10話 ん?人間が居る?
ルキナはビルマルキンを倒し、何か武具とかを保管してないか漁っていた。食糧は沢山見つかり、そのうちいくつかを持っていくことにした。それ以外にも装備などを見て回る。色々あるようだ。その中で一際赤黒い装備を見つける。
【黒血のタイツ】防御力が20%上昇する。
【黒血のドレス】防御力が40%上昇する。
【黒血のティアラ】魔法攻撃に50%のバフがかかる。
「な、なんだこの装備は…。こんなものを着ても戦いづらくなるだけではないか。だが、タイツとティアラだけはもらっておこう。ドレスはダメだ…。魔法攻撃が上がるティアラは全然いい。タイツも動きがそこまで阻害される訳では無い。何度も言うがドレスはダメだ…。って誰に言ってるんだろうか。この集落の豚鬼達は私が全滅させたというのに。」
ドレスを着てみるだけ着てみた。
「か、可愛い…。とりあえず持っていくだけ持っていこう…。防御力40%アップは取られたらめんどくさい。」
「しかし、ビルマルキン達は何でこんなのを持っているんだ。豚鬼達には使えそうもなかったが。もしかして以前来たという半鬼神の装備だったりして…。」
ルキナは時折角を掃除している。埃っぽいより綺麗な方がいいと思ったからだ。適正属性の中に水があれば掃除しやすいのになぁと思ったりもする。仲間が居ればなぁとも思う。だが鬼という存在を他の奴らがどう思うか分からない。
「1人で鍛えるしかないか…。図体がデカいやつ相手に力負けする事が多いからなぁ。進化して鬼神になってそれが解決って可能性も低いし…。それに素の力で圧倒できるようになりたい…。」
というかそもそも次の進化先は鬼神のみなのかな。そこも分からない…もしかしたら違う進化もあるかもしれない…。でも何レベルで進化できるか分からないしな。そこはおいおい…。
ルキナは豚鬼の集落を後にすることにした。先に進んでいくと、ダンジョンの中に何やら魔法陣がある。地面に魔法陣があった。
「なんだろ、あの魔法陣。行ってみたいけど、心配だな…。ここはスルーして違う魔物を倒しに行こっと…。」
ルキナは先へと進む。鎧を着た骨人もいる。骨馬に乗った鎧を着た骨人。どうやら以前戦った骨人の強化版なのかもしれない。弓を持った骨人も装備を着ているのか?だがしかし、骨人相手なので先手必勝だ!と言わんばかりに攻撃を仕掛ける。
「【加速】。」
骨人は何かが高速で近づいてることに気づき、一体は弓を構え、もう一体は乗馬した状態で剣を抜く。しかし、ルキナのスピードを捉えることが出来ず、パンチ一発で粉々にされる。
「鎧を着ていても、中身はアイツらと同じか。」
『ルキナのレベルが52から53に上がりました。』
なんだ、一体倒すだけでレベルが上がる。これは良い。あと2体倒してもまたレベルが上がるだろうか。
ルキナは骨人が矢を放った瞬間、矢を指で掴んで握りつぶす。慌ててもう一本、矢をつがえようとしていたので。【変速】で骨人の動きを遅くして頭を殴る。後ろの鎧を着た骨人が剣で斬り掛かってきたので、紙一重でかわして、そのまま、骨人の頭に向かってかかと落としを決める。
『ルキナのレベルが53から54に上がりました。』
「なんだ、乗馬したやつより弱かったのかな。」
もっと先へと進む。岩みたいな人型が動いている。
ゴーレムだろうか。魔力感知に一切引っかからないあたり、魔力を持っていないのだろう。ならばゴーレムの取りうる行動は物理のみか?それとも機械技術の可能性もある。レーザーくらいは撃ってきそうだ。
「よぉ、ゴーレム。お前たちはどんな攻撃をしてくるんだい。」
ルキナは軽く挑発する。ゴーレムが数体程こちらを見る。
「侵入者発見。侵入者発見。マスターノメイレイニヨリ敵生命体ヲ破壊セヨ。」
「侵入者発見。侵入者発見。マスターノメイレイニヨリ敵生命体ヲ破壊セヨ。」
「侵入者発見。侵入者発見。マスターノメイレイニヨリ敵生命体ヲ破壊セヨ。」
「侵入者発見。侵入者発見。マスターノメイレイニヨリ敵生命体ヲ破壊セヨ。」
同じセリフを何度も繰り返す。どうやらこいつらには親玉が居るようだ。と考え事していた次の瞬間、何かの閃光が飛んできた。
「やっぱりレーザー打つのか。魔法攻撃が効くのか試したいな。【闇魔法】闇槍」
闇槍をゴーレムの頭?に放つ。
しかし、威力が足りなかったのか、少し傷は与えたものの相手にとって支障がないと感じたのか、またもレーザーを放ってくる。
「まじか!これじゃ威力が足りないのか?これなら!【闇魔法】闇槍!今度は大きさも鋭さも速さも倍にしてやる。いけ!」
速さ大きさ鋭さを倍にした闇槍は見事ゴーレムの頭?を貫通する。すると、機能停止…機能停止…の言葉を最後に動かなくなった。
『ルキナのレベルが54から57に上がりました。』
「おいおい、こいつらかなり経験値が手に入る。もしかしたらAランクはあるかもしれないな…。」
なら、残りの奴らもまとめてやってやる。
「【闇魔法】闇槍【雷魔法】雷槍。」
闇槍の後ろを追従するように雷槍を放つ。闇槍を耐えたゴーレムもいたが、追撃の雷槍で全体やられる。
『ルキナのレベルが57から63に上がりました。』
どうやらここの親玉を倒す必要があるらしい。ゴーレムがダンジョンの魔物として現れているなら親玉もきっとそのはずだ。そして何より経験値が美味しい。
「この扉を守るようにゴーレムが居た。ならば扉の先にはきっと親玉が居るだろう。だが守りがこれだけというのは可能性が低い。もしかしたらこいつらより強いゴーレムが居るかも…。」
そんな期待を胸に扉を開ける。開ける?押しているのに開かない。
「あ、これ引き扉じゃん。紛らわしい…今まで押し扉だからこいつもそうかと思ったし…。」
なんか小細工がある。
扉を開け、中に入る。中はそこまで広くないが廊下を歩き続ける。途中、壁の中から何か出てきて連射してきたが全て肉体ではじき返す。
「ん?何を打ってきたんだろうか。まぁいいや、壊せばそれで。」
そして出てきた何かを殴って壊す。その後も同じような仕掛けが続く。そしてやはりと言っていいのか。
「やっぱりいるよな…ゴーレム。さっきより大きい。それにさっき壁の中から出てきた何かを装備してる?って、うわ!」
ルキナが感傷に浸る間もなく、ゴーレムはさっきの連射攻撃を両腕から行ってくる。
「って言っても当たっても何も痛くないんだよな…。」
ゴーレムの攻撃を胃にも介さず、前へとズカズカ進む。ゴーレムの目の前に到着する。
「散々バカスカ打ちやがって、これで反省しろ!」
ルキナは胴体を一発、殴る。今度はまさかのゴーレムが一発で爆発した。
『ルキナのレベルが63から67に上がりました。』
周りをよく見ると宝箱がかなりある。中身を開けようとした瞬間、宝箱が動いた。
「ん?この宝箱なんか動いたな。」
宝箱から突如、手足が生える。
「うわきも。」
その一言と同タイミングで足が出てしまい、宝箱を踏み潰す。魔力感知をすると、宝箱の八割近くがさっきのキモイやつだった。
「キモいし、さっさと終わらせるか。」
ルキナは宝箱目掛けて小さいが鋭さが4倍近くある雷槍を放つ。それらはゴーレムほど強くなく、直ぐに倒すことが出来た。数だけで言うなら27体も居た。キモイの多すぎ。
『ルキナのレベルが67から71に上がりました。』
残った宝箱は何の変哲もない宝箱だった。開けてみると、色々入っている。
【ポーション・赤】体力を40%回復する。
【ポーション・青】体力を20%回復する。
【ポーション・緑】魔力を35%回復する。
【赤い宝石・大】火の魔力を帯びている。
【青い宝石・小】水の魔力を帯びている。
【黒い宝石・中】闇の魔力を帯びている。
【銀色の歯車】ゴーレムの素材の1つ。腕を動かすための歯車である。
などなど、多数のアイテムだ。
せっかく食糧や装備を持ってきたのに入れる場所がない。何かバッグ的なものは無いのか。ん?確かジグーが言うには、虚無魔法には空間操作の高等技術があるのだったな。
ならば、試してみる価値はある。何せ天才だから。
「【虚無魔法】空間収納。」
おお、凄い、何かは分からないが入れれる。しかも重さを感じない。中に手を入れて見た感じ、時間も止まっているようだ。これはなかなか便利だ。生物も入れれるのだろうか。分からないがとりあえず今まで見つけてきたものを全てこの中に入れよう。
「ふぅ…アイテムを持ち歩き続けるのも疲れた。これでゲットしたやつをこん中に入れてけばいいだろう。」
さっさと親玉を倒さないと。
ルキナは奥へと進む。また小さな扉がある。引き扉かと思ったが、こちらは推し扉だった。紛らわしすぎる。
開けてみると、中には機械が沢山あった。製作途中であろう壁の中から出てきたやつ、それにまだ歯車の入っていないゴーレム、瓶の中の液体の中に人型の何かが入っている。横に書いてある文字を見つけた。
「けんきゅうしつ?よく分からないがここでゴーレム達を作ってたのか。とりあえず壊せばもう作られなくなるだろう。」
液体の入った瓶を殴る。すると、ヒビが徐々に入っていく。液体がどんな効果を持つか不明のため、少し離れる。ヒビが大きくなり、バリン。という音と共に中の人型がドサッと出てきて地面に落ちる。
魔物かと思ったし、こういうのを残すと後々めんどくさいので、ルキナはけんきゅうしつ?丸ごと、魔法で吹き飛ばす事にした。
「【闇魔法】黒天球。」
黒天球はけんきゅうしつ?の中央にたどり着くなり徐々に大きくなる。けんきゅうしつ?を丸ごと飲み込んだ後、綺麗さっぱり無くなり、後に残ったのは丸い大きな穴だけであった。
『ルキナのレベルが71から79に上がりました。』
『ルキナのレベルが75に到達したため、称号が付与されます。これまで得ている称号を含め表示します。そして、称号の効果をルキナの肉体への付与も開始します。』
名前:ルキナ
種族:半鬼神
ランク:S
レベル:79
技能:【拳神】【蹴神】【威圧】【電速】【隠遁】【鬼神強化】【硬質化】【念話】【神気】【魔法の才】【腐敗無効】【鬼神化】【言語理解】【斬刃化】【魔力操作】【魔力感知】【闇魔法】【雷魔法】【虚無魔法】【加速】【自己再生】【状態異常耐性】【魔力生成】【障壁操作】【空間操作】【斬撃】【追撃】【無詠唱】【並列処理】【苦痛耐性】【変速】
禁忌技能:【強欲】【暴食】【憤怒】
称号:無慈悲なる者、同族殺し、魔物の天敵、未来の鬼神、神速の殺し屋、禁忌の使い手、魔法の天才
「おお、称号が7つもある。まぁ豚鬼も鬼に連なる者だから同族っちゃ同族なのか。それにしても、こんな称号ばっかりで仲間なんて出来るのかな。」
そうだ、これのおかげでさらに強くなったんだっけか。どこかに試せそうなの無いかな。
ルキナはうろつく。魔法陣がある辺まで戻ってきた。そこには双剣使いの乗馬した骨人がいた。
「ほんと、多種多様な骨人が居るなぁ…なんでもありなのか?」
まぁいいやと言い残し、軽く走る。
「え、ちょ。」
ルキナは勢いのあまり壁にぶつかる。
「称号の効果凄すぎる…慣れないとヤバいな…。もしかしてビルマルキンも称号があったのかもしれないな。」
感覚は掴めた。もう壁にぶつからないぞ。そう言って軽く走る。今度はペースが掴めてるのでライダーキックみたいな感じで骨人を蹴る。
さっき殴った時よりやわらかさを感じるくらいの粉々具合だ。
「称号ヤバすぎ…。」
『ルキナのレベルが79から80になりました。』
さて、魔法陣を踏んでみよう。
ルキナが魔法陣を踏む。すると急にルキナの姿が掻き消え、気がつくと、違う階層?の魔法陣のところに着いていた。
どこか分からなかったので彷徨いてみると、
「ん?まさかのスライム系?もしかして1番上まで戻ってきちゃったのか?」
もう1回踏む。するとさっきのところまで戻ってきた。テレポート出来る魔法陣らしい。
「これは凄いな…。もっと下へ潜りたいな…。」
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「ねぇ、今、強烈な気配感じなかった?」
「なんの事だ?ここ初心者ダンジョンだぞ?そんなわけないだろ…。俺らEランクが潜る用のダンジョンにそんなのいるわけない無い…。」




