27話 1人でダンジョンを周回する 前編
試験結果発表がやってきた。受験生達は受験した高校へと向かう。高校に着くと掲示板が貼られており、自分の受験番号を確認しようとこぞって掲示板のところに群がる。ルキナは遠くからでも数字が見えた。自分の番号が見えたので内心喜ぶ。
他の3人は自分の受験番号が無いか探している。すると、3人とも自分の受験番号を見つけたのか喜びを隠しきれない感じでこちらへやって来た。
「良かった。問題なさそう。」と俊介が。
「やった!受かったよ!」とリサが。
「問題なしだぜ!」と天弥が。
「3人ともおめでとう。」
「セレスも首席おめでとう。」
首席…?俺が…?そんな事有り得るのか?
「疑問に思ってる顔だね。でも満点だし当然だよね。」
「済まない、簡単でつい…。」
「簡単だったの!?」
「スイスイ解けたな。」
「さすが!」
4人で談笑し、のんびりと話しながら家に帰った。3人は卒業式があるらしくそれの出席があるのだとか。自分はそんな所には通っていないので関係は無いが。見に来て欲しいとの事だ。セレスはたまに1人で外出している。大体がダンジョンに来て魔物狩りによるレベルアップを狙っている。ダンジョン破壊が大きくレベルを上げる良い機会なので2回ほど既に行った。あと何回かはしたいところだ。だけれどもそろそろ探索者たちによる捜査も始まっているという事で、それは控えようと思う。今回はDランクダンジョンに一人で行こうとしている。そして協会を訪れた。受付嬢はいつも4人でいる子供達のうちの1人が協会に来ていたので手招きした。
「あら、今日は1人?」
「そうだな。レベル上げに来たな。Dランクダンジョンに行こうと思う。手頃な場所はあるか?」
「そうね、本来は新人にいきなりソロで格上のダンジョンに挑戦させる訳には行かないのだけれど。そういえば今日は装備がいつもと違うわね。自前の防具?」
「自前のは持っている。見せたからわかっているとは思うが鬼族用だ。」
「専用防具ってやつね。回復は大丈夫?」
「闇魔法にも回復はある。使えるから問題ない。」
「水と雷と闇だったわね。回復があるのは。」
「それでオススメの場所はあるか?」
「あるわ。でも今はあまりオススメ出来ないわね。昨日軽いスタンピードがあったばかりだから。」
「スタンピードってなんだ?」
「スタンピードっていうのはね、下の階層から魔物達が押し寄せる現象よ。もちろんダンジョンの外に溢れ出させるなんて以ての外だから探索者を集めて掃討するのよ。たまに特殊個体もいるけど。だからスタンピードが起こったあとの数日間はランク適正と同じじゃないと入れられないのよ。」
「それじゃあスタンピードが起こっていないDランクダンジョンはあるか?」
「あるわよ。少し遠いけれど静岡ダンジョンね。Dランクダンジョンで出てくる魔物はコボルトとかが多いわ。たまにゴブリンも出てくるから。ダンジョンボスはゴブリンナイトよ。」
「分かった。気をつける。」
ルキナは今、黒い防具をつけている。
今装備しているのは、【終焉の外套】【終焉の篭手】【終焉の下着】【終焉の帽子】【終焉の上着】【終焉のズボン】【終焉の靴】だ。そして一応、腕に付ける【終焉の小盾】だけだ。これだけあれば大抵の攻撃は効かないし、相手を確実に屠れる。
【殺戮の魔眼】に関しては目の中に入れ込んでいるため何時でも発動できる。
セレスは教えられたルート通り、駅に向かう。探索者が乗る電車に乗る。
途中、ナンパが近づいてくるも【殺戮の嵐】を発動させナンパを軽くあしらう。
そして静岡駅に到着した。人もまぁまぁおり、同じEランク探索者やDランク探索者が多数いる。さすがに日本人ばっかりの中に銀髪赤目の暗黒の装備をつけた女が電車から降りてきたら少しは目立つ。【深淵の鐘】と【影の帝王】の併用により目的の静岡ダンジョンまでつけられることも無く到着する。
「おや、おひとりで潜られますか?」
そう聞いてきたのは協会の職員だ。
「そのつもりだ。探索者証はこれだ。」
そういってルキナは職員に見せる。
「なるほど、確認しました。では安全に気をつけてくださいね。」
ルキナは潜る。
と言っても、コボルトが近づいてきても強制的にデバフをかけられる上に防御無視だ。そしてこちらからの攻撃は必中となる。負ける要素がない。
コボルトが逃げ腰になった所を後ろから殴る。コボルトは体全体が爆散し肉が散り散りになる。ランク差が違いすぎるためである。
コボルトを見つけては殴って爆散させる。そしてゴブリンなどを見つけては【深淵の鐘】で近づいて暗殺をする。もちろん【深淵操作】を駆使して多数の敵を一網打尽にすることもある。リサ達の前ではどうしても手加減をしているのでこうやって発散させるしかない。そもそも己自身が魔物であるため、闘争に関しては本能である。
すると、同じダンジョン内で魔物狩りをしている探索者を見つけた。
「おい、そこの君。1人で行動してるのか?」
「そうだが、何か用か?」
「うわ、外国人じゃん…。」
「僕たちと行動しないか?僕らは中衛と後衛ばかりでね。近接が不足していたんだ。」
しかし、ルキナは断った。
「お前たちでは俺の役に立てない。実力が違う。」
反論してきたようだ。
「いやいや、僕らどうせ同ランクくらいだろう?実力も何も関係ないのではないか?」
「じゃあ聞くがコボルトやゴブリンは圧殺できるか?」
そういって近づいてきたゴブリンを殴って爆散させる。
「ま、魔法なら出来るとも…。」
「済まないが俺は魔法も使えるんだ。黒雷。」
すると、ルキナの手から黒い雷がゴブリンに向かって飛んでいき、直撃すると同時に黒焦げになり灰となった。
それを見た探索者は、
「すっげぇ…。詠唱なしかよ…。」
「将来的にAランクやSランク探索者になれる逸材じゃねぇか。」
「だったら尚更仲間に欲しいんだが…。」
「済まないが既に仲間がいてな。断らせてもらう。」
すると、観念したのか…。
「そうか…。分かった。強い仲間が手に入ると思ったんだけど…。」
「俺はもう行く。」
ルキナはそのまま、ダンジョンの下に進んでいった。
敵は雑魚ばっかりで倒しても大した経験値にもならない。オマケに群れて行動してくる。こっちが圧を掛ければ動かなくなりただのサンドバッグになる。
どうやら魔物を倒すと魔石がドロップするらしく、少しずつ集めている。だがここで新たに分かったことがある。これは非常に画期的な事だった。
魔物を倒す。経験値が入る。暴食を使う。経験値が入る。魔石を食べる。経験値が入る。
これら全てが等倍の経験値だ。ここから察するに自分は一体倒すだけで3倍の経験値を獲得できるのだ。それに気づいてからはもう爆走だった。魔物を粗探しし手当り次第に狩りまくる。暴食と強欲を駆使しながら技能や経験値を集める。目新しい技能は手に入らなかったが経験値は微量ずつながらも集まっていった。
「これ以上ここで経験値を稼ぐのは難しそうだな。このままではレベルを1上げるのに1日以上かかってしまう。だからといって【絶滅吐息】を使うわけにもいかない。どうする?ボスを何度も倒すか?ここのボスなら雑魚よりも多少経験値は獲得できるはず。」
それに、同じボスを何度も倒し続ければ何かしら利があるかもしれない。同族ではあるが関係ない。配下でないのなら敵も同然。
「さて、ここのボスの味見とでもいくか。」




