】を使い、自分と同じ存在を作り出した。いわゆる偽物だ。
これを家に置いておけば、バレることはないだろう。あの時の姿に変わる。黒髪黒目であり【罪禍シリーズ】の装備を身に纏い、関東を目指す。
と言っても空間を繋げるだけである。
はるか上空から地上を見下ろす。
まずは、【生命操作】できそうなやつを探す。
地上に出ている魔物を使う方がいいだろうが雑魚を使えば、操る最中に他のやつに殺られる可能性があるので、【生命創造】で魔物を作り出すことにした。
出来た魔物は、体を自由に変形できる鬼の形をしたスライムだ。種族はスライムオーガとでも名付けておこう。名前だが、適当でもいい。
「名前はアシュラだ。」
アシュラと名付けられたスライムオーガは自我を失う。それよりはるか上位者のルキナにより肉体と精神を両方操られるからだ。
これで、おもちゃが完成した。あとは適当なやつにぶつけてみよう。
戦争が始まるのが楽しみだ。
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それから数時間後、戦争が始まったようだ。
妖煉団の構成員は複数の武器を持ち、探索者やエルフを攻めたてる。
構成員一人一人がAランク相当であり、十二幹部ほどでは無いが指揮官クラスになるとS相当になる。SSクラスもいるようで、序列こそ低いものの探索者としてのSSランクが応戦しているようだ。
こう、上から俯瞰して見ていると、SSランクの探索者はわりと多いようだ。
スライムオーガを操り、人が居るであろう所を虱潰しに見て回る。
「お、あれは妖煉団というヤツらか。ならば最初はこいつらだな。」
「おい!探索者どもはまだ倒せないのか!」
「無理です指揮官!相手が単独で行動しておらず各個撃破が厳しいです!」
「役たたずどもめ!これでも幹部らに顔向けできんではないか!」
「居たぞ!構成員だ!」
探索者も集まってきたようだ。
「ちっ、俺が出る!お前らは分散して奴らを掻き乱せ!」
「了解しました!!」
妖煉団の指揮官の1人と思しき男が探索者4名を前にした。探索者はS1名、A3名で構成されているようだ。
「相手は指揮官ただ1人だ!強いだろうが連携を確実にしろ!」
「俺を倒せるものならやってみな!」
と、ぶつかる直前、目の前に何かが飛来する音が聞こえた。
煙が立ちこめ、双方咳き込む。
「な、なんなんだ??」
「何が落ちてきたんだ??」
双方、煙が立ちこめる方向を見る。
煙の中から現れたのはオーガだ。
「ハハハ!たかがオーガかよ!さっさと死にな!」
探索者の1人がオーガに向かって駆け出す。自慢の刀を使って斬り掛かる。
ガキーン
激しい音とともに刀が折れる。
そこには不敵な笑みを浮かべたオーガだ。
すると、オーガの右腕がグニョグニョと動き出し刃を形作る。
探索者のひとりが刀を折られた探索者を助けようと盾を押し出す。
「離れやがれ!」
しかし、無惨にも盾ごと2人の探索者を斬り刻む。
胴体が分かたれた2人の探索者を前にして、指揮官がほくそ笑む。
「運は我々に味方したようだな!ハハハ!」
と、思っていた指揮官の元に迫るオーガ。
「な、何をする!奴らを狙ってるんだろう!お前の刃なら2人の方が美味いだろ!」
しかし、オーガは指揮官の声に反応することは無く、刃を振り下ろす。
ここで死ぬ訳にはいかないと指揮官は応戦する。
今がチャンスだ!とSランク探索者は戦斧を駆使してオーガと指揮官まとめて切り裂くことにした。
オーガが指揮官と鍔迫り合いを起こした瞬間、オーガの後方からSランク探索者が迫る。
しかし、それで怖気付くオーガではない。
背中からグニョグニョと動き出し背中からも刃を形成する。
(なんだこのオーガは!?変異種か!?)
Sランク探索者、以降、彼と呼ぼう。
彼は、その異常なオーガを前にして、残り1人のAランク探索者を後方に下がらせることにした。
念話を繋げる事で本部と繋げることにしたのだ。
(こちら右翼第2部隊!妖煉団の指揮官と戦闘中、変異種と思われるオーガを確認!Aランク2名死亡!肉体をスライムのように変化させるオーガと思われる!警戒されたし!)
(こちら本部!了解した。至急、他部隊に伝達する。)
そして、探索者陣営全部隊に対して変異種オーガの情報が伝えられた。
「腕が鳴るアルネ。そのオーガ、私が即殺するアルヨ。」
「ダメですよチェン。この先に幹部が居る可能性があるのでここであなたに離れられると困ります。」
そう引き止めたのは、SSランク序列11位シュグラニカ=レスター 【蒼弓】の2つ名を持つエルフだ。
「しょうがないアルネ。でもこっちに来たら倒してもいいアルネ。」
「それならばしょうがないですね。ですが、カオスグラウンダーの指揮官相当の攻撃を完全に防ぐオーガです。生半可な攻撃では倒せませんよ。」
「そんなの気にしないアルヨ、魔体術士の私に倒せないものはないアル。それよりも気になる事がアルヨ。」
「何かあるんですか?」
「この日本に私と同じ職業を持った奴が現れたと聞いたアル。それと会ってみたいアルネ。」
「それは初めて聞きました…。あなたの職業と言えば魔法も体術も出来ないとなれない職業ですよね。」
「そうアル。だからどれほどのものか戦ってみたいアルネ。」
「それはお預けですね。とりあえずこの戦争を集結させねばなりません。」
「そこまでの辛抱アル。」
チェン達が走る。
その先に一人の男が立っていた。
「お前、【紫紺のクヴァレ】アルネ。ぶっ潰すアル。」
「おやおや、序列5位、それに序列11位がお出ましとは。嬉しい限りですな。私を相手にあなた達だけ。というのは些か舐めすぎではないですかな?」
フンッと。
「お前たちは強いアル。だから私の全力をもってぶっ潰すアル。」
チェンは体全体を【風纏】で覆う。
チェンは風属性魔法を操る。肉弾戦だけでなく風による斬撃や自身の動きをサポートするような風魔法の使用で相手を追い詰める。
彼女の適性は風と虚無。風属性には回復系は存在するのだが他の属性に比べて回復力は劣る。せいぜい切り傷を治す程度ではあるが、彼女は切り傷を受けたそばから治す程度には使いこなしている。
すると、クヴァレの周りに霧が立ちこめる。
「やつの常套手段アル。霧を突破できる攻撃を放つアル。」
「無茶言いますね。でもまぁ任せてください。」
【蒼弓】と呼ばれるシュグラニカは、国宝クラスの弓を操る。彼女は弓の扱いにおいて、エルフで1番である。同じく日本の皇海斗とは、時々、弓で対決しているようだ。【精度の海斗】【威力のシュグラニカ】と呼ばれているほどで、威力においては遠距離界負け無しである。
矢を番え、弓を構える。矢の先から魔法陣が出現する。
雷魔法だ。雷の速さで矢が進み、着弾と同時に激しい爆発を起こす。当たらずとも爆風で敵にダメージを与えることのできる技だ。
(今回は的がでかいですからね。当てるのは楽勝ですよ。)
「らいっ!」
矢が放たれる。
0.1秒も掛からずクヴァレへと命中し、爆発する。クヴァレも流石に驚く。矢を放ったと思った次にはもう刺さっていたのだ。煙もまさかの消された。
クヴァレも負けじと、負傷した左肩を隠すように霧を纏い、チェンへと攻撃を仕掛ける。
しかし。
「攻撃が単調アル。ゆえに避けやすいアルネ。隠していても無駄アル。怪我してる奴の動きアル。」
チェンの回し蹴りにより、クヴァレは胴体をえぐられる。
大量の血反吐を吐く。
「クヴァレ、お前は幹部の中でも雑魚アル。」
「相性の…問題だ…。」
「そんなこと無いアル。相性関係なく雑魚アル。鍛え方がまるでなってないアル。肉弾戦を行うやつの動きがそもそもなってないアルネ。なんでその体たらくで幹部アル?」
「随分と…言ってくれるじゃ…ないか。」
「トドメ刺すアルヨ。」
「さっさとやれ…。」
チェンはかかと落としを決める。クヴァレは頭から潰される。
(こちらチェン・コールゥ。紫紺のクヴァレ殺害したアル。)
(こちら本部。よくやりました。)
(空いてるところの応援に向かうアル。)
(了解した。)
チェンは動き出した。
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「へぇ、あのチェンってやつ、強いんだな。アシュラだと負けるか。ならばもう一体作るか。【生命創造】」
作られたのは不死鳥の力と守護神アテナの力を内包したオーガだ。
防御と再生に優れたオーガだ。それをアシュラと混ぜる。
出来たのは体を変形することの出来る攻防一体のオーガだ。
(ランクはSSか。まぁこれなら問題ないな。もちろん名前はアシュラだ。)
種族名:スライムオーガ→究極豪鬼
『貴種の作成に成功しました。神格が上昇します。隠された力、【罪禍之神力】が解放されました。【怠惰】の獲得条件が緩くなりました。』
『遠隔攻撃手段を用いて1000人殺害。』
『ダンジョンを3つ踏破する。(現在2つ)』
『神力の上昇により【七罪】の効果が上昇します。』
おお、貴種を作りまくれば【怠惰】も獲得できるのかもしれないな。
『王鬼の創造に成功しました。』
『蠱毒鬼の創造に成功しました。』
『暴風鬼の創造に成功しました。』
『滅亡鬼の創造に成功しました。』
『阿修羅観音鬼の創造に成功しました。』
『天空鬼の創造に成功しました。』
『龍鬼の創造に成功しました。』
『貴種8体が創造されました。今月の限度に到達しました。』
あ、これ以上は作れないのか。来月に期待だ。
この8体は全て【生命操作】で操る。多重操作は何のそのだ。ジグーに天才と言われてるくらいだからな。
そういえば、ジグーとジルドはどうしているだろうか。Sランクに進化しているとは聞いていたが。
それはおいおいだな。
この8体を関東地域に分散させるか。
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スーヤはアイスパラダイスツアーを求めてやる気を出している。
広範囲の感知を行ったところ、何か上空に居るのを発見した。
「ねぇ、海斗。上に何かいる。」
「上?どのくらい上だ?」
「上空300m位のところに、女?が浮いてる。」
「戦場を眺めてる感じか?」
「そうなんだろうけど、時々魔物の気配を感じる。」
「手出ししたほうがいいのか?」
「いや、辞めておきたい。あれと戦ったらたぶん死ぬ。」
「待て待て。スーヤが死ぬ??それはさすがにやばいだろ。」
ルキナは彼女の視線に気づく。
ルキナは指を差した。
スーヤは警戒態勢をとる。
「海斗、何かヤバいのが来る。警戒して。」
「俺も感じた。いつでも撃てるようにする。」
そこに現れたのはオーガ?だ。
「スーヤ!見れるか!」
「見れた。【暴風鬼】と【龍鬼】って種族。ランクは…SS…!?」
「は!?それって貴種じゃねぇか!」
「他になにか見えるよ?」
「何が見えた。」
「罪禍の鬼神ルキナの配下…。」
海斗はとある答えに帰結する。
「関東地域をこんな状態にしたのはルキナだ。」
「え。」
「ルキナの情報は知ってるだろ?」
「でもそれってSランクの半鬼神ってやつじゃなかったの?」
「あれから進化しやがったんだ。」
恐らくSSランクを従えるってことは…。
「ルキナは恐らくSSSランクだ。この世界には存在しないはずのランクだ。」
「これ、本部に報告すべき…?」
「いや、かえって状況が混乱する。戦争どころでは無くなってしまう。だから報告はしない。」
「分かった…。じゃあ鬼はどうする?」
「既に鬼のうちの一体が探索者を2人殺しやがった。殺せるならば殺した方がいい。」
「でも相手は貴種…。私でも勝てるか怪しい。イラに来てもらった方がいいかも…。」
すると、念話が届く。イラからだ。
(すまんみんな、鬼が俺のところに現れやがった。)
(スーヤの所にも2体現れたよ。)
(私のところにも現れたわ。)と飛鳥が。
(俺のところにも現れたな。)とアレックスが。
(こちら本部!こちら本部!鬼が2体現れた!)
しかし、鬼が探索者達を一向に攻撃しない。
(攻撃されない限り、仕掛けないつもりかしらね。)
すると、本部に居た鬼2体は、本部に背を向けてその場で立ち尽くしている。
本部に居た人は言う。
「まさか、守ってくれているのか…?」
そのまさかである。
ルキナは、探索者を守る事にした。今は妖煉団のやつらを始末する方が先だ。当然、探索者を守った方がいい。
貴種が8体も居るのだから、さすがに負けないだろう。
妖煉団の幹部の強さがどれほどかは分からないが、先程1人の幹部がやられたから、そこまで強くないのかもしれない。
それとも、妖煉団も探索者と同じように幹部の中でも序列があるのかもしれない。もしかすると今出ている3人は序列が低い奴らなのかもしれない。
おっと…。忘れていたことがある。
究極豪鬼を使い、妖煉団の指揮官の1人を倒した。Sランク探索者の目の前で。
彼は困惑しているようだが、オーガが刃の形を変えて、ただの手に戻し、握手の構えを取る。
彼も理解したのか、協力体制を築くことが出来た。
恐らく彼自身も、ほっとしているはずだ。
と、彼から頼まれ事だ。
「俺と一緒に指揮官狩りをしてくれないか。」
構わない。そう伝わるように身振り手振りで伝える。
「助かった。」
妖煉団のヤツらを倒すだけでも【怠惰】の獲得条件を進めることは出来る。奴らは数がわんさかいるからな。
さすがにダンジョン踏破は出来ない。戦争が終わるまでの辛抱だ。
もし、妖煉団の他の幹部がダンジョンに居る。というのならダンジョンを踏破してもいいのかもしれない。
だが、その確証は今のところ皆無なため、行動には移さない。敵のアジトは探索者達が見つけてくれることだろう。




