表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/42

32話 身を潜めしモノ、総攻撃を食らう

協会本部は東北の2つのダンジョン破壊の死者数をまとめた。


死者221名。重軽傷者46名。行方不明2名。


またしても会議が開かれる。


「此度の会議の議題に関しては言うまでもなかろう。」


「双黒のファルネラ…まさかずっと隠れていたとはね…。最初こそ、半鬼神の仕業かと思っていたが。」


「サッサと対策を練ってしまうわよ。当時ファルネラと戦闘経験のある人だけがここに居る。それらを再度分析していくことになるわ。」


「フォッフォッフォ。ワシはもう戦力外じゃのう。もう80じゃて。」


「何言ってるんですか師匠。師匠は未だにSランク探索者並みの動きができるじゃないですか。」


「御老公、当時ファルネラと正面衝突したあなたにお聞きしたい。ファルネラのおもな攻撃手段とその回避方法についてですね。」


「そんな事は簡単じゃ。レーザーと弾の攻撃じゃて。後は黒翼を使った不可視の刃の攻撃じゃな。」


「3つだけですか?」


「そうじゃよ。主にレーザーで多数の死者が出たわけじゃが。」


「レーザーさえ気をつければいいというわけでもないですか。」


「それは当然じゃ。不可視の刃はまだしも、弾の攻撃はかなりの威力じゃ。それに数も多い。」


「なるほど…。飛鳥さんならどんな対策をしますか?」


「私なら障壁を張るのは最低条件に、なるべくレーザーを反らすよう工夫するわね。」


「やつに攻撃するのはなかなかの難しさじゃぞ?飛んでおるから魔法を当てねばならん。奴が地上に降りることはあまり無いと見るが、近距離職は苦戦を免れぬじゃろう。」


「なるほど…参考になります。」


「なにか装備で対策があるとすれば大盾じゃな。それもヒヒイロカネで出来た大盾ならばレーザーも防げるじゃろう。オリハルコンじゃ防げなんだ。」



「ヒヒイロカネって全然使えねぇ素材じゃなかったんすか?」


「お主やっと話したかと思えばそれか。確かにヒヒイロカネは武器には使えん代物じゃが、盾に使うなら輝くぞ?」


「ほぇぇ、ソウナンスネ。」


「棒読みやめぃ。」


その後も会議は続く。


序列6位の飛鳥、序列8位の大道寺靖隆(御老公)、序列9位の羽々音雫、序列13位の皇海斗、そして、序列3位の大川哲郎だ。


「っすね。」て言ってるのが大川哲郎。


「双黒のファルネラ…。ずっと隠れていたとはね。」って言ってるのが皇海斗。


羽々音雫は御老公の弟子。




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


肉体の回復が終わった…。


そろそろ、動かなくては…。


私の命を狙う奴らは全て消し炭にしてやる…。


黒い翼を広げた堕天使はゆっくりと体を動かし、潜んでいたダンジョンから外へ出る。


そこには人がほとんど居ない。しかし、近くには住宅街が拡がっている。



人の匂いが集まっている…。


私の命を狙った奴らと同じ匂いだ…。


殲滅だ…。





堕天使はレーザーを放つため、魔法陣を組み上げる。


「堕ちよ、人間め。」


その瞬間、極太の白いレーザーが住宅街に向けて放たれた。





■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■





『緊急警報!緊急警報!東北山形にて甚大な被害発生!魔物が出現した可能性あり!』


それは会議中の出来事だった。


「なんですって!?」


「お主ら!ゆくぞ!東北じゃ!哲郎!ワシらをとばせ!」


「わかってるっすよ。ほんじゃ行くっすよ。」



哲郎は地面に魔法陣を発動させると、飛鳥、羽々音、大川、皇、大道寺の5人を東北へと転送させる。



転送直後、山形の街並みが炎に包まれており人々の悲鳴が聞こえる。上空に一体の黒翼の魔物がいるのを確認した御老公。腰に据えていた刀を抜刀し、斬り掛かる。


「御老公が攻めたわね。私が援護するわ。羽々音ちゃんは現地の探索者をまとめあげてくれるかしら。」


「分かりました!」


羽々音雫は被害地で応戦している探索者の元へ走っていく。


「海斗!射程届くっすか!?」


「問題ない!たかだか200m!射抜いてやるよ!」


「ほんじゃ、俺も突撃してくるっすよ。」


そうして、SSランク探索者5人がファルネラ討伐に参戦する事になる。



そして、その様子は遠くからではあるがヘリが映していた。



「なんということでしょう!あの双黒の天使ファルネラが長い時を経て、また現れたとのことです!住宅街が被害に遭っており相当な怪我人が出ているとの情報があります!現地の探索者が応戦していますが行けるのでしょうか!」


「おっと!ここで新たな情報が入りました!SSランク探索者が5名、山形の戦場に参戦したようです!序列3位!6位!8位!9位!13位が参戦しておりますが勝てるのでしょうか!」





その様子をルキナやリサは家のテレビで見ていた。テンヤや俊介もリサの家におり4人で固唾を飲んで見守っている。



「え、ヤバくないあれ。」


「あれがファルネラ…なのか。」


「お願い!勝って!飛鳥様!」


「あの序列3位の大川がいるから絶対勝てるはずだぜ!前回の戦いを経験した大道寺のおっちゃんもいるんだろ!」


ルキナは色々考えている。

(テレビ越しではあるが迫力のある映像が届いている。レーザーを放ったり丸い弾を飛ばすファルネラに対して刀で弾を切り落とし、果敢に攻める老人。外側から曲射で狙っている狩人。恐らくあれが皇海斗という男なのだろう。その横で以前会った飛鳥という人が魔法で応戦している。


老人が斬り、若い男がファルネラを殴る。


街が業火に焼かれており、下はパニックになっている様子が伺える。


1人の探索者と思しき人が人々をまとめている様子も見て取れた。3人の話を聞いてみると、あれが序列9位の羽々音雫という人らしい。なんでも大道寺靖隆という老人の弟子らしい。


確かに5人いる。そのうち4人が戦闘に参加しているが長引いているようだ。決定打に欠けているのがわかる。


「アレまずいんじゃないのか?」


「どうして?」


「あの老人の動きが少しずつ遅くなってる。ファルネラが老人を執拗に狙っているな。因縁でもあるのかもしれないが。」



「確かに大道寺さんは前回のファルネラ討伐作戦の指揮者だったし。その時にファルネラとも交戦してて、ファルネラにとっても印象に残ってたんじゃないかな。」



「セレス!行っちゃダメだからね!」


「そうだぞセレス。強いからって参加したらダメだぞ。俺たちまだEランクだし。邪魔になるって。」


「僕からも言っておくよ。セレス、ダメだからね。」


なんか3人に止められた。まだ行こうとも考えていなかったのに。先に止められた。


「いや行かないぞ。あの人らが倒してくれるだろ。」


ルキナは立ち上がりベランダに出る。


「何するのセレス。」


「えいっ。」


気の抜けた声と共に黒い刃を飛ばす。


「なんだそれ!」


「多分こっからでも届くだろって思っただけだ。ファルネラに対してダメージ与えれたらいいと思っている。」



「それ攻撃がもし届いたらやばいよね。」



「超遠距離攻撃手段の確立成功ってことかもな。」


「とりあえずテレビに戻ろうぜ。」


4人はテレビのところに戻る。






□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




その時は突然起こった。飛鳥と皇の後方から強大な気配を感じたのだ。



「避けろ飛鳥!?」


飛鳥は突然、皇にどつかれ、3mほど吹き飛ばされる。


しかし、飛鳥は見てしまった。


皇の体を分かつかのように黒い刃が通り過ぎた。


そのまま黒い刃はファルネラへと命中する。


突如飛んできた攻撃に気づかなかったファルネラは大ダメージをくらい、飛鳥達のいるところに極太のレーザーを放つ。


飛鳥はなんとかレーザーを障壁によりそらした。


しかし、反らしたはずのレーザーが上空へ進み、そのまま地面へと落ちてきた。皇のところだ。


まずいと感じた哲郎はレーザーを殴って消した。


「皇!大丈夫か!」


しかし、皇に怪我らしい怪我はなかった。


「分からない…。俺の体を確かに黒い刃が通り過ぎたんだ。だけど俺の体が斬られなかった。通り抜けたかのような感じだった。」


「もしかしたら誰かが援護してくれたんじゃないっすかね。」



「そう思っておくとしよう。幸い、あの黒い刃のおかげでファルネラの動きがだいぶ鈍った。今ならトドメを刺せるぞ。」


4人はファルネラに対して総攻撃を仕掛ける。



そして。




「双黒の天使ファルネラ…討伐成功だ。」


そして日本中が歓喜したのだ。新聞の速報に乗り、テレビも大々的に放送した。


SSランク5名による討伐作戦は2人軽傷だけで完了したのだ。









評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] ドンマイ、ファルネラ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ