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25話 高校受験を受けてみた

今回の調査によりボス部屋の床と思しき残骸だけが取り残され他は全て消失していた。床には一切の魔力も残されておらず、見えているのは溶け残った床だけである。


その床の調査を行ったところ、最低でも2体、何かがいた事が判明した。一体は抉れた床の範囲を見るに、サイクロプスであろうと。もう一体は小柄で恐らく人間サイズであろうという事だ。この事から同一犯の可能性を加味して捜査をしている。


その操作の中で候補として挙げられている魔物が数体。


1体目は、20年以上前に地上に出てきて行方不明になった天使ファルネラ。ファルネラの放つレーザービームは強力で1700名以上の探索者が犠牲になった。


2体目は、龍人のシェリングヴルムだ。Sランクダンジョン内で探索者と戦闘した後、傷を負いながらもダンジョンの外に出た事が確認された。人語を介し凄まじい攻撃を放ち、龍特有のブレスも扱う。その後は行方不明となっている。


そして、3体目の候補でありながら現状1番怪しいと言われているのがEランクダンジョンから出てきたとされるSランクの半鬼神という種族でルキナと名が付いている。ダンジョン内にて探索者候補生と遭遇するも戦闘に至ることなく去っていき、下の階層に潜ったとされる。その後、1階層にて目撃情報があり、ダンジョンを出たとされる。現状消息を絶っている。


「最近物騒なニュースが多いねぇ〜。」


「確かにそうねぇ〜。最近リサ達が探索者になったばかりだからお母さん心配だわ…。」


「高ランクダンジョンに行かないから問題ないんじゃないか?2人ともまだEランクだろう?」


「そんな時があっても俺がリサを守るから。」


「かっこいいセリフだけど無茶はダメよ?あなたも娘みたいなものだから。」


「分かった。」


「2人とも、受験行ってらっしゃい。」


「「行ってきます。」」


そう、この日は高校受験の日である。2人とも普通科の高校を受験するのだ。実は受験する高校、俊介、そして天弥の2人も受験するのだ。さらに特筆すべきは中学に通っていなかった者にも受験資格がある事だ。それによりルキナも受験を受けることができた。


リサと一緒に電車に乗る。ルキナは制服が無いので冬用の私服で受験する事にした。リサは通っている中学の制服だ。天弥と俊介も中学の制服だ。


受験する高校に到着する。私立神柱高校だ。探索者としての活動に関しても寛容でありながら卒業後に就職する人と大学に通う人が半々な高校。人数もそれなりにおり、毎年、試験用の教室は全ての席が埋まる。


ルキナ達が試験会場に入る。すると、周りの学生や先生方がルキナの方を見る。傍から見れば美人な外国人だからだ。試験監督には既に種族の関係上、帽子は外せない事は伝えてある。明確な種族は伝えてないが。


「ねぇ、セレスはどこの教室?」


「1のBだな。リサはどこなんだ?」


「私はねぇ〜、1のCだよ〜。」


二人で話していると、天弥と俊介が合流してきた。


「俺は1のBだぞ!セレスと同じだな!」と天弥が。


「僕は1のAだね。みんな、合格できるよう頑張ろう。」と俊介が。


そこからそれぞれ教室に行き、試験説明を受け、数学が始まった。問題なく解くことが出来る。教科書だけではなく問題集にある問題の解き方や別解なども頭に入れているのでスイスイとシャーペンを進めることが出来た。


2科目は国語だ。文章の読み取りや漢字の読み書きなどが重点的に出題されており、解いてる者の中には頭を悩ませるものもあった。


3科目は理科だ。ほとんどが記憶ゲームと化しているが少し計算要素もあった。4科目の社会も同じだ。教科書以外の歴史書や問題集を読み漁っていたのでなんの問題も無く解くことが出来た。


4科目が終わり、昼食の時間がやってきた。、教室間の移動はダメらしく教室の中で摂ることになった。


天弥が横の机にやって来て弁当袋を置いた。一方、ルキナは空間から弁当を取り出して机に置いた。


「それ真城の家の弁当か?」


「そうだな…。料理に関してはほとんど分からんからな。天弥の弁当は親が用意したのか?」


「そうだなぁ、朝起きたら用意してあったぜ。」


「もしや少し寝坊したのか?」


「まぁな…。それよりも暑くないのか?この部屋暖房がついてるけど。」


「全く問題ないぞ。試験監督には伝えてあるから外さなくてもいいんだ。」


「そりゃ良かったな。」


その後も昼休みの間は天弥と話していた。どんなダンジョンに入ってみたいか、どんなスタイルを確立していきたいか、などだ。


そして5科目は英語だ。ルキナは言語翻訳を切ってリスニングに挑む事にした。最初の問題こそ苦戦はしたものの、徐々に耳が慣れていき、自然と日本語訳できるようになった。長文の英語も熟語や前置詞の使い分けを覚えていたおかげで止まることなく読み進めることが出来た。


そして…。


キーーン、コーーン、カーーン、コーーン。


キーーン、コーーン、カーーン、コーーン。



「手を止めてください。それではテスト用紙を回収していきますので暫くお待ちください。」


試験監督は1人ずつテスト用紙を回収していく。


そしてテストが終わり、4人で集まる事にした。帰る時も、周りからは、「キツかったァァ…。」や「これもう受かったでしょ!」などが聞こえた。


それだけではなく、「あの銀髪の私服の子、絶対外国人じゃん。超可愛かったなぁ…。」や、「分かるわぁ…。あんな美女と話せるとか最高かよ。」なども聞こえた。


ルキナが単純に耳が良いだけで色んな事が聞こえてくるのだ。


「俊介〜。テストはどうだった?」と天弥が。


「問題ないよ。八割は取れたんじゃないかな。そもそも3人に合わせて少し偏差値落としてるから。」


「セレス!ちゃんと国語読めた?」


「別に言語も数字も問題ないぞ。リサこそ試験前日まで頭をうならせていたが大丈夫だったのか?」


「自己採点7割5分かなぁ…。」


「そんだけ取れりゃ問題ないっしょ!そうだ!この後、依頼受けに行こうぜ!どうせ試験結果が分かるのは2日後なんだしよ。」


「そうだね。今度は討伐依頼受けてみる?」と俊介が。


「リサのレイピアの活躍に期待だな。」とセレスが。


「そんなに期待されたらミスしちゃうかもじゃん。でも任せて。」


4人は近くの探索者協会を訪れる。4人中3人が制服のまま来ていたが、周りは特にその姿を気にも止めない。服装は個人の自由だからだ。


「本日はどのような依頼を受けられますか?」


「Eランクで今受けれる討伐依頼はありますか?」


「今はウルフやラルクラブなどの討伐依頼がありますね。」


「ウルフの討伐依頼を受けます。みんな、いいよね。」と俊介が。


3人とも頷いたため、受注した。


「注意点ですがウルフは匂いに敏感なので匂い消しを買っていかれることをオススメしますよ。ウルフは基本的に集団で行動しますから。最低でも3匹はいると思ってください。それと10匹近くの集団になると統率してるウルフがいるはずです。吠えることによる統率がよく見られるのでそれで判断してください。ウルフは捨て身もしてきますので。」


「了解しました。ありがとうございます。」


4人は探索者証を見せ、依頼を受注。売店へと向かった。



「あの4人は礼儀正しいですね。我々の説明もしっかり聞いてくれますし、1人の女の子がメモも取ってましたね。制服で来ていたあたり、高校受験した帰りでしょうか。」


「恐らくそうでしょうね。ちらりと職業を見たけれど、近中遠しっかりバランスの取れたパーティじゃないの。回復も居てシールダーもいる。前衛を張れる子もいて、魔法を使う子もいる。強いて言うなら罠を感知出来る子が居れば完璧じゃないの?」


「確かに、Eランクダンジョンには罠はありませんからね…。それ以上となると罠はちょくちょく見られますし…。そこら辺の説明も今後していった方が良さそうですね。」


「それにしてもあの帽子をかぶった銀髪の子、めちゃくちゃ可愛いわねぇ。ファッションも文句なしだし。だけど、ナンパが心配ね。あの子だけ他の子よりそこら辺の知識が薄そうだから。」


「でもあの子、名前はセレスティア・レブナントって名前でしたけど、魔体術士でしたよ?恐らくオールラウンダーっぽいですね。」


「それならあの子が前衛を張りそうね。」


「あと、目測ですけど、銀髪の子以外はレベルも1桁でしょうね。銀髪の子は2桁レベルはあるかもしれません。」


「まぁ、高校受験に私服で行くあたり、そういう生活を強いられていた可能性もあるから、多少レベルが高くてもしょうがないわね。」


「とりあえず見守っていきましょうか。新人ですし。」


2人の受付嬢は静かに彼らを見ているのだった。






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