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18話 実戦経験を積んでみた

「それじゃあまずはテンヤ君。君から行こう。」


「よっしゃ!すぐに倒してやる!」


意気込みがすごいテンヤ君はゴブリンと戦う。武器は片手剣と盾だ。無難だろう。


「さぁ、模擬とはいえ食らうと痛いからね。食らわないようにしてね。危ないと判断したらこちらで止めさせてもらうよ。」


「任せとけ!!」


虎助おじさんは設定する。すると、訓練所内に現れたのは本物と見紛うほど精巧なゴブリンだ。棍棒を持っている。


ゴブリンはテンヤに突撃し、棍棒を振り下ろす。


テンヤはそれを盾で受ける。


「ウッ!」


盾で防いだとはいえ衝撃が来たのか少し怯む。が盾をゴブリン側に押し返し、ゴブリンは体勢を崩す。そしてテンヤはそこにななめから斬る。それだけでは止まず、先程斬ったところを逆方向からもう一度斬る。


ゴブリンは倒れ消え去った。


どういう原理で魔物を出現させているのかはよく分からない。これが人間の技術なのだろうか。


「よっしゃ!楽勝だったぜ!」


「おめでとう。でも1つ言う事があるとするなら最後別に斬った箇所が同じじゃなくても別でもいいんだよ。変な癖や型が付くといざ敵に囲まれた時とかに危ないからね。」


「了解だぜ!」


リサが選んだ武器はレイピアだ。


ルキナはそんな細い武器でどう戦うのかと疑問に思っていたが、すばやい突きがいい味を出すレイピアを相手にするのはスライムだ。


リサはスライムが現れた瞬間、スライムの核を一瞬で突き、スライムを倒した。でかい攻撃が来た時は躱すなどが多い武器らしい。たしかにあんな細い武器で大きな攻撃を防げるとは、とてもじゃないが思えない。


「次はセレスティアちゃんの番だよ。普段はその篭手を使っているのかな?」


「篭手を使わなくても別に戦える。が、講習した後なのだから篭手は使う。でも、そうだな。篭手は置いてるのか?」


「置いてるよ、嵌めてみて使えるか試してみて。」


ルキナは新人が使うような皮の篭手を装着し、魔物は居ないがシャドーボクシングの要領で殴る。後ろ回し蹴りなどもする。


その様子を見ていた虎助おじさんは思った。

(この子、予想以上に動けてるね。戦闘経験があるのか、恐らくこの感じだとなにか技能スキルも体得しているはず。予想だと速度強化と肉体強化系なんだろうけど、まぁそれはこいつと戦ってからだよね。)


「もう問題ない。いつでもいいぞ。」


「それじゃあ行くよ。他のみんなは絶対に訓練所内に入ってこないでね。」


そういって出現したのは、奇怪な魔物だ。


「こいつはなんて魔物だ?」


「この魔物はピグキマイラだね。Sランクの魔物で物理攻撃を無効化するんだ。だから魔力を使った攻撃をおすすめするよ。」


「そうか。ならこれでいいか。雷槍、【加速アクセラレート】。」


ルキナの右上あたりに雷の槍が生成されたと思ったその次にはピグキマイラの胴体を貫いていた。その上で更にルキナによる殴打もまた胴体を貫いていた。


出現して4秒で決着が着いた。


「凄い!凄いよ!技能も3つくらい使ったのかな!?」


少し興奮気味の虎助おじさんを前に、ルキナは淡々と答える。


「技能自体は【加速アクセラレート】しか使っていない。あとは体内に魔力を行き渡らせて攻撃しているだけだ。」


「だけって…。でも既にSランククラスの実力がある新人探索者とかすぐ有名になるんじゃないかな?」


「そうか?まぁ篭手を使ってないのは癪だな。もう一体いいか?」


「問題ないよ。今度はランク自体は下がるけどAランクの魔物だよ。」


そう言って虎助おじさんはせかせかと準備し始める。ルキナは少しの間身体を曲げ伸ばししていると。


「準備できたよ。やってみるかい?」


「あぁ。」


ルキナは構えを取る。散歩をするかのように立ち、敵を待つ。


敵が出現した。その魔物はワイバーンらしい。


「こいつは?」


「先程も言ったけれど、Aランクの魔物で飛行能力を有するワイバーンというドラゴン種の魔物だよ。空中からの火球攻撃と鋭い足の爪による斬撃を得意としているんだ。」


「なるほど、心得た。」


ルキナは構え、腕を振り抜きすぐさま元の位置に戻す。(その間、約0.01秒)


腹に大穴が空いたワイバーンはすぐさま消えた。


「見えなかった…。」


「早過ぎない?あの子。」


「す、すげぇ!」


「残像しか見えないなんて…すごい腕をしているね。」


これでも手加減しているとは言えない。迂闊に言ってバレては元も子もない。バレるとしてももっと後だ。今は慎重に行動しよう。



その後、ルキナとテンヤ、リサと俊介の4人は講習で学んだ事を話し合った。ルキナ自身は偽りとはいえ出生を話した。(さっきの戦争経験がある事に繋げつつ。)


「3人は探索者になるのか?」


3人はそれぞれ答えた。

「俺はもちろん探索者になるぜ!」


「私もなろうかな。今は小遣い稼ぎでなる人も多いって聞くし。」


「僕はなるかは悩んでるかな。実家が農家だからさ、仕事を継ぐんだよね。でも一応探索者の事は知っておきたかったから講習を受けたし。」


「農家なら仕方ないよなぁ。なぁ、リサとセレスティア!チーム組まね?探索者になったらよ!」


「私は別にいいけどセレスティアちゃんはどうなの?強さ的には私達とは格段に違うし、おじさんも言ってたけどソロでもやっていける強さだよ?」


「別に、敵の強さにそこまで拘ってはいない。足りない時は2人が居ない時に潜れば良いだろうし。2人が安全に経験を積めるならそれでいい。探索者になるのはいつからなんだ?」


すると、そこにルキナを講習に誘ってくれた2人の女性探索者が来た。


「それはねぇ〜実は明日からでもなれるよ。もちろん簡単な個人情報は必要だけど、リサちゃんとテンヤ君は問題ないだろうけど、セレスティアちゃんは文字書ける?セレスティアちゃんの事を見てたんだけど、【言語理解】を使って2人の話を聞いてたでしょ?多分読みはできても書きが出来ないんじゃないかな。」


「たしかに出来ないな。代わりに誰か書いてくれたりするのか?」


「代筆はダメだね。自分で書かないと。文字の書き方とか教えてあげようか?」


「な、なら!俺が教えてやるよ!せっかく俺らでチームを組むんだしさ!それでいいよな!リサ!」


「全然問題ないよ。セレスティアちゃんも分からないことところがあったら聞いてね。」


「そういえばなんだけどね、セレスティアちゃん。」


「なんだ?」


「セレスティアって名前、普通略してセレスって呼ばれることが多いからセレスでも構わないかな?」


「略される事が多いのか?済まない、ずっとセレスティアと呼ばれていてな。略されるなんて知らなかった。」


「いいよいいよ。2人もこれからセレスって呼んであげなね?」


「分かったぜ!」


「分かりました!」


2人は良い返事だ。


2人の女性探索者と別れ、ルキナはリサの家に行くことにした。テンヤも提案していたが、異性という事もあってリサの家に行く事になった。その際、リサとテンヤは連絡先を交換した。


「んじゃまたな!」


テンヤは手を振り走って帰っていった。


「セレスちゃん、行こうか。」


「良いのか?親にはまだ言ってないのだろう?」


「それはこれからだけど、きっと迎えてくれるよ。優しいし。」


ルキナはリサの家に向かった。



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