38話 初めての彼氏が出来たのでデートしてみた
入学式を終え、リサの親名義で買ってもらったス マホでセシリアと連絡先を交換した。先にリサやテンヤ達と交換を済ませている。
「セシリア、この問題、答えてみろ。」
そう先生に当てられたセシリアは淡々と答えた。
「正解だ。であるからしてーー。」
ルキナからすると、全てが初体験だ。授業を受ける。制服を着る。登下校する。友達と食堂に向かう。
小鬼だった頃からすると、とても考えられない事ばかりである。人型になって心底良かったと思えた。
体育では一際ずば抜けた身体能力を発揮し、同級生、そして先生から驚かれた。鬼族を間近で見るのが初めてだという人が多いというのも理由の一つだ。
そして、入学式から4日経ったある日。
「好きです!付き合ってください!」
休み時間、セレスの教室に向かっていたリサやテンヤ、そして教室にいたセシリアはセレスがクラスの男子に呼ばれていたのでこっそりついて行くことにした。
まさかのセレスが告白されていた。
「戸塚、急に何を言うんだ。」
セレスに告白した男の子、戸塚 明は、一言で言えば秀才だ。
勉強も運動もできる、そして身なりも整っており、中学時代は誰とも付き合うことは無かったが、モテていた。そんな彼が初恋に落ちたのがセレスだ。
学年の中でツートップの美女が2人とも教室にいるという幸運に恵まれており、運も味方につけた。
ちなみに学年ツートップの美女は、
セシリア・フェブナール。
エルフであり、交友関係も広く探索者としてもCランクと活躍している。
セレスティア・レブナント
鬼族でありながら赤髪の混じった銀髪の黒い角を生やした長身の美女。身体能力が非常に高く、それでいて記憶力にとても優れている。男勝りなところもある。探索者としてはDランクらしい。他クラスの3人とチームを組んでいるのだとか。
そんなに男勝りな部分に惹かれたのだ。
そして、そんな告白は…。
「恋愛というものが分からんが、付き合ってみてもいい。」
まさかの成功だった。
これにはセシリア達は驚いていた。
「ねぇ、真城さん、セレスはもしかして世俗に疎いの?さすがに私ですら恋愛くらい分かるのに。」
「そうらしいよ。戦争以外知らなかった子だし。今は私のところで一緒に住んでるけど最初は箸すら持てなかったんだよね。手掴みで食事をしようとしてたんだよ。」
「世俗に疎い、なんてもんじゃなかったのね。戦争以外何も知らないって事か。それなら試してみよう感覚で付き合うってことになってもおかしくないわね。」
そして、学校が終わり、帰宅の時間になった。
すると、セレスの周りにセシリア、テンヤ、リサ、俊介の4人が集まってきた。
「セレスが先に恋人できちゃったか〜。」
「リサもすぐに出来るさ。」
「そうだといいけど〜。」と口を膨らませている。
リサの頬を指で摘むと、空気が抜けるようにぷーっと音が出る。
「今日は依頼はやめとくか?」とテンヤが言う。
「そうだな、私はやめておこう。」
「俺ら3人で受けるとするぜ。あぁそうだ、セシリアさんも一緒にどうだ?」
「3人よりランクが1つ上だけど問題ないの?」
「問題なし!」
「それじゃあ私も受けましょうかね。」
「んじゃセレスまたなー!」
セレスは4人と解散する。そして教室に残っていた明とセレスが帰る。
「まさか、付き合えるなんて…。」
なんか一人で感傷にひたっているようだ。
「恋愛って何をすればいいんだ?」
「お、おぅそうだな。手を繋ぐとか、2人でプリクラ撮りに行くとかしか思いつかない…。俺も恋人出来たの初めてなんだよ。」
「初めて同士か。まぁ楽しもうじゃないか。」
ちなみにセレスと明の身長は同じくらいだ。
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それにしても、セレスティアさんは目立つ。まず、髪の毛が赤髪の混じった銀髪でありながらスレンダーで胸もある。同じ学校の先輩とかもこちらをチラチラ見たりしている。
それだけじゃない。歩き方を見てみると、音がほとんど出ていない。靴で歩いているのに。髪の毛は綺麗にまとめられており、うなじが見える。
「今からどこに行く?」
そう聞いてみると、ゲームセンターというところに行ってみたい。と返ってきた。
近くのゲームセンターに寄る。
クレーンゲームやリズムゲーム、レースゲームにゾンビゲーム、子供向けのゲームもある。その中にプリクラもあった。
持っていたお金を使い、クレーンゲームに挑戦する。3回ほど挑戦すると、取る事が出来た。
大きさ30cmほどのパンダのぬいぐるみだ。
「これあげるよ。」
と言うと、ありがとうと返ってきた。
とても笑顔な表情でお礼をもらい、幸せだ〜っとなっていると、先程まで持っていたパンダのぬいぐるみが無くなっていた。
「あれ?パンダのぬいぐるみは?」
と聞くと。
「空間の中にしまった。」と返ってきた。
さらっと言っているが凄い。空間操作系の技能を持っているのだろう。よく見れば高校のリュックも空間の中にしまっているらしい。
「凄いな…。自分には技能がそんなに無いから。」
勉強も運動もできる。だけれども技能が1つしかない。一般人としては、アスリートを目指したりする者としては優秀といえよう。
だが、こと探索者においては平凡でしかない。
そんな自分がふと、そんな言葉をこぼしていた。
自分の気付かぬうちに。
「そうか。その技能を極限まで鍛えれば、新たな技能に派生するんじゃないのか?」
「だけれども、鍛える場所がない。自分じゃ弱すぎて誰ともチームを組んでくれない。」
「それなら私が組もう。」
「で、でもセレスさんにもしもの事があったら…。」
「そんな心配はしなくていい。私は強いからな。」
そう言って、笑顔を見せてくれたセレスを見て自信ができた。
「今から行くのか?俺はEランクのままなんです。」
「別に問題ないだろう。ちょっとついてきてほしい。」
「わ、分かった。」
そう言ってセレスについて行く。
ついて行った場所は防犯カメラが1台もない人目が一切ない空き地だ。
「セレス、ここで何をするんですか?」
するとセレスは黒い煙に包まれた後、そこから出てきたのは黒い装備だ。篭手を装備しており、セレスが武闘家である事が見て取れる。
その後、右腕を振るう。
すると、何も無いはずの目の前で、何かが裂けた。
「こ、これは?」
「ここからダンジョンに入る。」
「この中は安全なのか?」
「少なくとも私にとっては安全だ。ここの中なら戸塚の技能も鍛えれそうだ。」
そうしてセレスはその裂けた空間の中に入る。
俺が入るのに躊躇していると、その空間の中から顔と右手を出してきた。
「入らないのか?なら私が手を握ってやる。だから一緒に入ろう。」
セレスさんがせっかく誘ってくれた。探索者として弱小な自分を助けれてくれる存在を前に握らないという手はなかった。
そして俺が空間の中に入ると、その空間は閉じられた。
すると、セレスはまるで何度も来た事のあるダンジョンかのように迷うこと無く道を進んでいく。
不思議と敵と出会わないのが気がかりではあるが、今の自分にとってはそれは幸いであった。
すると、ダンジョン内部に扉を見つけた。
「ここの中だ。」
セレスが先に入っていくのでついて行く。
すると、そこにはひとつの部屋がある。
ベッドと机と椅子、花瓶が置かれており、中には黒い華がある。
「ベッドに寝転がってくれ。」
ん?寝転がってどうするんだ?と思った。
しかし、今の自分には、ここがどこのダンジョンなのか見当もつかない。それにセレスから離れればきっと魔物にやられるだろう。ならば探索者の先輩たるセレスさんの言うことを聞いてみよう。
セレスさんの言う通り、ベッドに寝転がった。念の為靴を脱いでおく。
すると、セレスさんがまたしても黒い煙に包まれた後、制服姿に戻った。
「これなら問題ないか。」
「えっ!ちょちょちょ!何してるんですか!」
セレスさんは唐突に制服をぬぎ始めた。しかも逃げられないように俺に跨った状態でだ。
そして、上はブラだけになった。下もタイツを脱ぎスカートとパンツだけになる。
「私と交尾しよう。恋人というものは交尾をするのだろう?」
「ちょちょちょ!さすがに早い!これは段階を踏んでから行うべきだ!」
「何を言ってるんだ?力を身につけたいのだろう。私はこういうやり方でも力を与えれる。恋人ならばこの方がいいと思ったのだが。」
すると、セレスは跨ったまま何かを考える。
「あぁ、雰囲気が足りないのか。」
すると、何かを部屋の中に撒き始めた。
それを吸い込むと、急激に体が敏感になり始めた。
セレスを見ていると、襲いたくなるようなそんな気分になる。
セレスはそのまま全裸になる。
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それから数時間ほどした頃、お互い着替えた状態で部屋を出てきた。
まさか、ダンジョンの中でする事になるとは思わなかった。
だが、今は何故か力が凄く入るような気がする。
自分のステータスを覗いてみると、何故か唯一の技能である【剣術】が【上級剣術】へと進化しており、【盾術】という技能が追加されていた。
セレスさんは本当に誰かを強くすることができるようだ。
一方、ルキナもルキナで成長していた。
『【色欲】の獲得条件を達成しました。【色欲】を獲得しました。』
『個体名:戸塚 明を配下にしました。配下である戸塚 明は【剣術】を【上級剣術】に進化しました。【盾術】を獲得しました。』
『個体名:戸塚 明のレベルが4から15に上がりました。』
『【色欲】の効果により、個体名:戸塚 明を自由に操ることが出来るようになりました。』
【色欲】
獲得条件:男女1名ずつと事に及ぶこと。そして相手を満足させること。
効果:【色欲】発動時、効果に晒された者を自由に操ることが出来る。『自他』の記憶を自由に改竄も可能。また晒された者のステータスを弄ることが出来る。そして晒された者は、デバフ解除などでは解くことは出来ない。術者の死亡により解除される。
まだ18時半だ。もう少しの間なら良いだろう。
「明、少し魔物を倒してみよう。」
「分かりました。」
ルキナはなるべく記憶の改変は行わずに配下に加えられていることは告げないようにした。そして【色欲】の効果を使い、ステータス上に【色欲】の効果が表示されないようにした。
戸塚は色々記憶に残っている状態なので、先程の浮ついた感覚がなかなか抜けない。
「少し様子を見ようか。」
「まずはどうするのですか…。」
「先程、私たちは交尾をしただろう。記憶に定着するのがしょうがない事だ。お互い初めてなのだから。だが、その記憶をいつまでも残していては戦闘に影響が出る。だから戦闘状態に入る直前になると、その記憶を心の奥底に強制的に移動することにした。これならば浮ついた感覚のまま戦闘に望まなくて済む。」
「た、確かに…?ってセレスも初めてだったの?」
「そうだが…。」
「まぁ…恋愛を知らないならその可能性もあるのか…。それより、今ならどんな魔物を倒せるのだろうか。」
「前はどんな魔物を倒していたのだ?」
「ゴブリンとかコボルト、スライムにトレント、ウルフだな。」
「それなら、オークやゴーストなんかも倒せるようになるんじゃないか?」
「ゴーストは物理が効かないから無理だぞ。魔法を使わないと。」
「そうだったのか。なら剣に魔力を纏わせてみたらどうだ?それならゴーストも斬れるんじゃないのか?」
「その手があるのか!ありがとうセレス!」
なら、ここのダンジョンはうってつけだろう。なんせここはゴーストが大量に出る。それにオークもだ。ならばここで鍛えていくとするか。
そして、セレスは残り1時間ほどを使い、戸塚の成長の時間に当てた。思いのほか、魔力の扱いに長けていた戸塚は直ぐに剣に魔力を纏わせることができ、順調にゴーストを斬っていく。オークなどの図体のでかい魔物に対しては【上級剣術】を駆使して切り刻んでいく。
そして夜7時半になった。
「明、そろそろダンジョンを出よう。もう夜だ。」
「分かった!」
セレスは空間を裂いて、元の空き地へと繋げる。二人で手を繋いで空間を移動する。
「それじゃあ、あとは道なりに歩いて電車に乗って解散だな。」
と、戸塚はセレスの手を握ったまま、駅まで向かう。電車も隣に座っている。
先にセレスが最寄り駅に着いたので降りることにした。
「また明日な、明。」
「また明日、セレス。」
家に着いたのは8時半を過ぎていた。
家に入ると、リサと母がニヤニヤしながらこちらを見ている。
それからどんな事をしたのか問い詰められた。主に【色欲】で洗脳したことを除いてダンジョンに入ったことも除いた。
デートした事は何故かバレていた。
バレていたのでパンダのぬいぐるみを取り出す。
リサに取られそうになったので取られまいとぬいぐるみを握りしめた。
母は微笑ましい顔でこちらを見ている。
すると、母がセレスに言った。
「前まで荷物置き場になってた空き部屋だけどセレスちゃんの部屋にしたから、これからそこを使いなさいな。」
なんと!まさか部屋を用意してくれていたのである。部屋に向かう。場所はリサの部屋の向かい側だ。入るとベッドと机が置いてある。そこにカバンと教科書を入れて、ひとつの小さな机の上にパンダのぬいぐるみを置いた。
「これからそれぞれ1人部屋だから。これならお互いの友達を連れてきても問題ないわよね。」
「うん!ありがとうママ!」
と、リサが言う。
「ありがとう、母。」




