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11話 探索者、ルキナを見つける

1950年代から地球上の各地にダンジョンが出現し、ダンジョンから出てきた魔物により世界で総勢1.2億人の死者を出した。各地は自衛隊や軍隊などを出動させ鎮圧をはかった。しかし、火器が効かない相手が出てくると軍隊はボロボロにやられ、全国の資源が不足し始めた。その時からだ。探索者という能力に目覚める者たちが現れたのだ。探索者に目覚めた者は、ダンジョンから出てきていた魔物を次々と倒した。いち早く探索者の存在に気づき、育成を始めた各国は2020年代には先進国となっていた。魔物の強さ、ダンジョンの危険度、探索者の強さなどの格付けをする制度が始まり、それらに対する法律や憲法なども定まり始めた。

そして、日本、アメリカ、中国、ロシア、南アフリカ共和国、イギリスの6カ国にSSランクダンジョンが発見され攻略も始まった。だがあまりの危険度ゆえ、断念するところが続出する。だがSランク未満から取れる魔石は経済を活発にした。義務教育として種族の知識が追加されたり、探索者専門学校が開校されたりなど、探索者のサポートがどんどん進んできた。そんな専門学校の1つ、日本にある美濃探索者専門学校の一年生グループが学校が管理するEランクダンジョン4箇所をグループに分けて探索するという授業が始まっていた。


「えぇ、今から1チーム4人の8チームに分けてそれぞれ2チームずつ田坂ダンジョン、舞説ダンジョン、地皇ダンジョン、静観ダンジョンの4種を回るぞ。君たちが将来探索者として活躍するために予めダンジョンを経験しておく必要がある。ダンジョンを深く理解すれば自ずと対策も打てるだろう。これを我々講師が教える事はしない!君達が学んでそれを発表した後、足りない知識を教えることとしよう。ちなみに4種ともそれぞれ違う種類のダンジョンだ。だから発表の際、お互いのをしっかり聞くようにな。それでは今から1チームずつ入ってもらう。各自、己のメイン武器などを確認しあっておけ。」


そう言って1チームずつ入っていく。


「なぁ、あけぼの、お前のメインは槍だろ?」


「おぅ!槍だぜ。そういう土御門つちみかどは弓だな!」


美空みそらです。よろしくお願いします。魔法士志望です。属性は風です。」


「お!魔法使いもいるのか!」


「魔法使いじゃありません!魔法士です!」


「わりぃわりぃ。で、紫苑しおんはヒーラーか?」


「そうですよ、治癒士ですね。3人が怪我したら回復させるんで任せてください。」


土 「それにしてもバランス取れてるなぁ…。」


紫 「ですね、では曙さんをリーダーに行動しましょうか。」


曙 「おぅ!任せろ!」


そうして4人はダンジョンに入る。


曙 「ダンジョンの中は薄気味悪いんだな…。」


土 「それだけ警戒を怠らないようにしろって事じゃないのか?」


美 「まずは警戒しつつ前へ進もうか。」


4人はダンジョンの中を進む。


土 「お、あれ、スライムじゃね?」


美 「スライムならラノベで言う中の核を潰せばいいよね。やってみてもいい?」


曙 「いいぜ。」


美 「【風魔法】風槍ウィンドランス。」


スライムは風槍ウィンドランスによりサラッと核を潰され倒れた。そしてそこからドロップしたのは小さな魔石だ。


4人「お。」


紫 「これが最下級の魔石ですかね。」


曙 「これを集めていくのも1つの課題かもな。」


4人がそんな話をしていると、突然空気がとてつもなく重く感じる。そう死を感じたのだ。



美 「ねぇ、今、強烈な気配感じなかった?」


土「なんの事だ?ここ初心者ダンジョンだぞ?そんなわけないだろ…。俺らEランクが潜る用のダンジョンにそんなのいるわけない無い…。」


土御門も察したのだろう。この死を悟ったかのような気配を。そして一瞬人影が見えた。


土 「な、なぁ、今あそこの道の角に人が見えたんだが…。」


紫 「私らが先に入ったからそれはありえなく無いですか?」


曙 「とりあえずその気配がしたところに向かってみるか?」


美 「さすがに危なくない?」


土 「少しチラ見するだけだぞ?俺の技能スキル【鑑定】の出番かもしれないじゃん。」


曙「それじゃあ少しだけな。」



4人はその人影に近づき、後ろから覗く。銀色の髪の毛が見える。服装は白い靴を履いた黒いドレス?を着ている。頭にも何かをつけていて、何より篭手を装備しているのが見えた。


土 「ん、んじゃ、【鑑定】………。」


土御門が見たのはこんな感じだった。


名前:ルキナ

種族:半鬼神

ランク:S

レベル:80

技能:【拳神】【蹴神】【威圧】【電速】【隠遁】【鬼神強化】【硬質化】【念話】【神気】【魔法の才】【腐敗無効】【鬼神化】【言語理解】【斬刃化】【魔力操作】【魔力感知】【闇魔法】【雷魔法】【虚無魔法】【加速アクセラレート】【自己再生】【状態異常耐性】【魔力生成】【障壁操作】【空間操作】【斬撃】【追撃】【無詠唱】【並列処理】【苦痛耐性】【変速】

禁忌技能:【強欲】【暴食】【憤怒】

称号:無慈悲なる者、同族殺し、魔物の天敵、未来の鬼神、神速の殺し屋、禁忌の使い手、魔法の天才


土 「え、ま、待てよ…。ここを出よう。Eランクにあんな奴が居ていいわけが無い。」


美 「何が見えたの。」


だ、ダメだ。あれに見つかったら殺される。神速の殺し屋とか無慈悲なる者とか、あれはやばい。なんであんなのがここに…。


曙 「そんなやべぇのかその女は…。」


土 「まず人じゃねぇ、あれは魔物だ。それに称号が物騒すぎる。まずダンジョンを出て先生に報告しよう。」


曙 「土御門がそう言うなら、そうするか。」


そんな4人が行動を開始しようとしたその時、またも空気が重くなる。奥から男勝りな女の声が聞こえてきた。


「おい、そこの人型。むず痒いと思ったら【鑑定】か?お前らは何者だ。」


「お、俺らは、た、探索者だ。」


すると、女は不可思議な反応を見せる。

「探索者?なんだそれは…それに言葉が通じるな…やはり【言語理解】の理解範囲が拡張されていて助かった。それで、探索者のお前たちは何をしに来た。」


土 「こ、ここは学校が管理するダンジョンだ。お前こそどうしてここにいる…。」


「意味不明な質問だな。俺はここの魔物だぞ。」


曙 「逃げよう…。」


曙は小声で囁く。


曙達が少し後ずさったその時、目の前の女が消えた。そして、後ろから気配を感じる。警戒を強めながら後ろを見ると…女がいた。



「何を逃げようとしているんだ。俺と戦いに来たんじゃないのか?俺は別に相手が強かろうと雑魚だろうと正々堂々、殺すぞ。戦う気が無いのならここに来るな…。」


4人はその女に気圧けおされてしまい、ダンジョンの外に出てってしまった。


ダンジョンの中に残されたルキナはなんとも言えない感じになった。


「やっぱり魔物認定されるよね…。どうやらここは弱いダンジョンらしいな…あの感じだと…。そりゃ弱いダンジョンのところに強いのが居たらビビるか…。でも鑑定されるとむず痒くなるのか…。これはいい経験だな。さっさと下へ進もっと。」


ルキナは魔法陣を踏み、もっと下へと戻っていくのだった。




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□




先生たちは8チームがダンジョンから出るのを待っている。その間に準備などを済ませていた。すると、静観ダンジョンから1チームが息を切らしながら戻ってきた。


「どうした、お前たち。やけにしんどそうだな。どこも怪我は無さそうだが。」


土 「あのダンジョンのもう1チームも呼び戻してください!!!4人が殺される!!!」


「は?何を言うんだ急に…ここはEランクダンジョン。最下級のダンジョンなんだぞ、それにここに出てくるボスは巨大木人形ジャイアントパペットだ。一体何があった。」


土御門は深呼吸をして落ち着いた後、今あったことを話し始めた。


土 「まず俺ら4人がダンジョンの中に入ったんです。それで、スライムを1匹倒して、先へ進もうとしたら、1人の女の人影が見えたんです。警戒しながら近づいたら、服装からして武闘家です。恐る恐る【鑑定】を使ったんです。そしたら…。」


続きを話そうとした土御門を邪魔するように先生が言う。


「いきなり【鑑定】を仕掛けたのか?」


「え?それがどうしました…か?」


「お前たちはまだ知らないだろうが、【鑑定】を受けるとむず痒さを感じるんだ。特に下手な【鑑定】の仕方なら尚更な。それで、何が見えたんだ…。」


「名前はルキナ…。種族は…半鬼神…。ランクは…S…です…。」


周りで話を聞いていた先生達は絶句する。

最下級であるEランクの静観ダンジョン。そんな一階層にSランクの魔物がいるという事に…。


「他に何が見えた…。」


土御門は続きを話す。

「レベルは80…。スキルは沢山ありました…。すぐには理解できなかったので断片的にしか覚えてませんが…。ひとつ確かなことがありました…。禁忌技能を持っています…。【暴食】と【強欲】と【憤怒】の3つです…。あと称号の中にかなり危険なものがいくつか…。」


「その称号は何なのだ…。」


「無慈悲なる者、同族殺し、魔物の天敵、未来の鬼神、神速の殺し屋、禁忌の使い手、魔法の天才。これら7つなのは印象に残ってます…。」


「禁忌技能を持っているのか…それはとてつもなく危険だな…。そいつはどこからやってきたか聞いたのか…?」


「どうやら静観ダンジョンの魔物として生まれたそうです…。」


「異常進化だな…。それにしても半鬼神なる種族は聞いたことがない…。だがSランクということはかなり危険…いや、最悪そいつひとりで都市を落とせる程だ。それで、他に何か言っていたか?」


「女が言うには、雑魚でも強敵でも関係なく正々堂々殺す…と。戦う気がないなら来るな…とも。」


「もしや…あのダンジョン、巨大木人形ジャイアントパペットが、最終ボスでは無いのかもしれないな…。」


「そうかもしれませんね…。ほかのダンジョンも再度調べますか?」


「いやいい。とりあえず静観ダンジョン内にいるもう一チームを呼び戻した後、我々が1度、巨大木人形ジャイアントパペットのところにむかおう。そこから続きがあるか見つかれば…恐らくその先の方で生まれたかもしれないからな…。」


「この件は組合に報告しますか?」


「それは上の指示を仰いでからだな。学長に報告だけしよう。実害が出ている訳では無いからな。まだその女と交渉の余地があるかもしれない。」


「まぁ、そこら辺はおいおいですね…。ルキナ…ですか。ネームドですか。大抵名付けられるものですが…。」


「自分自身に名付けをした可能性もあるからな…。」


「そこら辺は後で進めていくことにしようか。」














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