30話 方向音痴、迷路で迷う。
久しぶりの投稿
ルキナ達は迷路として有名なEランクダンジョン、神森ダンジョンだ。
「なぁセレス!迷路初めてだって聞いたから注意するけど迷うなよ!迷路で先行して1人で迷うのは危ないしな!」
「それは注意する。みんなと行動する。」
「セレス、多分今回の攻略は少し長くなるからお弁当持ってきたよ!みんなの分もあるから!」
「それじゃあ俊介!受付済ませたか?」
「済ませたよ。今から行こう。地下一階は直通らしいから迷路は2回かららしいよ。」
「よし、直通の先に階段でもあるのか?」
「受付の人が言うにはそうらしいよ。」
4人は神森ダンジョンに入っていく。入ると遺跡のようなダンジョンだ。受付の言っていたとおり、直通だった。少し古めの遺跡らしくところどころ壁にヒビが入っているが壊れそうな様子はない。
歩き進めていると目の前に階段が見えた。
「よし、ここから迷路だぞ。ちゃんと方向感覚を失うなよ!」
「「「おー。」」」
4人は階段を降りる。
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それから数分後、4人で行動していたはずのルキナは何故か1人で迷子になっていた。
「あれ、ここどこだ?さっきも見たような…。」
声を上げるが3人の返答はない。
「さっきまで、4人で行動してたはずなんだが…。もしかして歩くペースが早かったか?」
下手に動くと余計に合流できないと考えたルキナはその場で待つ事にした。幸い、この神森ダンジョンは魔物が居ないので気楽に待つことが出来る。
音を立てれば、気づいてくれるのでは?声では無理でも振動音が分かれば、近づけば近づくほど音が大きく感じるだろう。
「そうと決まれば…。」
いや待て…。確か静観ダンジョン内で2度壁を殴った時、地上にまで振動が波及したはず…。それなら余計に危ないかもしれない…。
「大人しく待つか…。」
一方その頃、残り3人は…。
「セレス、やっぱり迷子になったね。」
「1人だけペース早いんだよもー。」
「あとで注意しないとダメだなー。」
「でもここが魔物が居ないダンジョンで良かったね!」
「それはそうだけどある意味孤独だぞ。セレスがぼっちでダンジョン内過ごせるかどうか分からないけれどはやめに探した方がいいな。」
「迷子って気づいたら元の道を引き返すとかはしないよね…。元の道すら忘れてそう…。」
「とりあえずまっすぐ進んでみよう。」と俊介が主導する。
3人が迷路を突き進む。通った道に赤い玉を置く。これで迷いにくくなるだろう、と。
「おかしいな…。いつまで経っても3人が来ないぞ…。結構時間が経ってる気がするんだが…。」
「壁を破壊したりできないだろうか。」
1人でブツブツ考える。
先程までは外への影響などを気にしていたが軽くなら問題ないのでは?と考え始めた。
「試しに1発…。」
どぉごぉぉぉぉん…。
「壁に穴は開けれるな。あとは壁が元に戻るかどうかだが…。」
少し待ってみる。すると先程壊した壁がみるみる修復されていく。
5秒ほど修復が続いたのち壁は壊す前の状態に戻った。
「そうだ…。声を出したら聞こえたりするか?」
試しにルキナは声を出す。
「みんな!どっち側にいるんだ!聞こえたら返事をして欲しい!」
大きく反響し伝わっていく。
聞こえているだろうか。1つのダンジョン内なのだから聞こえていて欲しい。どこかに異空間らしきところはなかった。
すると、先程壊した壁側から小さく声が聞こえてきた。
『セレス〜!こっちは3人でいるぞ〜!』
かなり遠いようだ。
「方向が分かればどうということは無い。あとは壊していくか。」
己の拳に【加速】を付与して壁を殴る。その際、修復される前に移動する。
それを繰り返していく。
3人は何かが何かを壊しながら迫ってきていることを感じていた。だが3人は特に武器などは構えたりはしなかった。
「この感じ、セレスが絶対壁を壊しながら合流しようとしてるね。」
「後で怒らなきゃ…。」
「でもセレスなら壊せるんだな。この壁。さっき試しに殴ったけどビクともしなかったな。やっぱすげぇや。」
「そんな冗談は置いといて、目の前の壁が壊されたら衝撃が来るだろうから気をつけて。怒るのは後でね。」
それから3人の目の前の壁が壊される。衝撃が3人に迫るが、テンヤが衝撃を防いだ。
セレスが壊れた壁の穴から出てくる。
少しした後壁が修復されていき穴は完全に塞がり、ヒビは消えた。
「えっと…済まない。」
1人で先走ってたこと。迷ったこと。の注意を受けた。
今は4人で行動している。前衛に行くはずの自分が真ん中で前に俊介が、後方右にテンヤが、そして後方左にリサが。
もちろん目的はわかる。自分が先々行かない為なのは。
その後は問題なく迷路の出口に着いた。宝箱を開けると帰還の魔石を手に入れたので4人で入り口まで戻る。
それから4人は解散した。




