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17話 探索者講習を受けてみた

ちなみに今のルキナの服装は探索者が武装しているような感じだ。別にこの格好で観光している探索者も多いので、これだけだったら変だとは思われない。


「こんな金属の塊が通るところを俺が通ってたら普通に怪しまれるな。ならこっちか?」


山を降りていく。麓まで40分ほど歩いたところで何やら小屋が見える。人も何人か居るようだ。


「ほんと、平和ですねぇ。前回暴走が起きたのって20年以上も前なんですよねぇ。」


「それだけ危険視して対策取ってるおかげですもんねぇ。それにここなんかは不人気すぎて登山する人とかが多いですもんねぇ。」


「おや?上から探索者が1人降りてきてません?」


「あれ?今日朝からずっとここで話してたけれど人なんて通ってませんでしたけどねぇ。」


「不人気だから1日以上こもってたとかじゃありません?」


「確かに1日で収穫できる分では割に合いませんからねぇ。」


ルキナが少しずつ降りてきた。そして麓の小屋近くまで降りてくると、2人が話しかけてきた。


「随分若そうだけれど探索者かな?」


「探索者になりたてではあるな。」


「ここ、不人気過ぎてほとんどアイテムドロップしなかったでしょ?」


「確かに何もドロップしなかったな。」

(ここは話を合わせておくか。)


「あなたお名前は?日本人のような顔立ちはして無さそうだけど日本語がかなりペラペラに感じたから。」


(きた!どんな名前にするか……。名前をそのまま使うのは危うい。ダンジョン内で鑑定を掛けられた際に名前を見られている。それがどこまで漏れているかは分からないからな。ならやはり……これにしよう。)


この間、3秒。


「セレスティア・レブナントだ。」


「あら!外国の子なのね!その装備を見た感じ近接型って感じかしらねぇ。」


「こんな可愛らしい子が殴ったり蹴ったりする武闘家スタイルだなんて…。」


「魔法も使える。雷魔法は得意。」


「魔法も使えるなんて優秀な探索者になるわねぇ!」


「探索者になった理由って何?最近の若い子のなった理由とか全然知らないから…。」


「生きるため。だけど知識が足りてないから色々困ってるんだ。」


「もしかして教育をあまり受けずに探索者になった感じかねぇ。」


「それなら私達が教えてあげようか?街にちょうど塾があってね。そこに探索者志望の子が何人か居るから一緒に受ける?」


「いいのか?他の子はみんな日本人なのだろう?」


「別に構わないわよ〜。私らみたいな歴だけ重ねた探索者が教えれることといったらそんな事くらいだからねぇ〜。」


「逆にこんな可愛い子が来たら塾の中、盛り上がるんじゃな〜い?」


「テンヤあたりがはしゃぎそうねぇ。」


「ついてきなさいな。」


「ありがとう。恩に着る。」


「知識も無いのにダンジョンの中に入って死なれちゃこちらとしても困るし、何よりこんな可愛い子が死ぬなんて勿体ない!」


ルキナは2人についていく。山を降りていくと、家がポツポツと見えてきた。これがいわゆる『家』なのだろう。


(人は建物の中に居を構えると聞き及んでいるからな。ここは慣れておかねば。)


それにしても、ジグーの知識は本当に役に立つ。その知識をいったいどこで手に入れたのやら。まぁ出処を探すのはめんどくさいし、今は置いておこう。


「はい!ここがさっき話で言ってた塾ね。」


「ちょうどあと15分ほどで今日の授業始まるから来てみてよ。」


「分かった。」


ルキナは扉を開けようと取っ手を握る。


「これ引き戸?」


「そうよ。」


ルキナは扉を引く。すると……。


「あっ…。」


扉を片手で引っこ抜いてしまったのだ。


「あら。力があるのね…。」


「扉を開ける感覚で引いたら思いのほか扉が軽くてつい…。」


「まぁ、しょうがないわ。後で虎助おじさんに直してもらいましょうか。」


「そうね。扉の事は気にせず中に入ってちょうだい。」


ルキナは誘導され中に入る。


先に進んでいくと、男の人が立っていた。


「おや、こちらのお嬢さんは初めましてですね。」


「そうなのよ。この子、知識があまり無いのにダンジョンに潜っていたそうで、知識付けさせないとって連れてきたわ。」


「お嬢さん、名前は?」


「セレスティア・レブナントだ。歳は15。」


「靴は脱いでそちらのスリッパに履き替えてくれるかな?あと帽子を取って出来れば、篭手も外してくれると助かる。帽子に関しては取りたくなければ別にいいよ。」


「スリッパ?これの事か?」


「そうだね。」


ルキナは靴を脱いでスリッパに履き替える。

靴を置く棚があるらしいが、ルキナはそれに従い、靴を棚に置いた。


(下手に手の内を晒してしまうより従った方が良さそうだ。)


篭手は外した。周りに気づかれないように篭手を空間の中にしまった。


帽子は取ると角があることがバレるのでさすがに取れなかった。ちなみにルキナ目線では角は帽子から突き出ているように見えるが周りからは帽子をかぶっただけの女の子に見えている。便利な帽子だ。


「それにしても綺麗な銀髪だね。さぞ親も美しいんだろう。染めてはないんだよね?」


「染める必要が無い。染めてなんの得があるかは分からないが、今の髪色が気に入っているからな。」


「そうかそうか。それじゃあこっちの部屋に案内するよ。」


ルキナは部屋に案内される。部屋に入ると、同年代と思しき人が何人か座って話していた。


「なんだそいつ!お前も講習受けるのか?」


「可愛い〜。外国人みたい。」


「なんか強そう。」


「はいはい、それじゃあ今日から一緒に講習受ける子だ。さっきもしてくれたけどもう一度ここで自己紹介してくれるかい?」


「分かった。俺はセレスティア・レブナントだ。歳は15。好きな事は暴れること。嫌いなのは今のところない。近中遠の攻撃手段がある。以上だ。」


「暴れる事が好きなのか、君は。」


「ダンジョンの中だから暴れているだけだ。」


「外国人じゃん。日本語上手いなぁ!」


「探索者と言っても申請はしていない。」

(少し嘘を入れとくか。)


「幼い頃から戦争が身近でな、戦うことを強いられてきた。戦うことしか知識がない。他が欠如しているから色々教えてくれると助かる。」

(実際、生まれた頃から戦ってばっかだしな。戦闘面の知識だけが付いてるのは確かだし、それ以外の知識が少ないのも確かだ。)


「そこら辺は講習で身につけていこう!」


「それじゃあ講習を始めるよ。今日は探索者のランクと魔物のランクについての勉強だ。ランクの判断を間違えるだけで命が飛ぶ可能性すらある。それを間違えたりしないための講習だよ。」


「それじゃあ、まずは探索者ランクからだね。」



Fランク→探索者以外の一般人

Eランク→候補生及び探索者なりたて

Dランク→探索者中堅

Cランク→まぁまぁ強い

Bランク→指導員に抜擢されるくらいには強い

Aランク→国が抱えている事が多いくらい強い

Sランク→世界でもヤベェやつら

SSランク→英雄、世界の存続に必須な存在


「Fランクは産まれた時から設定されてるランクの事だね。申請してない人はもれなく全員Fだよ。次にEランクなんだけれど、探索者養成学校に通う人と探索者になった人はEランクね。養成学校のいい所は先にダンジョンを体験出来るところにあるし、先生方の中にもAランク以上の人もいる。学べる先輩のいる環境で知識を身につけれるという点がある。また、それに入れなくても申請して通れば一般人ではないよという意味も込めてEランクなんだ。」


「Dランクからは少し違うってことですか?」


「そうだね。Dランクは探索者を始めてある程度依頼をこなせるようになったり魔物の討伐をこなせるようになってきた人に与えられるランクだね。」


深呼吸して、虎助おじさんは話を続ける。


「Cランクから少し違ってくるからよく聞いてね。分からないなら後で聞いてもいいけどメモする事をオススメするよ。」


「はーい。」とテンヤ君は返事する。


「Cランクからは暴走が起こった際の避難誘導、そして誘導完了次第、相手の強さにもよるけど鎮圧作業も命じられるよ。Cランクともなるとある程度の信頼を勝ち得ることになる。それだけ責任を負う事になるけどね。そして、Bランク。これは養成学校の指導員や、探索者協会の指導員に抜擢されるくらいの強さで基本的に新人の為や知識をつけさせるために講習を開く事が出来るんだ。Bランクともなると、暴走発生時に、誘導ではなく真っ先に鎮圧作業に向かってもらう。もちろんこの初動が1番危険を伴う。責任は重大ってやつさ。そして、これが一般の探索者がなれる限界ってやつだね。」


「一般じゃない探索者がそれ以上って事ですか?」


リサと呼ばれた女の子が質問する。


「そうだね。ここからは色々あるから。じゃあ行くよ。Aランク。国お抱えの探索者で政府の依頼を受ける事が多い。自由はBランク以下より縛られるけどそれ以上に高収入。そして暴走発生時は主力として対処する。また、このランクになって初めて宿泊や買い物で割引が付くんだ。これ目当てでAランクを目指す人も少なくないけどね。そして、Sランク。これはもうテレビのニュースとか特集で2つ名の名指しで出てくるから分かるよね。大規模な討伐作戦や超危険な魔物の対処にはだいたいこういう奴が当てられる。こいつらクラスになると、並大抵の援助じゃ満足しないという人もいるんだ。だから政府から見るとお金が掛かる掛かる。」


「そして最後に探索者の中でも英雄。または守護者と呼ばれるくらいの強さ、いわゆる序列制度が採用されているランクがSSだ。日本にも序列6位が学園長を勤めているけど、こいつらが戦いに投入されるという事それ即ち、大規模な戦闘が避けられない可能性が高いことを危惧しているとも言える。下手に近づけば巻き添えで死ぬから的確で安全なサポートが出来もしない限りは離れた方がいい。」


探索者のランクに関しては以上だ。と言った虎助おじさんは生徒達に質問は無いか問う。


「おじさんのランクは何ですか?」


「魔物にもランクがあるって聞いたぜ!」


「ダンジョンに入る際の条件ってあるのか?」


色々質問があるそうだ。虎助おじさんは答える。

「ひとつずつ答えるね。まず、リサちゃんの質問の私のランクね。私はBランクだね。まぁそれなりに戦えるというだけだよ。そして、テンヤ君の質問の前にセレスティアちゃんの質問に答えよう。まずダンジョンには必ず魔物がいる。基本的にランクの1つ上までは入る事が出来る。EランクならDランクのダンジョンまでは入ることができるんだ。私はBランクだからAランクのダンジョンに入れるけど最近腰をいわしてね、田舎でこういう講習開いてるんだけど。ダンジョン内で起きた事案は法律に問われないって勘違いする人が多いんだけど、性被害を受けたり、暴行の被害を受けた場合に報告すればそれが真実であるなら罪として加害者を捕らえれるんだ。そしてそういうのは通常の犯罪よりも罪が重くなる。これにさえ注意しておけばいいよ。あとは、魔物のランクだね。大まかなのを説明すると、こんな感じだよ。」


Fランク→雑魚、一般人の大人でも倒せる。

Eランク→少し雑魚で探索者なら倒せないとダメ。

Dランク→少し強い。連携を取って倒すことが多い。ソロで倒すならCランク探索者以上がオススメ。

Cランク→強い。暴走発生時、よくこのランク帯の魔物が現れる。Bランク探索者の協力は必須。なかには特殊個体も存在し、強さによってランクが変動することがある。


Bランク→死者が発生する可能性がある強さ。Bランク探索者でも単独でかち合えば逃げ一択。Aランクに任せよう。


Aランク→暴走発生時、規模が小さいなら指揮官クラスである事が多い。Bランクダンジョンのボスや、Aランクダンジョンのザコ敵として現れる。


A+ランク→Aランクダンジョンの中ボスや特殊個体に多く人間並みの知能を有する可能性がある。


Sランク→天災、厄災を引き起こす可能性がある。これが現れた、またはその予兆があった場合は入念に対策して調査し万全な準備を整えて討伐に挑む必要がある。


S+ランク→数がそもそも少ない。Sランクダンジョンのボスとして出ることが多い。SSランクダンジョン内でも滅多に見かけない。


SSランク→貴種。世界の安寧に危険をもたらす可能性がある。交渉ができるならしてもいいが犠牲覚悟で行うべし。現状5体確認されており、その五体ともがSSランクダンジョン内で発見されている。


SSSランク→存在するか不明。したとするなら倒せる可能性現状ほぼ無し。


Xランク→神話に載っていたヤベェやつ。そいつらが従えていたのがSSSランクという可能性あり。書物には乗っているが居たとしても知覚ができない。


「以上だね。この感じのとおり、S+まではまともに戦えるだろうね。それ以上はまぁ出会う事自体ほぼ無いだろうけど。一応今日の講習はこれで終わりだよ。静かに聞いてくれてありがとう。」


生徒達は拍手する。ルキナも周りのしていることに合わせて拍手の動作をする。


(虎助と呼ばれてるおじさん、目の前に居るぞ、SSランクなら。まぁ言わないけど。)



「参考になった?セレスティアちゃん。」


講習に案内してくれたお姉さんが話しかけて来た。どうやらこのお姉さんCランクらしい。もう1人もCランクらしい。


「ランク制度がある事は知っていたが詳しくは知らなかった。」


「じゃあ次はこの会場の地下に模擬戦闘訓練所があるから、みんな、ついてきて。」


そう言って生徒達は虎助おじさんについて行く。模擬とはいえ戦闘ということでテンヤはワクワクしていた。


「なぁ!おじさん!どんな魔物と戦えるんだ?」


「まぁ、まずはFランクのゴブリンとかスライムからだね。あとはEランクのコボルトとかパペット。一応ここにはBランクまで再現してるよ。後ろの2人のお姉さん方もやっていくかい?」


「いいのですか?私たちはただの付き添いなのですけれど。」


「闘えて損は無いからね。それじゃあテンヤ君、君はまずゴブリンからだね。人型だから少し気をつけるんだよ。武器はここに置いてある武器各種どれか選んでね。自分に合う武器を選ぶのもひとつだから。リサちゃんも使いたい武器を選んでおくといいよ。」


「君も選んでおきな。」


「それで、セレスティアちゃんは篭手を付けていただろう?それがあるって事は素手で戦う事が多いのかな?戦争が毎日の環境なら戦いに慣れざるを得ないからね。」


「素手だがここは壊れないのか?少し心配なのだが。」


ハハハと笑うおじさん。

「そんな事難しいと思うよ。Sランク探索者の一撃ですら破壊できない訓練所だからね。安心していいよ。」


「分かった。ならその画面の右端にいる?マークのやつをお願いする。」


すると、虎助おじさんの顔が急に強ばる。


「本当にいいのかい?こいつは強いよ?私ですら全盛期です勝つのがキツかった奴だからね。」


「Aランク探索者で勝てるなら行けると思う。自分で言うのもなんだが、実力だけならAランク探索者以上はあると思ってる。」


「自信があるのはいい事だが、危ないと思ったらすぐ中止するからね。」


「分かった。」










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